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水面に波紋が広がっていくイメージ

 図書館への行き帰りの道すがら。そして、図書館で本を読んでいる最中にも、頭の中に1つの映像がこびりついて離れなかった。

 それは、どこかのお堂。あるいは、寺の中。1人の男があぐらをかいて床に直に座っている。男は、人ですらないのかも知れない。まるで、不動明王のような姿をしている。

 そうして、こう呟くのだ。深みを秘めた低い声で、こう呟くのだ。

「オレを出してくれよ。早くオレを出してくれよ…」

 そのような映像が、頭の中で何度もフラッシュバックする。

 僕は、その男を知っている。名前はわからない。声も姿も別人のよう。だけど、会ったことがある。だから、知っている。

 そして、もう1つ知っていることがある。それは、その男の出番が、まだ先であるということ。今じゃない。ここじゃない。


 頭の中に次の映像が浮かんでくる。水面に波紋が広がっていくイメージ。そこは、どこかの湖面。大きな大きな湖。その表面。湖に石が投げ入れられ、波紋が広がっていく。

 これは、わかりやすい。他の人達にはわからなくても、僕にはわかる。これは、小説なのだ。

 湖は作家を表わしている。石が投げ入れられる…つまり、何らかの情報が与えられるか、作家の感情が揺さぶられる。それにより、作品が生まれる。湖の表面に広がっていく波紋こそが、作品。小説そのものなのだ。石でもなければ、湖でもない。小説とは、水面に広がっていく波紋それ自体。

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