ネムネム大魔神
さて、そろそろ眠くなってきた。頭が働かない。夢の世界からのお誘いだ。夢の世界から無数の腕が伸びてきて、僕を別の世界へと引き込もうとしてくる。
どうやら、この辺が限界らしい。だけど、もう一踏ん張りだけしてみよう。この時間には、この時間にしか書けない小説がある。逆を言えば、この時間にならば書ける小説があるということだ。
それでは、それに挑戦してみよう。
ネ~ムネムネム…
ネ~ムネムネムネム…
ネ~ムネムネムネム、ネ~ムネムネムネ~ムネム…
そのような声が頭の中に響いてくる。ネムネム大魔神の声だ。
ネムネム大魔神は、現実の世界に存在する人間を、夢の世界へと引きずり込んでしまう。大抵は翌朝になれば、目が覚めるのだが。時として、そうできないコトもある。永久に夢の世界へと閉じ込められ、2度とこちらの世界へは戻って来られなくなってしまう。何千分の1か、何万分の1か、あるいはもっとずっと低い確率で。それでも、その日は確実にやって来る。
今夜が、僕にとって、その日ではないと誰が保証できよう。もしかしたら、明日、目覚めるコトはないかも知れない。できれば、そうなりたくはない。まだ、書かなければならない小説があるのだから。
だけども、もしも、どうしてもネムネム大魔神が僕のコトを気に入って放してくれなくなったとしたら。その時は仕方がない。潔く、向こうの世界で暮らすとしよう。そうして、夢の世界で小説を書き続け、夢の世界の住人に語って聞かせるとしようか…




