第2話 全然わからないまま警察に連行された
ほどなくして到着した警察署、にしてはやたらと大きな建物だな。やっぱりここも女性しかいない。それと僕は逮捕されていないみたいだけど僕を取り囲む警察の人がやたらいるな。僕は別に逃げるつもりとか一切ないし、無賃乗車は確かにしちゃったんだろうけど…
「すいません、僕はこのまま逮捕されるんですよね?」
とりあえず聞いてみた。
「逮捕、ですか。ええ、まあ詳しくは今からお話を伺いますけれども。今のところ逮捕案件ではなさそうだと私は思いますね」
逮捕されないの…?一応僕は成人だから補導ではないはず…
ぞろぞろとやってきたところは特別保護室と書いてある部屋だった。取調室の間違いじゃなくて?僕はよくわからない間に定期券が偽物?扱いになったから逮捕のはずなんだけどなぁ…?僕の常識が何か違うんだろうか…?僕が座る椅子の前まで誘導されてそのまま座ったんだけど、この椅子、座ったことないくらい快適すぎる…周りはもうとにかく女性だらけ、というか女性しかいない。その中でもひときわ小さい女性警察官がやってきて僕の前に座る。どうやら取り調べが始まるらしい。よくわからないけど悪い事をしてしまったので、取り調べにはしっかり協力するつもりだ。
「ではまずお伺いします。お名前を教えていただけますか?」
柔らかい笑みを浮かべ、優しく僕に問いかけてくる。まるで幼稚園の先生が生徒に優しく問うみたいに。
「石川香です」
「年齢は?」
「来月21になります」
「念のためお伺いします。性別は?」
「男です」
「…交通手段は電車でしたね、身分証はお持ちですか?」
普段はバイクに乗るので免許は持っている、まあ原付と普通二輪と大型二輪だけなんだけど。これから普通自動車免許も持つ予定だ。ということでパスケースに入れている免許証を目の前の警察官に差し出す。
「…ふむ、ねえ、これどう思うかしら?」
と隣に立つ女性警察官に聞いている。…え?もしかして免許も違うの?新潟公安からちゃんと発行してもらってるよ?
「…偽造、にしては精巧すぎる、…もしかして、『アレ』では…?」
「やっぱりそこに行きつくよねえ…」
『アレ』ってなんだろう…?
「石川香さん、大変恐縮ですが、身体測定させていただけないでしょうか?いきなり何言ってんだ?と思われるのはごもっともではありますが」
いやホントにいきなり何を言ってるんだ…?取り調べ項目に「身体測定」なんてあるの…?聞いたことないよ…捕まったことないから知らないだけなのかな…?
「あのー、質問の意図がわからないのですが…」
「申し訳ありません、極めて稀な事例でして、詳しくは身体測定中に私がお話をしますので、ご協力いただけませんでしょうか?」
協力するつもりだからするけど、身体測定…?僕の罪と何が関係するんだろう…?
「大至急恵比寿病院の検査室取って。それと男性保管省に即時通達。石川さんの保護を最優先にね、私に説明責任発生した旨もよろしく」
「承知しました」
と言って走って出て行ってしまった。病院はまだいい。男性保管省ってなんだろう?女性保護団体とかは聞いたことあるような気がするけど…?
「失礼しました。まだ私は名乗っていませんね、鹿島和子、警察庁警察正です」
警察庁?警視庁は聞いたことあるけど、警察庁ってなんだろう…?警察正もわからないな…聞いてみるか。
「えっと、警察庁ってなんでしょう?それと警察正とは?」
「警察庁というのは、警察の一番レベルの高いところ、という認識で捉えていただければ。警察正というのは、例えば新潟県警の一番位が高いところと同列です。私はまだまだですが、お望みであればもっと上、警察総監とも面会できますよ」
警察総監、警視総監じゃなくて?おそらく完全に警察の一番上の人、ん?僕の罪ってそこまでひどい物だったの?あれ?普通ならそんな偉い人と会うことなく刑務所じゃないの?あれ?留置所だっけ?
「僕の罪はそこまで重いものだったんですか?」
電車に乗ってたらとてつもなく重い罪を犯してしまったらしい、電車に乗るの気をつけないとなあ…でも気をつけようがないよ…僕はいつも通り通学してただけなはず…それでも逮捕されてるんだから、やっぱり車の免許取って車で通学すべきだったのか…
「石川さん、まずお伝えしますが、逮捕はしません。石川さんにマイナスイメージが着くようなことは一切ありません、そこはご安心ください。あなたは罪を犯していないのです」
逮捕じゃない…?だから女性ばかりなの…?にしても人が多いなあ、周りをちょっと見ただけで何十人いるかわからないよ。ちょっと息が詰まっちゃいそうだなあ…なんだろう、頭がごちゃごちゃしてきてブドウ糖が欲しくなってきた。




