表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/200

妄想という名の空気の壁が守ってくれる限り

 いつものように図書館に本を読みに行った帰り道。

 突然、フワリとした感覚と共に、妄想がこの身を包み込むのがわかった。この時間にも関わらず。まだ、お日様が照っている内に、この感覚。まるで、深夜の時間帯のよう。どうやら、夢の世界が現実の世界を浸食し始めているらしい。ちょっとばかし小説の世界に入り込み過ぎていただろうか?1日に書く量が多過ぎただろうか?

 だけども、それは望む所だ。究極の小説家を目指すこの身。このくらいでちょうどいい。24時間…とまではいかないまでも、せめて目が覚めている時間くらいずっと妄想に浸っていてもいいだろう。そうして、ひたすらに小説を書き続けるのだ。ただ、ひたすらに。それこそが、究極の小説家のあるべき姿。いずれ、小説の神にも匹敵するようになるかも知れない。

「自動で風の魔法が発動しているな…」と、僕は路上で呟く。

 妄想が風となり、空気の壁となって、この身を包んでくれる限り、一切の物理攻撃は通用しない。理論という名の物理攻撃は通らない。おそらく、かすり傷1つ負わせられることはないだろう。

 言葉を武器として使用している限り、完全にその攻撃を無効化できる。

「そんな非現実的なコトばかり言って…」とか「もっと現実的になりなさいよ!」とか「理論的に無理に決まっている」とか「小説家なんて、なれるわけないじゃないの」とか「どうやって、お金を稼ぐのよ?」とか「いつまで、そんな夢ばかり見ているの?」とか、そういった言葉は一切、通用しない。


 “言葉は無力”

 それを僕は知っている。僕自身が発する言葉はもちろんのこと、それは相手が発する言葉に対しても同じなのだ。言葉を言葉として使っている限り、物理攻撃として使用している限り、僕にその言葉は通用しない。

 そうではなく、言葉を魔法の領域まで昇華してみせるのだ。そうすれば、お話は別。言葉は一瞬で相手の心の底まで到達し、一撃でコアを破壊する。

 あるいは、逆にこの身を守ってくれる盾にもなる。敵からの攻撃を防衛してくれる無敵の要塞と化す。


 言葉の無力さを痛感した後だからこそ、このような芸当が可能となる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ