小説の書き方には、2種類ある
小説の書き方には、2種類ある。
“作者が、自分の世界を極めていく方法”と“読者を心地よくさせていく方法”の2種類。
別の言い方をすれば、“作者が書きたい作品”と“読者が読みたい作品”ということになる。
この2つを組み合わせて、作品はできあがっていくわけだが…
僕には、この“読者が読みたい作品”というものが、なかなか書けない。全く書けないわけではないし、頭の中では、わかる。一般の読者がどういう小説を読みたがっているのか、声が聞こえる。でも、心理的に、そうできないのだ。頭の中の、一般の読者の声に従うことができない。
そうではなく、作品の質そのものを上げる方を重視してしまう。それは、現実に存在する読者が読みたい小説とは別物になってしまう場合が多い。読者の声ではなく、“作品の声”に従ってしまうのだ。
「もっと質を上げてくれよ!レベルを上げてくれよ!いい作品にしてくれよ!」
そのような声が聞こえる。それは、小説そのものの声なのだ。
ここで、迷う。もっともっと高みを目指すべきなのではないだろうか?それとも、作品の質を上げることなど考えずに、もっと気軽にみんなが読みたがっている小説を書いた方がいいのではないか?と、そう迷う。迷って、悩んで、考える。
そこで、“理想の読者”の誕生。
理想の読者は、現実の読者とは全くの別物。目の前の感情に揺られたり、薄っぺらい物の見方だけをしたりはしない。何百年も先まで見通し、ありとあらゆる小説の読み方を知っている。もちろん、深さだけじゃない。浅さも持ってる。“ただ単純に、読んでおもしろいかどうか?”で作品の価値を判断するコトもできる。




