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霊安室にて

作者: 薬井 祐介

 夫が体に布団をかけて寝ている。だがいつものように微笑みを浮かべながら寝ている訳ではなく、夫は、顔に真っ白な布を被せられて、呼吸せずに寝ていた。

 夫は死んだ。交通事故にあって、都内の大学生が乗っていたトラックに轢かれて、即死だった。私に「ちょっとコンビニ行ってくる」と言って家をでた、すぐあとの出来事だった。

 夫の寝ているベッドの傍で夫の母が泣き崩れているのを見て、私も、持っていたカバンと自分の体を霊安室の床に落とし、泣き始めた。

 だが何故か、涙はたった一粒しか流れてこなかった。不思議だ。私は、夫が死んだことを悲しいと思っていないのだろうか――ふと、そんな考えが頭を過ぎる。

 私は何て人間なのだろう。最愛の人と一生あうことができなくなったというのに、一粒しか涙を流さないなんて。


 しばらくそんなことを考えていると、独り娘である加奈子が、私のワンピースの袖を弱い力で引っ張ってきた。

「何? 加奈子、どうしたの。お手洗いに行きたいの」

 私はできるだけ、感情をださないようにして問う。だが、問いは問いで返された。

「ねぇ、パパは何でママに怒りながらふわふわ飛び回っているの」 

 体が硬直した。まさか、夫にずっと隠してきていたあのことが、バレていたのだろうか

本当に寝ます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 展開が早いかなという懸念はありますが、最後まで楽しく読めました。クオリティが低いと書かれていますが、十分楽しめます。 [一言] 子どもの一言、正直で的を得ていることがありますね。 そんなド…
[一言] 『霊安室にて』拝読させて頂きました。 あのことって……なんだぁ~~~~ww 色々妄想してしまいます(笑) 今日は眠れないですね……
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