表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
陽だまりの庭で、聖女は黒猫と生きる  作者: Koro


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/16

第12話 知らされるのは、いつも外側から



静かな協会の奥。

ステンドグラスが煌めき、光を受けた女神像が祭壇を見下ろしている。


その前で祈りを捧げていた司祭は、

いつもとは違う“何か”を感じ取った。


空気か、重圧か。

神聖で、高貴で――

それでいて、抗えないほど重いもの。


「……っ」


声にならない息を飲んだ、その瞬間。


――聖女は、覚醒した。


――十九の年に、旅立て。


司祭は、息を止めた。


覚醒とは、何だ。

旅立つとは、どういう意味だ。


分からない。

だが、その意味を問う術もない。


「司祭様……?」

「どうかされたのですか?」


異変に気づいた者たちが、慌てて声をかける。


「……人を集めろ」


掠れた声で、司祭は言った。


「すぐに調べなければならない」


何百年も遡る聖女の記録。

奇跡の行使、加護の継承、祈りと浄化。


だが――

“覚醒”という言葉は、どこにも存在しなかった。


「十九の年に、旅立て……」


それは命令か。

それとも警告か。

猶予なのか、期限なのか。


誰にも、分からない。


ただひとつ、確かなのは――


十九の年には、何かが起きる。


それだけだった。


学園の中庭で、リリアはノワールと日向ぼっこをしていた。


膝の上には、黒い猫。


「今日も、暖かいね」


そう言って、首元を撫でる。


ノワールは何も答えない。

ただ、目を細めて、そこにいた。


女神が現れたことも。

期限が示されたことも。

リリアは、知らない。


知らないまま、 変わらない日常を生きている。


それが、 今の世界に許された唯一の平穏だった。



---



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ