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サブキャラでReスタートの俺  作者: 加納 美香
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第95話 ツクヨミ

その夜は満月。それは起こる。


皇国にある、とある部屋にある勾玉。それが振動する。

幾度目の満月だろうか。実際、満月の夜に振動をしていた。

誰も気が付かない所で。


その勾玉は、ついに表面にも亀裂を作る。

そして、砕けた。


その勾玉から飛び出した何か。それは魂。

そしてその魂の行く先は、・・・体。


「やっと、そう、やっとだ。」


その魂が移った体が起き上がる。

これが、私の体。その体は、いや、顔は両手を見る。

起き上がり、鏡を見る。


「幼っさいな!15~18歳くらいか!」


「確認だ。ある時、私は吸い上げられるように魂を飛ばされた。

 多分、この世界。何者かに。しかし、体に向かうと思ったが、何故か。」


「網にかかった魚とは、こういう気持ちだったのだろうか。

 私は囚われた。こう言う事になると知っていれば、防御も出来たかもしれない。

 しかし・・・。素の状態ではどうしようもない。父上や姉の様な耐性が

 私にはない。・・・情けない。」


ドアを開け、通路に出る。この様式は日本ではない。どこかの国。

もしくは・・・。どこかの世界。明らかに後者だ。


時はすでに闇夜の刻。この時には父上や姉上は起きてはいないか・・・。

私はとある部屋に入る。その部屋には・・・。驚きの表情をしたヒルコが居た。


「あ、兄上?」


兄は驚きの表情を浮かべる。それは私が生きていたというよりも

あの、拘束された、いや、隔離された入れ物から出てきた驚きだろう。


「どうやって勾玉から!じ、自力で出てきたのか!?」


自力。まぁ自力と言えば自力だ。私の力が最大になる刻。可能な限り抵抗する。

そして、打ち破った。・・・それだけの事だ。

大したことはなかった、と言いたかったが術式が違った。

明らかに日本のモノではなかった。しかし、構造、構築のやり方は同じだ。

言葉、いや、文様が違うだけだ。


「す、すぐにイザナギ様に!」


ヒルコは慌てながら部屋を出て行く。多分、父上呼びにいったのか。

父もいるんだな、ここに。


少しして・・・誰!?という風貌の人が入ってくる。まぁ姿かたちが違えど

誰かはわかる。父上だ。


「ど、どうやって勾玉から魂が抜けてきたのだ!?」


父上は驚いた表情で私に聞いてきた。

・・・勾玉。なるほど、私の魂は勾玉に囚われていたのか。

私はこの世界に来た時に『網』の様なモノにからめとられたことを伝える。話を聞くと、母上も・・・。その勾玉に囚われていると言われた。

なるほどね、母上もそういったモノに耐性はない。

自分ではバンバンかけるくせにだ・・・。まぁ先手を打たれたという事だ。

私もだが、情けない。この体たらく。


「よ、よくぞ!帰ってくれた!ツクヨミ!」


父上は少し涙ぐみながら私の手を握る。

その父の感情で・・・。今、私達が置かれている立場が分かる。

取りあえず、腹が減ったと伝え、食事をとりながら3人で話し合う。

この世界の事、おかれている立場、そして、目指す着地点。


私は失礼ながら食事をとりながら父上に返答する。

私に術式を掛けたモノを捕らえれば全て終わるのでは?、と。


イレギュラーな存在?妖精使いと言われる、人族とも、魔族とも言えない存在。

私は少し考える。それに何の問題があるのだろうか。

そう返答すると、父は着地点を再度、話した。


私は父に言う。

それは、傲慢だ。父上が言ったこの世界が真実ならば、私達は新参者だ。

ならば、人族の世にするという考えはやめた方が良い。と。

勿論、向こうの世界では私達は敬われ、神とも言われていた。

しかし、この世界では通用しない。


『神族』?なるほど。私達はこの世界の過去にも同族が居たの?

・・・それは誰?と問うが父は口ごもる。


食事が終わったら、2~3日くらい書庫に籠ると伝え、この美味しい

食事を残さず食べることにした。そして、私は言う。


「ご馳走様」と。


部屋から出る時に父は私に問うてきた。


「ほかの勾玉から魂を解放できるか?」と。

私は答えた。「可能かもしれないし、不可能かもしれない」と。何故ならば。

術式の解体が・・・。偶然かもしれない。


ただ、わかったことがある。この術式を掛けたのは、私と同じ背景を持っている。

それが術式に現れている。私はツクヨミ。

月夜にこそ力が発揮できる。そして、この術式を施したモノ。そ奴も。


夜にこそ力を発揮できるモノ。・・・・同系統だ。

大陸のモノだろうか。それとも、噂に聞く世界創世のモノだろうか。

・・・父には悪いが、ワクワクが止まらない。


私の力を霊力と言う。そのモノの術式は文字?は違うが流れは同じだ。

簡単に当てはめることが出来た。それは。系統が同じだからだ。


炎、水、土、風。霊力には大きく分けるとそう言ったモノになる。しかし。

それは違う。それは結果だ。結果、炎。結果、水。というように。

みな普通に唱えるが言葉、いや、文字という単位で話すと。系統がある。


私と対をなす系統、それは姉、アマテラス。

同じ炎でも実は違う。結果は同じだ。何かが燃えるという結果。しかし

過程が違う。・・・まぁ今はいいか。長くなるし。


そう言えば姉は?と聞くと父は

「どっかに言った!」そう言うとなぜそうなったかも言った・・・。

この世界でも、向こうの世界と同じことをやる親子。

私は頭を抱えながらも・・・笑った。


次の日。この国に響き渡った。何が?私が目を覚ました事が。

この国の民は喜んでくれた。・・・私も嬉しかった。そして私の立場を

再確認した。


・・・姉上と合流するか?いや、優先は母上だ。一刻も早く母上を

体現させる事が・・・。私達を捕らえたモノへの圧力となるだろう。


しかし、よかった。父上と姉上がギリギリでも同じ方向を見ている事が。

もしも、反目しあっていれば、私は・・・。どっちに付いただろうか。

まぁ、・・・みんな正しいか。そう、私に術式を掛けた敵さえも、正しい。


父と姉は黄龍と言う存在を探している。・・・誰だろう。本当の黄龍は。

そりゃあ判る。だって日本の魂をこの世界に大量に送ったのだ。

日本の誰か。本来、黄龍は大陸の存在。


魂の解放は私で出来るはずだ。しかし、別の理由として黄龍を探してほしい。

それが私の答え。


そう言えば、父の話の中で面白い存在を知った。

それは妖精使いのユキ・・・ではなく、キョークと言う存在。


父上は他愛のない存在と言った。彼は弱い、とも。

そうだ、彼は弱い。とてつもなく弱い。他の妖精使いと比べて。

少しの差とかそんなもんではない。極端に弱い。いや、弱かったと言うべきだ。

妖精使いは総じて強い。ユキ、ミツル、そしてリホ。

今でこそリホは中の下だが当初は強かった。


その中でキョークの弱さが際立っている。

私は父に進言する。「妖精使い」の中では特にキョークに、キョークの

動向に気を付けた方がいい、と。それを話すと父は鼻で笑った。

・・・父の悪い癖だ。まぁいいか。私が気を付けておけばいいだけだ。


そして私は、まず姉の使徒であるタギリとタギツの魂の開放に取り掛かる。

ほっほっほ。中からと外からでは結構違うもんだな!やばい!楽しい!


こんな術式をつかった奴に会ってみたいな!


★★★★ニュクスの街★★★★


「魔王様、いやキョーク様。皇国の皇太子の一人が目を覚ましました。

 勾玉からの目覚めと思われます。」


マカーブルの配下から俺は聞く。それは!?黄龍がやったの!?

その問いに、そのモノは首を振った。


「黄龍の存在は皇国では確認しておりません。多分、何かの力で

 魂が解放されたかと思われます。」


黄龍の力無しで?どうやって!?・・・あれ?ちょっと待って。

違うんじゃないか?俺は間違ってたかもしれない。

魂の転写と勾玉からの魂を抜く事。これは同じではないんじゃないか?


初歩的な考え違いだ。


何故ならば勾玉は体ではないからだ。ただの入れ物だ。

それは、魂は隔離されていると思った方がいいのでは?


そうだ、今気づいた。俺と勾玉は全く違う・・・。と。

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