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06(呼夢の視点) 騒動を見ていた私と放課後

 なんで急に月彦(つきひこ)くん自ら三組に来たのかと思ったら、黒板に悪口を書いた犯人を探していたという事だった。

 本当にウチの女子がその犯人だったらしくて、よかれと思ってやったらしくて。

四堂(しどう)さん」が全面的に悪いし、これ以上彼女が早合点しなければいいなと思う。それと同時に、月彦くんの誤解がうまく解けそうでよかったとも思った。

 ――昨日の今日でハードな学校生活になりすぎじゃない? 月彦くん大丈夫なのかな。まあ、誤解が解ければもう大丈夫だろうけど……。変な印象、付いてないかなあ……。

「あの子が月彦くん……? 可愛くて女の子みたいだけど、なんか怖いね」

「そうかもしれないけど、それは怒ったからだよ」

「怒ったって冷静でいられたらその方がいいじゃん」

 隣の友人女子はクールにそう言うんだけど、でも。

「そりゃあ、嫌なことされた本人がそうできたら――いいねとは思うよ。しかもその悪口が的に当たってすらいないワケで」

「…………まぁ、確かに……。辛いけどでもやっぱり」

「あのね」

 私は考えを整理した。気持ちも。

 それから私は言った。

「私だって、冷静でいられるか分からないよ。自分がされたら、印象が固定されて……人生終わったと思っちゃうかもしれない。この学校には嘘を見分けられる先生がいたからよかったけど、そういうSTEOP(スティープ)能力を持った人がいなかったら――? 私だって、ついさっき知ったんだよ、あの先生がそうだって。それにさ、その……まぁ別の方法でもいいけど、疑いを晴らすことが、もしできなかったら? 色んなことを、知らなかったり、怖かったりしたら、心細くて、ああなっちゃうかも。そうなる人の気持ち、私は分かりたいな。というか、そこまで変な対応じゃなかったんじゃない?」

「………まぁ、そうだね。そっか」

「それに、四堂(しどう)さんのやり方は月彦くんを悪と決めつけ過ぎてたみたいだし。確かめたらよかったよね、書いてしまう前に」

「まぁ、ね……」

 そんな事があっても、授業はいつも通り。

 そして放課後。

 私は服飾・手芸部に所属していて、帰りのホームルームのあとは被服室に向かう。

 入ってただただ布を裁ち、縫う。

 こうして作った衣装でたまにショーをする。個人的な服も作る。そっちの方が私の主目的。

 ――そう言えば。月彦くんは、放課後、どうするんだろう?

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