表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
STEOP 気になる異装のはとこさん  作者: 弧川ふき@ひのかみゆみ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

32/42

32(月彦の視点) 文化祭の案

 新ヶ木(にいがき)市立明先(めいせん)高校の、文化祭がもうじき開催される。

 最近、そのための取り決めや準備で、学校は大忙し、かつ、大にぎわいだ。

 呼夢(こゆめ)のいる一年三組は、校舎前のテントでゼリーを売ると聞いた。ほかには、ソフトクリームを売る店もある。まあ定番だなと思う。そして正直撮りたいと思った。


 少し時間を遡る。一年一組はどう話し合ったかという話。

「クラスが端だし吸引力があるものがいいよね」

 いつか、サダッチがそう提言した。

 それならと思ったのだろう、荒川(あらかわ)さんという女子が勢いよく手を上げて。

「何かの喫茶にしない? フルーツの……フルーツ餅の!」

 ――さては流行ってるのか? 新高丘(にいたかおか)夏祭りでもいちごもちがあった。そういうのが――別でもあったのかもしれないな……。

「いいね」

「いいかも」

 と賛同の声が上がって、そこに、田畑山(たばたやま)さんという女子の提案も加わった。

「じゃあ男子は女装して、女子は男装で!」

 そうして、一年一組の出し物は、「異性装フルーツ餅喫茶」に決まった。

 どんなフルーツを使うのかが次の議題。

「いちご、キウイ、ミニオレンジ……」

「そんなに多くできなくない?」

「じゃあいちごとキウイくらいで」

「じゃあそれプラス紅茶ね」

「じゃああと、服装は……」


 準備はそれほど難しくはなかった。「カット担当は切り方を気を付けて」なんてことはあったけれど。あとはクラスをカフェに彩っていくだけ。

 呼夢(こゆめ)は、僕が何をやるのかを、洲中(すなか)家のリビングにて座って話していて知った時、目をバタバタさせた。

「絶対! 見に行くね」

「んふへ? どうぞどうぞ、ふふ」

「なんか余裕? 最近恥ずかしがんないね」

「最近は……呼夢(こゆめ)の反応が楽しみ過ぎる、かな」

「そうなの?」

「見惚れてこけたりしないでね」

 僕がイジワルく言うと、呼夢(こゆめ)は、

「んがー! こけないもんね!」

 と、部屋へ行ってしまった。「おやすみ!」そう言い残して。

 ――なんというか……このままでもいいんじゃないかな――なんて、思っちゃうケド……。

 普通にしようとしているのに、普通にさせられないでもいるというか。

 この気持ちを、いつ伝えるべきなのか。

 とりあえず文化祭は、掻き乱したりせずに穏やかに終えたい。そう思ってから、僕も立ち上がり、寝る準備を始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ