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白昼夢を見続けているような状態で…

 今夜も、あの時間がやって来た。夢と現実の狭間に存在する世界へと誘われる時間が…


 そこで、僕は過酷な労働に従事している。契約にがんじがらめにされ、抜け出すことはできない。毎日、毎日、何のおもしろ味もない単純労働の繰り返し。

 その世界でも、休日は存在する。だけども、僕は普段の労働の疲労から、休日も寝て過ごす。朝から晩まで布団の中で横になったまま。たまに、食事とトイレの為に体を起こすが、それ以外はずっと布団の中。それも、あまりよく眠れはしない。

 ずっと白昼夢を見続けているような状態。起きているのか寝ているのか、よくわからない。生きているのか死んでいるのかさえ、わからない。

 ゾンビや吸血鬼の人生というのは、こういうものなのだろうか?

 あるいは、その方がマシかも知れないな。誰かに強制されて労働を続けているわけではない。自由に暮らして、人間の血をすすったり、肉を喰らったりして動き続ける。そうして、いずれはヴァンパイアハンターやゾンビ狩り部隊に倒されて、この世から消え去る。

 いっそ、その方が潔い。


 そんな風に考えながら、僕は別の世界での人生をも空想する。

 そこでの僕は、お日様の光がサンサンと降り注ぐ環境下で、小説など書いて暮らしているのだ。自分では最高の作品だと信じながら、ちっとも売れやしない小説を書き続ける。

 “もっと他の生き方もあったかも知れないな。たとえば、一生懸命マジメに働いて、普通に恋をして、結婚し、子供を作る。難しいコトなど何1つ考えず、だた日々の幸せを享受しながら生きる。そんな生き方も…”などと考えながら、結局は、そのような人生は選択できない。周りの環境が、どんなに変化していったとしても、それでも小説を書き続けるのだ。ただひたすらに、それだけを繰り返し続ける。


 夢と現実の狭間の世界で、別の世界の自分の姿を空想していたら。どちらが、ほんとうの自分かわからなくなってきた。僕は労働に従事していて、休日は寝て過ごし、小説を書きながら暮らしている別の世界の僕を空想しながら生きている。だとすれば、この小説を書いているのは誰なんだ?

 そうじゃないな。小説を書いているのが、この僕で。小説を書いているこの僕を羨ましがりながら生きているのが、別の世界の僕なのだ。だが、それにしては、あまりにもリアリティがあり過ぎる。

 あの世界の僕は、ほんとうに実在しないのだろうか?それとも、過去の僕の経験か?あるいは、いずれそうなるかも知れない未来の僕の姿なのだろうか?はたまた、どこかの次元に存在するあり得たかも知れない別の可能性の僕なのか?

 何にしても、完全な空想だとか、他人事には思えないんだよな…

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