悪魔と初DEATH
ーーーーエリアボス出現。交戦人数五名。バトル開始。
「んじゃ、気を引き締めていこうか」
俺は目の前に現れたフォースウルフと対峙して言う。
「エンブレムセット“オークキング”」
リューシンが早速オークキングの紋章を使う。
ガントレットに紋章をはめると、ガントレットが光る。
「フェニックスフォルム」
シュリナは最初から全力でいくようだ。
シュリナは全身に紅い炎を纏い、炎の翼が生える。赤く輝くレイピアを構える姿は、獲物を定めた肉食鳥のようだ。
「黒神の加護」
ティアナも容赦なしだ。
全身に闇のオーラを纏う。闇を纏い、巨大な鎌を構える姿は、死神のようだ。
「チェンジ“マシン・バズーカ”」
ジンオウは左手もマシン・バズーカに変える。
攻撃主体でいくらしい。
ジンオウの振り分けポイントは、AGIとDEFに振っておいた。攻撃と防御に関してはパーティー最強だからな。頼りになりそうだ。
「んじゃ、俺もやるか」
他四人がやる気満々だし。
「モンスターソウル“オークキング”」
オークキングのはモンスターに分類されるらしい。
「武装化」
武装化は、武器を使うモンスターのソウルん時だけ使えるスキルだ。
オークキングのソウルで、俺の姿が変わる。
変わると言っても、今回はあんまり変わらない。全身に茶色い毛が生え、牙が鋭くなる。少しだけ筋肉がついたようで、身体が大きくなったように感じる。武装化は腕を変化させるらしく、両腕が鋼色になり、爪が長く鋭くなって、肩までトゲがついていた。
「さぁて、やるか」
俺はニヤリと笑う。牙があって結構怖いハズだ。
「はあぁ!」
シュリナが斬り込んでいったとき、フォースウルフは素早く、シュリナが辿り着くより素早く、魔法を展開した。
「攻撃魔法か?」
「いや、補助魔法だ。気を付けろ、シュリナ! 後ろに回られるぞ!」
リューシンがシュリナに注意する。
「わかってる!」
シュリナは翼があるので、フォースウルフが消えたと見える程の速度で移動すると、空中で反転した。
「?」
が、フォースウルフはいない。
「シュリナ、後ろだ!」
俺はシュリナの後ろにフォースウルフが移動したのを見て叫ぶ。
「っ!」
フォースウルフが爪を振るうのと、シュリナが俺の声に反応して上に飛ぶのがほぼ同時だった。
「っつう!」
かすったが結構HPは残ってる。
「……」
フォースウルフがジャンプしてシュリナを狙っていた。息を大きく吸っている。
何だ?
「ブレス攻撃だ! 避けろ、シュリナ! それはくらうとシュリナでも危ない!」
マジか?
「ガアアアアァァアァァァ!」
白いブレスがシュリナを襲う。
「……」
ブレスが収まって、シュリナを見つけると、地面に倒れていた。……HPが真っ白で。
「何っ!?」
シュリナでも二回くらって死ぬなら、生き残れるのってジンオウぐらいじゃん。
「暗黒烈斬!」
ティアナは鎌を振るって暗黒の巨大な斬撃を放つ。シュリナを殺されて怒ってるらしい。
「おい、リューシン。女子守れなかったら、男子失格だぞ」
「もう一人守れてないだろ!」
リューシンは怒鳴って走っていく。……珍しく焦ってるな。
「ったく。じゃあ、ジンオウ。俺も参加してくるから、援護よろしくな」
「了解した」
俺もフォースウルフに向かって駆ける。
「ランスナックル!」
リューシンはガントレットでフォースウルフを殴る。槍のように刺せる効果だ。
「ヘルノヴァ」
ティアナは鎌の頂点を向けて、暗黒の巨大な波動を放つ。
「はっ!」
俺は普通に殴る。
「……ガアアアアァァアァァァ!」
が、それらを全部避けて、ブレスを吐いた。
「くそっ!」
「……ぁ」
……二人が殺られた。俺は範囲外ギリギリで、風圧でHPがレッドゾーンに突入した。さすがはDEF0。
「……最終手段を取るか。ジンオウ! マシンガンで足止めしてくれ!」
「了解した!」
ズガガガガガ!
フォースウルフがマシンガンで足止めされてる内に、ジンオウの近くに移動する。
「俺に考えがある。協力してくれ」
「それはいいが?」
「お前、回転は大丈夫なのか?」
「大丈夫だが?」
なら、いいか。んじゃ、失礼して。
「お、重い……」
ジンオウを持ち上げる。
「何を?」
「俺がお前を抱えて回転するから、マシンガンを撃ち続けてくれればいい」
「わかった」
俺はジンオウを抱えて回転する。
「お、重い! 振り回される!」
長時間は無理だな。
「むっ? フォースウルフが上から来るぞ」
狙い通り。
「いくらフォースウルフでも空中じゃ身動き出来ねえだろ。ジンオウ! 最大威力のヤツをくらわせてやれ!」
俺はジンオウを置いて、倒れる。
「了解! 手砲、出力最大!」
ジンオウは両手を上に上げ、掌に穴が開く。そこから、高威力の波動が放たれる。
「ガアアアアァァアァァァ!」
フォースウルフは苦しそうな声を上げる。
「……」
やったか?
「ガアアアアァァアァァァ!」
「「っ!?」」
HPは半分くらいまで減らしたが、残っていた。フォースウルフがブレスを吐いてくる。
あ~あ、死んだな、こりゃ。
最後にそんなことを思って、意識が暗くなった。