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卒業式の隣に君はいない 。愛する人を庇って逝った恋人と、私のお腹に残された命~  作者: 凪塩 未来


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シーズン2第12話:それぞれの空の下で

いつもお読みいただき、たくさんの応援をありがとうございます!

第12話では、瞬が街を去った後の静かな日常と、遠く離れた場所で新たな一歩を踏み出す瞬の姿、そして成長していく結衣と向き合う宮乃の穏やかな日々を描きます。

離れていても結ばれている絆を感じるエピソードです。

瞬の一家がこの街を去ってから、いくつかの季節が巡り、街の景色はすっかり様変わりしていた。


あの日の別れからどれほどの時間が経っただろう。

宮乃の生活は、かつての痛々しいまでの張り詰めた緊張感から解放され、穏やかな日常を取り戻しつつあった。


リビングの畳の上では、結衣がよちよちと頼りない足取りで歩く練習をしていた。

「あー、うー」と可愛い声を出しながら、転んではケラケラと笑う。その無邪気な笑顔は、驚くほど生前の健太の面影を宿していて、宮乃は胸が熱くなるのを何度もこらえた。


「結衣、すごいね、上手に歩けたね」


宮乃が優しく声をかけながら両手を広げると、結衣はトコトコとまっすぐ駆け寄ってきて、宮乃の膝にぽふっと飛び込んできた。

その温もりを抱きしめるたび、宮乃は思う。

あの時、瞬をただ突き放すだけで終わらせなくて本当によかった、と。


許すことは簡単ではない。健太を失った哀しみが消えることも、一生ないだろう。

それでも、憎しみに囚われたまま生きるのではなく、過去を受け入れて前を向く強さを、宮乃はこの一年で確かに手に入れていた。


一方その頃、遠く離れた新しい土地で、瞬は新しい生活を始めていた。


見慣れない街の雑踏の中、瞬はスーツの袖をまくり、朝の通勤途中にふッと空を見上げた。

この街には、かつての自分を知る者は誰もいない。

「加害者の家族」という十字架はどこへ行っても消えることはないけれど、あの夜、宮乃と交わした「もう逃げない」という約束が、今の瞬の心をしっかりと支えていた。


(宮乃……そっちはどうだ。結衣ちゃんは、元気に大きくなってるか……)


心の中でそう呟きながら、瞬はポケットの中でギュッと拳を握りしめた。

償うべき罪の重さを忘れたことは一度もない。けれど、下を向いてばかりではいけないと、彼は自分の足でしっかりと大地を踏みしめ、前を向いて歩いていた。


お互いに遠く離れていても、交わした約束の温もりは消えない。

それぞれの空の下で、二人はそれぞれの現在(いま)を必死に生き抜いていた。

第12話をお読みいただきありがとうございました。

離れ離れになってもなお、心の中で互いの存在を支えにしながら前を向く宮乃と瞬。

物語はいよいよクライマックス、残り3話となりました。

二人の未来に待っている結末とは――。次回、第13話もお楽しみに!

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