第83話 各々の考え
その日、隕石が落ちることになっていた。
私は最後の時をどうやって迎えるか、考えていたが
一番好きなことをして向かえる事に決めた。
ゲームをしながら。
家族は私に「勝手にしなさい」と言ってどこかへと言った。
お金を持っている人達はヨーロッパとかに行ったらしいが
私の家庭はそこまでお金は持っていなかった。
父は母に、母は父に。今までの感謝ではなく、雑言を吐き散らかし
喧嘩をした。どこに行ったかなんてどうでもよかった。
私の事なんて本当にどうでもいい感じだった。
私はゲームにログインした。
やはりこの世界はいい。
よく見ると私以外で5人の人がログインしていた。
フレンドではない。そもそもフレンドは作らなかったから。
アノ人かな?この人かな?と想像しながらゲームをしていた。
そういえばPvPでのあの人。私と同じくらいの廃人。
まぁログインはしていないだろうなぁ。
一時すると、チャットが飛び込んできた。
「早く!ダイブをするのです!」
はい?私は少し戸惑ったが・・・。私はすぐにダイブをした!
だって!私が!夢見た!異世界転生の扉が開いたのだ!突然に!
モニターに頭打ち付けても誰も笑わない。こんな時だ。
しかし!本当にモニターの中に入ってしまった!
・・・おもわずコントローラーを持ったままだった。
入った先は思い入れのある闘技場だった。
後ろから妖精が話しかけてきた。
「素直に入ってきてくれてありがとう。素直過ぎて驚いたけど。
でも本当によかったわ。あなたを救いたかったの。」
そう言ってきた妖精は自身をサンテミリオンと言った。
・・・じゃあ「サンちゃん」だ。といったらくすくすと笑った。
何故だろう、普通に話せる自分が居る。
「ここはね・・・」とサンちゃんが言いかけるといきなり兵士たちが
私を取り囲んだ。まじですかぁああああ!敵!?敵なの私!
思わず手に持っていたコントローラーを握りしめてしまった!が!
いきなりステータス画面が現れる。
囲まれているが確認だけはする、
装備・・・よし!
武器・・・よし!
HP、MP問題なし!
そして!レベル195!ステータス確認!
これで負けたらゴメンナサイだ!
「殺してはダメよ?頑張って!」
サンちゃんがそういうと何かの魔法を私に懸けた。
うーん、この剣だと殺しちゃうかもしれない。ならば、鞘から
抜かないで殴打しよう。・・・そうしよう。
襲い掛かってくる兵たちの動きが!・・・むっちゃ遅かった。
どうしよう!これは夢見た無双じゃないですか!
ヤバい!笑いが止まらない・・・・。そ、そうだ!
私は兵たちの攻撃を避けながら頭装備を非表示から表示に変えた。
私は白い仮面をつけている。自慢だが、激レアさんの装備だ。
ふっはっは!
PvPの時は神秘性を持たせるために表示にして戦った。
私の顔を見た事がある人は少ないだろう・・・。というかいないのでは?
20秒。
それが兵士達50人を転がした時間。
見渡して・・・うん。死んだ者はいない。
全員が少しは動いている。
とっとと、この場所から離れよう、そうしよう。
すると・・・。
「お、おまちください!お話を!是非に!
先に御名前をお伺いしたいのですが!」
文官らしき人が駆け寄ってきていきなり拝礼をしてきた。
「私・・・は、ユキ・・・とい・・うモノ・・です。」
あれ?旨く喋れない。うわあ、この世界でもコミュ障の私!?
まじかぁ・・・。
通された所は王の執務室だった。その男、リスボア・・・様?は
私にとても優しかった。・・・だから少し信じられなかった。
どうやら、皇王は毒殺されかかったらしい。
私の力を見込んで皇国の城へ行き、懲らしめて欲しいと。
・・・懲らしめる?まぁ遣れって事だろう。
私は異世界転生の主人公になった気がして・・・請け負った。
まるで王に依頼される勇者だった。・・・私的には。
時間指定までされ、いった王国の城は死体だらけだった。
私は思った。
・・・嵌められた。・・・と。
私は皇王を殺すつもりだったが・・・。
皇国の人達に英雄と呼ばれたのだ。
中には「皇国の化け物」というモノも居た。しかし、私は
悪い気はしなかった。何故ならば、異世界転生の主人公になった気分
だったからだ。しかし、リスボアは信用できなかったので
旅に出ることにした。私の力を考えてか、止はしなかった。
その後、眷属のキュウちゃんがいなくなったり・・・。
そして、とある小屋で・・会った。
アノ人に。
「だからぁ!ユキは料理できないの!?」
あーもう、ステラってどれだけ食いしん坊なのよ。
私もお腹が減ったのでストックの保存食を食べる。
・・・ステラは不満だった。だって私はコンビニ弁当派だ!
「そうだ!リホを探そう!」
突然にステラが言ったが、アンダーグラウンドでは有名な料理人だ。
・・・私と同じ、向こうの世界の人間。所謂、妖精使いだ。
もう少しでドワーフの里だったが・・・探す事にした。リホを。
だって、ステラが・・・うるさい。
★★★★ドワーフの里への道中★★★★
ミツル視点
レオのおかげだ。うまく脱出できたのは。
眷属はここまで強くなるのか。
当初は亜人の国へ行くことにしたが残念ながら皇国のガードが
硬かった。だから、俺達は南下をし、王国の領地へといく事にした。
頭に浮かんだのはあの海のある村だ。
・・・楽しかったな、あの海でのバーベキューは。まぁ魚だが。
道中は追手よりも魔獣の討伐だけだった。
リホは強い。スピードが恐ろしく早い。
短剣特化。持ってる武器は激レアだ。本当にレベル98なのか?
「ミツルさん?いつもとイメージが違うよ?楽しく行こうよ。
そんなミツルさんは見たくないな。」
突然のリホの一言に俺が返した言葉は・・・。
「俺はリホが好きだ。守りたい。守り抜きたい。」
あああああああああ、言っちまった!なんで言った!俺!
「魔獣も追っ手もないので食事にしませんか?
ある程度の食材は持ってきているのでなんでも作りますよ?」
その一言に俺は、卵焼きと味噌汁が食いたいと言った。
リホは微笑みながら・・・作ってくれた。
俺はこの女の子が好きだ。守りたい。
キョーク、俺はお前に何か感じるモノがある。
最初はお前を殺そうとしたが、今は友達と思っている。
俺は主人公ではないと思っている。異世界転生の主人公ではない。
俺は助演男優でいい。だからお前は主人公になれ。
この世界の敵は、残念ながら人間だ。
しかし、俺達も人間だ。落としどころは間違えるなよ?
俺は人間の国であの皇王に対抗する。だからお前は、お前の
やりたいように進め。俺を使え、駒のように。
期待しているぞ?お前のメインに。
・・・何とかしてユキさんと合流したいな。
★★★★魔王領 リリスの塔への道中★★★★
「旨いですな!このおにぎりというモノは!」
ヴァンさんが喜んでくれている。・・・どうでもいいが。
イブさんが言うには明日にでもリリスの塔へと到着する。
道中の魔獣はほぼほぼ全て魔族の方々・・・が倒してくれている。
俺は逐一、ステータスを見ている。何故ならばミツルとリホさんの
安否確認だ。HPの減りはないという事は安全に生きているって事だ。
それだけで十分だ。
俺は聞く。魔族の事を。
俺は聞く。俺のメインの事を。
「行けばわかります」
その一言だけしか言わないイブさんとリャナさん。
只々頷く、ヴァンさん。
流石に今までの事で色々と判っている。
マカーブルの遭遇、身の丈に似合わない武器。
リャナさんの協力。
このサブキャラで意識が飛んでメインに移った事で。
多分、俺は魔族の中で重要人物だ。
あの時リリスは俺に「魔王様」と言おうとしたのだろう。