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08(月彦の視点) 中間テストの成績と勧誘

 中間テストの結果が貼り出された。

 僕は一年の24位。

 この学校は頭がいい人が多いとどこかで聞いたことがある。中々嬉しい。

 教室へ行こうとした時、見知らぬ男子生徒に呼び止められた。

雅川(ががわ)月彦(つきひこ)だな、お前が、頭もよく女子みたいに可愛くカッコよくてクールだけど一匹狼みたいな雅川(ががわ)だ、そうだろう?」

「……さあ、そうなんじゃない?」

 と僕が言うと、取り巻きっぽい男が、僕を呼び止めた男に向けて。

「凄いっす! よく分かりましたね!」

「ふふん、そうだろう、とはいえ、みんなからの写プーメのおかげだがな!」

 写プーメというのは、写真を載せたプライベートメールのことだ。プライベートメール(以下プーメ)は、遠い過去の「ライン」みたいなものだ。

「いや誰が撮ったんだよ」僕はつい溜め息。「撮っていい? なんて、言われてねぇし。ゾッとするわ」

 呆れながら歩き出して教室に向かおうとするも、なぜ話し掛けられたのかが謎だと思った。

「で、僕が雅川(ががわ)だから何なんですか?」

 すると胸を張っている方の……眼鏡の男子生徒が。

「演劇部に――」

「入りません」

「なぜ!」

「興味がないからです。要件はそれだけですか?」

「あ、ああ」

「じゃ、さよなら」

 そして足早に教室へと――向かえなかった。

 別の、眼鏡の男子が来た。

「興味がないから……と聞いたが、つまり、キミは噂ではカメラを学校に持ってくるほどの人だから、そういう興味のある写真部には――」

「入りません」

「ホワイ!」

「なんというか……部に入ったら、撮りたくない写真まで撮らされそうで」

「じゃあそれはさせないから」

「ん~~……いや、それでもやっぱり嫌です。何も知らない人からは、部に入ってるってだけで頼まれそうで。あの。誘いたい気持ちは分かります、僕カメラ持ってるし。でもすみません」

「そっか……うん、分かったよ」

「では」

 話の分かる人との話は気持ちよく終われるから嬉しい。

 また別の、今度はガチムチ眼鏡が。

「我が美術部の被写体になってみないか!」

「なりません」

「そっか……」

 しょんぼりしたその人に、何となく、何か言いたくなった。

「変な僕よりもっといい人がいますよ。……じゃあ、そういうことなんで――。んー……美術、頑張ってください。じゃあ失礼します」

 先輩っぽい気がしたから一礼した。

 それから、やっと教室へと向かった。

 途中に三組の教室がある。窓も開いてないから、横目に知り合いを見付けることもできないまま、一組の教室へと入った。それを、ちょっとだけ残念だと思った。

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