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陽だまりの庭で、聖女は黒猫と生きる  作者: Koro


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第8話 帰る場所は、いつも同じ



また、いつも通りの日常に戻った。


学園で学ぶ日々。

聖女として、教会での修行。


忙しくて、覚えることも多くて。

だから、旅に出たのはほんの少し前のことなのに


もう、ずっと昔のことのように感じてしまう。



でも……


初めてノワールと一緒に出かけたあの時間は、

不思議と胸の奥に残っていた。


新しい景色。

新しい発見。


どれも綺麗で、きらきらしていて。

それをノワールと一緒に見られたことが

ただ、それだけで嬉しかった。


旅先は、ロザリア様の領地だった。


そこには、彼女が考え、作り上げた技術や製品が溢れていて、

どれもこれも、新しくて、便利で、

人の暮らしをよくしようとするものばかりだった。


ルカ様は、それらをとても誇らしそうに説明してくれた。


その中で――

ひとつだけ、どうしても心を引かれるものがあった。


「願いを込めながら編む糸」

ロザリア様は、それを“ミサンガ”と呼んでいた。


願いを込めて編み、

自然に切れたとき、その願いは叶うのだという。


そして、領地には海があった。


ノワールは

「濡れるのは嫌だ」

「砂は歩きにくい」

と、文句ばかり言っていたけれど、


それでも、私が行きたいと言えば、

ちゃんと一緒に来てくれた。


初めて見た海は、

思っていたよりもずっと大きくて、

息をのむほど綺麗だった。


そんな私の足元に、

ノワールは二枚の貝殻を落とした。


光を受けて、きらりと輝く二枚貝。


ロザリア様が、教えてくれた。


二枚貝の殻は、

他のどの貝殻とも完全に一致することはない。

ぴったりと合うのは、

もともと対になっていた片割れだけだと。


私は、その貝殻を手に取って、

自然と考えていた。


ノワールと、ずっと一緒にいたい。


それだけだった。


ルカ様と義兄様に相談して、

私はミサンガを二つ編んだ。


赤と、黄色。

私と、ノワールの瞳の色。


その糸で、二枚貝を包むようにして、

小さなネックレスを作った。


願いは、ひとつだけ。


――ノワールと、ずっと一緒にいられますように。


忙しくて、大変な毎日だけど。

こうして思い出すと、胸が少しあたたかくなる。


また新しい景色を見たい。

また、新しい出来事を、ノワールと一緒に感じたい。


それだけで、私は頑張れる。


だって。


いつも、隣にはノワールがいてくれるから。



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