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魔法天使の恋愛戦闘~お兄ちゃん、大好きだよ~  作者:
魔法天使 パラレル・ティーカ
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第一話:魔法天使 パラレル・ティーカ 始まる、よ!

 この物語は、小生の別作品<Seven's brave plus α: Ancestor Stage>から、一部物語を抜粋した作品となっております。

 みんな、始めまして。

 あたし、久我くが 定香ていかは、私立聖霞ヶ丘大学付属高校に通う普通の女子高生なの。

「ねえ~、お兄ちゃん。何しているの? 早く~」

 そして、玄関を飛び出したあたしの前にいるのは、まだ半分寝ぼけていそうなあたしのお兄ちゃん。

 あたしの大好きなお兄ちゃん、久我誠流は私立聖霞ヶ丘大学の講師なの。

 定香は高校生なので、誠流お兄ちゃんの講義は受けられないけど、絶対私立聖霞ヶ丘大学に合格して、大学生になったら、絶対にお兄ちゃんの生徒になるって決めてるの。

「さ、お待たせ、定香」

「うん。じゃ、行こうか、お兄ちゃん」

 あたしはそう言うと、思いっきりお兄ちゃんの腕に抱きついたんだよ。



 いつも通りの幸せな朝。

 お兄ちゃんと一緒に登校したこの日、あたしは魔法天使になった。





「さあ、定香、変身だよ!」


 へぇ?

 突如として、あたしの前に現れた正体不明の魔法ステッキが語りかけてきた。

 何が何だか、あたしにはさっぱり分からないけど、この魔法の杖は状況説明もなしに、あたしに変身を強要してくる。

「早く。早くしないと、グリーン・ソードにみんなが食べられちゃうよ。いい、自分の呪文をそのまま詠唱するんだよ」

 あたしの承諾も得ることなく、魔法の杖は呪文らしき謎の言葉を呟き始めた。

 あたしが何もせずに突っ立ていると、


「早く!! そうしないと、キミのお兄ちゃんも大変な目に遭うんだよ」


 とあたしにとって一番聞き捨てならないことを言ってきた。

 正直何がなんだかあたしには全く分からないけど、お兄ちゃんの身に危機が迫っているのならそんなの絶対見過ごせない。

 お兄ちゃんのためなら、変身でも、変体でも、変形でも、なんだってしてやるんだから。

 正体不明の杖を握りしめ、あたしは呪文を唱える。


「届け、あたしの想い オーバー キュア ハート」


 魔法の杖をくるくると回すと、紫色の帯が出てきて、あたしを優しく包み込んでくれて、


「スパーク」


 蝶が繭から孵化するように、あたしは生まれ変わった。

 白と紫が入り交じったコスチュームに身を包んだ、あたしはもう久我定香じゃない。

 そう、生まれ変わったあたしの名前は、


「魔法天使 パラレル・ティーカ 弾ける想いをあなたに届けるため、ただいま参上、よ」



☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆



「ねえ、僕、独りは嫌なの。一緒になろうよ」

 女の子であるあたしが思わず嫉妬してしまいそうな美少年がそう言って、あたしの大切なお兄ちゃんに迫っていた。

 大変、急がないと。

「おやめなさい!!」

 あたし、パラレル・ティーカは空から颯爽と登場して、魔法ステッキを危険な色気を持つ美少年に突きつけた。

 女のあたしにはよく分かる、この色気は魔性の色気だ。

 男だとか、女だとかそんなの関係なく、彼となら一緒になりたいと思わせてしまうこの色気は、麻薬のように脳を溶かしてしまうだろう。

 って事は、お兄ちゃんもこの美少年と一緒に………


「いやああああああああああああああああ。だめええええええええええええええええええ!!」


 想像してはいけない。

 禁断の世界があたしの頭の中に拡がってきて、あたしは大声を上げた。

 いやだ。

 心臓がばくばくして止まらないよ。

 中学生が初めていけない本を読んだときもこんな気分なのかな?

「ティーカ、早くしないと!」

 魔法の杖さんが叫んだ。

 何事かと思うと、美少年があたしを無視してお兄ちゃんに抱きついていた。

「いやあああああああああああああああああ。あたしのお兄ちゃんが、傷物にいいいいいいいいいいい!」

 魔法とか、戦いとか、やっぱりよく分からないけど、魔法の杖さんが言っていた「お兄ちゃんの危機」はとって~も、よく分かったよ。

 あたしは戦う覚悟を決めた。


「弾ける想いを届けるため、魔法天使 パラレル・ティーカ ただいま参上、よ」


 決め台詞は言ったけど、これだけじゃあたしの想いは伝わらない。

「良いこと、お兄ちゃんの初めては、あたしが貰うってず~と前から決めてるんだから、ね」

 そう、これはね、あたしとお兄ちゃんが出会った瞬間から決まっている運命なんだよ。

 なんて格好いい事していたのに、空気を読めない魔法の杖さんがいきなり状況説明を始めたの。

 あたしは、ちょっとこの魔法の杖が嫌いになりそうだよ。

「あいつの名前は、グリーン・ソード。その美貌で数多の人間を虜にしてきたパステル・アースの住民だ」

 パステル・アースって何だろうって思ったけど、そんなどうでも良いことだよ。

 あたしはお兄ちゃんとさえ、一緒に入れればそれで良いんだから、ね。

「ねえ、僕、独りは嫌なんだよ。なのに、パラレル・ティーカは僕の邪魔をするの?」

 グリーン・ソードって変な名前の美少年がまるで子犬のような縋る瞳であたしに訴えかけてくる。

 でも、どんなに懇願されても、あたしの一番はお兄ちゃん。

 これだけは変わらないんだからね。

「そうよ。あたしのお兄ちゃん、傷物になんかさせないんだから」

 そう言って、あたしは魔法ステッキをぐるぐると振り回した。

「うぇ~~、目が~~回る~~~~~~」

 とりあえず、このうめき声はお兄ちゃんを助けるために無視。愛する人のためには時には、人柱も必要なんだよ。


「輝いて、あたしの想い。 パラレル・パスカル・パーミット」


 魔法のステッキにあたしの想いが紫色の魔力となって集まっていく。

 ステッキの悲鳴も高くなるけど、やっぱり無視。

 紫の魔力をケーキを練るように優しく集めて、星形に作り上げる。

 あ、悲鳴が途絶えた。気絶したのかな?


「パープル・スターライト。シュ~~~ト!!」


 やばい。

 魔法を放つ瞬間、あたしは直感した。

 あたし、少しお兄ちゃんのこと、想い過ぎたかな。

 それとも、気絶した魔法ステッキに注意を奪われてしまったのかな。

 どちらにしても、思いの外大きくなってしまった紫の星がグリーン・ソードめがけて飛んでいって、近くにいたお兄ちゃんもを巻き込んで大爆発してしまった。


「きゃああああああああああああああああああああ、お兄ちゃん~~~~~~~~~~~~」


 あたしは魔法の杖を投げ捨てて、一目散にお兄ちゃんの元に駆け寄る。

 お兄ちゃんは、爆風に煽られ、白鳥のように地面を転がる………って、あたし、何、変なたとえかたしてるんだろう。

 きゃああ。

 お兄ちゃん、頭から血を出しているよ。

 どうしよう、救急車? 消防車? 赤十字? 

 こんな時って何を呼べば良いんだっけ?

 分からないよ、あたし、頭の中、真っ紫だよ。

 あ、違う、真っ青だ。…………じゃなくて、真っ白だ。

 どうしよう。どうしよう。どうしよう。

 お兄ちゃん、あたしを残して、旅立たないで~~~~。



☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆



「うっ……う~ん、…………あれ、君は、さっき……」

 お兄ちゃんが目を覚ました。

「ちょっと、君どうしたの、なんで泣いてるの?」

 あたしはまだパラレル・ティーカに変身したままだから、お兄ちゃんはあたしが定香だって気づいてないみたい。

 でも、あたしはお兄ちゃんが目を覚ましたことが嬉しくて、思わず泣き出してしまった。

「良かった。もう、お兄ちゃん、あのまま死んじゃうかと思って、怖かったんだよ。本当、ごめんなさい。ごめんなさい。あたし、もう絶対に魔法なんて使わないから。だから、ごめんなさい。ごめんなさい」

 お兄ちゃんを守るはずが、あたしは逆にお兄ちゃんを傷つけてしまった。

 あたしが、お兄ちゃんを傷物にしてしまったんだ。

 悔やんでも悔やみきれない。

 あたしは自分が情けなくて、お兄ちゃんの顔を見ながらずっと泣き続けた。

「ねえ、君、名前はなんて言うの?」

「あたし?あたしは、てい……じゃなくて、弾ける想いを届ける魔法天使 パラレル・ティーカです」

「パラレル・ティーカか。じゃあさ、ティーカ。もう泣きやんで。ティーカはボクを助けようと魔法を使ってくれたんだよね。確かにちょっと、暴走したみたいだけど、それでもボクは君の弾けるぐらいに膨れあがった『助けたい』って想いを感じられた。だからさ、ありがとう。でも、今度からはもう少し気をつけてね」

 お兄ちゃんはそう言うと、あたしの頬にそっと触れ、涙をぬぐい取ってくれた。

 あたしの顔が刹那もかからずに、真っ赤に染まる。

「……………、うん。分かったよ」

 お兄ちゃんの言葉は魔法だ。

 あたしの涙を止めて、こんなにもあたしの胸を締め付けて、苦しいけど、それ以上に幸せっで心が弾けそうになるんだから。


「あの~~。ティーカさん、すみません。自分のこと忘れてませんか?」


 ちょっと控えめな声で魔法のステッキがあたしに呼びかけてきた。お兄ちゃんとの二人きりの世界を壊されたあたしは少し恨みのこもった目で魔法の杖を見る。

 未だに名前も知らない魔法の杖さんは、どうやら無事だったらしいグリーン・ソードに抱きかかえられていた。

「僕、独りは嫌なんだよ」とか言いながらグリーン・ソードは言葉を喋る魔法の杖に頬ずりなんかしてるよ。

 そんな光景を見て、あたし、パラレル・ティーカは、お兄ちゃんもあたしもグリーン・ソードもみんなが幸せになれる方法を思いついちゃった。


「ねえ、グリーン・ソードさん。その杖いりますか?」


「え?」「え?」

 あたしの言葉にハモリ声が返ってきた。一方は期待に、一方は悲壮に溢れた声だったけど。



 そして、幸せそうなグリーン・ソードと「ティーカさん、これ冗談ですよね。はやく、冗談だって言って。お願いですから、言って下さいよ!! っていうか、自分がいないと魔法天使じゃないでしょう、ねえ、ティーカさん!!」なんて幸せそうに (きっとそうだよね)叫いている魔法ステッキをお兄ちゃんと見送って、あたし、パラレル・ティーカの第一の物語は終わったの。


 うん、これでみんな幸せ。ハッピーエンドだね。


Seven's brave plus α: Ancestor Stageの更新に合わせて続きをUPしていくので、遅筆になると思われますが、こころの一部にでも触れる部分があったのなら幸いです。

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