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第四章:勇者の証明

街外れの廃墟。碧い太陽が真上から照りつける中、僕とリクは対峙していた。


「あんたが聖剣に選ばれた特別な存在だということは知っている。だが、俺が知りたいのはあんた自身の魂の重さだ」


リクは大剣を地面に突き立て、吐き捨てるように言った。


「俺には魔王の手先に殺された弟がいる。復讐のためにこの腕を磨いてきた。……半端な勇者なら用はねえ」


リクの言葉は、鋭く僕の胸に刺さった。僕は腰の聖剣に手をかけたが、ふと思い直してそれを鞘に戻した。光輝く『借り物の力』ではなく、今の僕自身の技量で、この男に認めさせたいと思ったのだ。

僕はルナに預けていた予備の鉄剣を抜き放った。


「わかった。聖剣は使わない。僕自身の力で、君に向き合いたいんだ」


「……ふん、面白い。来い!」


リクが身の丈ほどもある大剣を、羽毛のように軽く振り回して襲いかかる。凄まじい風圧。加速する思考の中で、リクの太刀筋を見切り、最小限の動きで回避した。


「ほう……!避けるだけか?」


「いや――!」


僕は鉄剣を振り抜き、リクの大剣を受け止めた。激しい金属音と共に火花が散る。本来なら、ただの人間であるリクが勝てるはずのないステータスの差がある。だが、リクの剣には、絶望の底から這い上がってきた執念が宿っていた。一撃一撃が重い。技のキレ、間合いの取り方。戦士としての格は、明らかにリクの方が上だった。


(これが、この世界の『戦い』なんだ……!)


聖剣に頼らず、剥き出しの自分をぶつけ合う高揚感。僕は必死に剣を振るった。レベルに任せた力押しではなく、リクの動きを学び、対応し、対等に渡り合う。

数十分にも及ぶ激闘の末。僕の剣先がリクの喉元に届き、同時にリクの大剣が僕の首筋で止まった。


「……ふっ、ははは!参ったぜ、勇者様。あんたは本物だ」


リクは剣を引き、豪快に笑いながら地面に座り込んだ。


「その強さ……そして、相手の命を軽んじないその目。信じてやるよ」


僕は荒い息を整えながら、リクの差し出した、岩のように硬い手を握り返した。


「ありがとう、リク。君の力が必要だ」


「ああ、歴史が変わる瞬間を、俺にも特等席で拝ませてくれよ」


仲間の加入。新たな旅路。焚き火を囲み、リクと軽口をたたきあいながら、ルナが淹れてくれる温かなハーブティーを啜る。この黄金色に輝く時間が、永遠に続けばいいのに。


僕は願わずにはいられなかった。どうか、朝が来ないでほしい。この最高の自分、最高の居場所、および最高の仲間たちがいる世界こそが、僕の真実であってほしいと。

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