表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
STEOP 気になる異装のはとこさん  作者: 弧川ふき@ひのかみゆみ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/42

22(月彦の視点) 四堂さんと変な男の子

 ダムに行った日から数日。海と町中の中間くらいにある新ヶ木(にいがき)タワーを見に行った。

 個人的には、そこからの景色より、タワーそのものの方が気に入った。特にフォルム。だから激写の連続だ。


 それからまた数日後。リビングで呼夢(こゆめ)と夏休みの課題をやっている時だった。

「ノルマ終わったの? ね、ここ教えて?」

 そう言った呼夢(こゆめ)の隣に座り直して、どれどれ……と見やる。

「この文が表現しているのはどこなんだろう、ってまず探そう」

 少しヒントを出しても自力で解いてもらった。

「じゃ、これは?」

「考え方としては、まず、三角形を描くと分かるよ。その分母部分はここのことだから――」

 これのヒントはこのくらいでいいか、と思ったが、

「ほら、やってみて」

 と僕が言っても、

「え、あ、ごめん、もう一回言って」

 だなんて。

「話はちゃんと聞いてよ」

「う、うん」

 ――あ、また『う、うん』だ。癖なのか? まあいいけど。

 なんか話を聴いてない時がある。

 ――最近までそんなこと無かったのに。いつ頃からかし出してて……。変な病気……じゃなきゃいいけど……。

 注意しておこうかな……と思ってすぐ、呼夢(こゆめ)の声。

「できた!」

「よぉし、じゃあ完了だ」

 そこへ電話が掛かった。

 腕時計型からフォンボードに変形させたままリビングのテーブルの脇に置いていたので、手に取って画面を見る。そして分かった。

 サダッチだ。

「ねぇ、今、暇?」

「暇になったよ。で、何?」

 窓の方を見ながら、予想した。多分「遊ぼうぜー」これだ。

「今学校のヤツらといるんだよ。(つき)ちゃんも来たらいいのにって話しててさ」

「ん~……じゃあ行こうかな、どこ?」

 僕が場所を聴いている傍らで、呼夢(こゆめ)は筆記用具を片付け、宿題とともに自室に戻ったみたいだった、振り向いたらいなかった。

 場所の名を聞いてフォンで調べて、

「じゃあ友達の所に行ってきます」

 と言うと、キッチンにいたおばさんから、

「行ってらっしゃい」

 と送り出された。

「行ってきます」


 いつものカメラ「トリズン」もケースに入れてそのベルトのような紐を首に掛けている。

 ダムに行った時と同じ格好で、バスに乗って向かう。

 この姿を見た友人の反応はどうなのか、少し気になる。

 ――知ってたりして。何かの……魔女のコスだっけ。まぁそこまで変じゃないし、気付かれないかもだけど。


 スポービルという施設にやって来た。ここではテニスやバドミントン、ボウリング、ボルダリングなどができる――とサイトにあった。

 迎えのサダッチにつれられ案内された所(ボウリングエリア)にいたのは、パッセ(八瀬(やせ)くん)と、同じクラスの女子2人と、別のクラスの5人(男3人・女2人)だった。代金を払い、近付く。

 別のクラスの女子1人をよく憶えている。転入してすぐの頃に揉めた相手。

「あ、この子、四堂(しどう)さん。前に、カン違いから衝突があったけど……」

 と、サダッチに言われ、僕は告げるべきだと思った。

「もう気にしてないよ」

「ほっ……よかった……」

 と言った彼女のフルネームは四堂(しどう)際美(きわみ)というらしい。

 ――誰かを守る気持ちからだから悪い子じゃないって話なんだよな、突っ走りさえしなきゃ……失礼じゃなきゃイイし……。

 色んな出会いがあるなぁと思いながら、みんなに加わる。

 格好については何も言われなかった、ちょっと残念。

 カメラに関して別のクラスの男子が聞いたから、

「風景を撮るのが好きなんだ」

 と、みんなに言うつもりで答えた。

「いつも持ってるんだね」

 と、クール女子が言った。

「いつもじゃないよ。ただ、撮りたくなる瞬間を見逃したくない、かな。あと、こうしてると、安心する」

 するとクール女子が笑った。

「変な……変な…………変な男の子だね」

「そうだね」自分でも笑った。

 それから数分後、別のクラスの、さっき話したクール女子が、もう1人――女子をここに連れて来た。

「えっ」

 呼夢(こゆめ)だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ