第79話 クドラクの洞窟へ
他にも魔王について色々と聞きたかったが
会ってからの楽しみが減ると思ってそれ以上は聞かない。
雪丸も回復したようなので俺達は走り出す。
リリスの塔は魔王領の最北部にある。その為に
道中2回ほど夜営をしながらの移動となる。
一気にいけなくもないが・・・。と聞いたら道中の野獣を
狩りながら行くとの事。イブさんやリャナさんがてこずるほどの
野獣なのか・・・。と思ったら、リリスさんへのお土産らしい。うん。
「魔王領に入ったので幻惑を解きますね」
イブさんはそう言うと・・・!ニュクスとなる。
「あんたも解きなさいよ、リャナ」
そう言うと強引に?幻惑を剥がしてしまったイブさん。
今・・・。俺は二人の魔族に連れられて走っている。
ニュクスとリャナンシー。二人共凄く強そうな眷属に乗っている。
勿論飛行型。・・・いいな、欲しいな。
そういえば、この先に飛行型の卵を落とす洞窟のボスが居たな。
飛行型限定イベントがあった場所だ。勿論、イベントは糞だった!
俺の独り言を聞いたのだろう・・・。
「じゃあ行きましょう!どうせ道中ですしね!」
いかん、イブさんがそれはもう楽しそうだ。リャナさんが
苦笑いをするほどに。しかし、俺のレベルで行けるだろうか。
ジヴァニアの効果があるので行けなくもないが・・・。
「あ、大丈夫ですよ。キョークさん強いですから。
私もリャナも補助魔法ぶっぱしますし!もしかしたら
ジヴァニアちゃんの範囲神聖魔法?が役に立つかもよ?」
「ちゃん」!?ちゃん!?そんな言われ方をしたのでジヴァニアが
怒っていると思いきや・・・。
「え?まじで?私大活躍!?イブちゃんそれ本当よね!?」
「ちゃん」!?お前らいつの間にか仲良くなってるんじゃねえぞ!
最初は肌がヒリヒリするとか言ってたくせに!
確かにジヴァニアはどんどん強くなっている。というか、魔法の回数が
大幅に多く打てるようになっている。
「話は変わるけどさ、なんかこの頃・・・。まいっか。」
なんだよ!言いかけて引っ込めるのはしないでくれ!気になってしまう!
「なんかこの頃、体がむづ痒いのよね。」
そりゃあ、お前がキチンと風呂に入らないからだよ。と、言いたかったが
セクハラになるので止めた。
あれ?そうだ、ジヴァニアの魔法は「神聖」だ。それって
妖精と魔族は相反するモノって事になるんじゃないか?
と思っていたら、リャナさんが
「神聖魔法は私達も使えますよ?まぁ中級程度ですが。
上級まで使える魔族も居ますし。基本的に『魔法』と言うのは
魔族が使います。分類として神聖があるだけです。
多分、キョークさんは神族の事を考えているかと思いますが
神族が使うのは魔法ではありません。霊術です。魔力に当たるのが
霊力という事になります。それはどちらかと言うとスキルに
分類されるかもしれません。」
あれ?じゃあなおさらだ。ジヴァニアの魔法はスキルに分類されている。
・・・ちょっと待って?なおさらわからん。
だって「魔法」なのよ、ジヴァニアのは。しかし減るのはSP。
妖精の存在ってなんなんだ?いかん、疑問が増えた。
まぁ、あれだ。元々システムだし。なんでもありなのだろう。うん。
という思い込みは・・・やっぱダメだな。
今後、妖精についても調べる必要があるか。
そうこうしていると、その洞窟へと着いた・・・が。
「え?ここなんですか?」
とのニュクス・・・じゃない、イブさんの一言と、なんか渋い顔。
「ここかぁ」
と、リャナさんも珍しく渋い顔。
何故。
「仕方ありませんわ。本当に仕方ありません。なので少し
お待ちくださいませ。」
イブさんはそう言うと、なにか眷属の様な?魔族をどこかへ飛ばした。
そして俺に洞窟の入り口で待ってるように言うと
リャナさんも連れてどこかへと行った・・・。
★★★★魔王領 リリスの塔★★★★
~マカーブル視点~
少し前に魔王様がこちらに向かっていると連絡があった。
非常に!喜ばしい事だ!今まではあれやこれやと考えていたが
もうそんな事はいい!出たとこ勝負だ!
問題は魂をどうやって魔王様の本体へと移すかだ。
・・・というのを思案しているとニュクスのウツセミがやってくる。
いいなぁ、お前たち楽しそうで。
で、今度はなんなんだ?俺達は何を造ればいいのだ?
と思ったら・・・。
まじか!クドラクの洞窟に入るだと!?なんで!
「仕方ないじゃない。飛行型の眷属が欲しいって言われるんだもん」
だもん。って、その割には楽しそうじゃないか?ニュクスよ。
「楽しいのは楽しいんだけども、まさか、クドラクの洞窟とは。
そもそも、あそこって飛行型の魔獣っていたっけ?」
どうだろう、もうクドラクに聞くか。我は近くにいたクドラクを
呼び一緒に話をする。
「なんで俺の洞窟に行くんだよ。え?飛行型の眷属を手にする?
そんなのいるのか?あの洞窟に。俺が言うのだから間違いない!居ない!」
クドラクよ、威張りながら言うな。
「それに、なんなのよあの洞窟は。あの変な洞窟は」
ニュクスよ、それ以上言わないでくれ。クドラクが口をプルプルさせているぞ。
「お、俺だってな!お前たちの所みたいにしたかったんだよ!
かっこいい魔獣とか、魔族を侍らせてさ!まぁ、そりゃあ?
俺的にはかっこいい?とは思っているけど。」
・・・流石に我もそれはちょっと?と思うぞ?かっこいいのか?
まぁ感性とか好みはそれぞれだからな。
しかし、かっこいいという表現に当てはまらないと思うんだが。
あの魔族?魔獣?
「と・に・か・く!飛行型の魔獣・・・いや、魔族がいいんわね。
言う事聞く分。なんか準備してよ!それを卵に入れて
誕生させるのよ!」
おいおいおいおい!どうやったら魔族が卵から産まれるんだよ!
犬だって卵からは産まれんぞ!
「それが!魔王様の供のシルバーウルフは卵から産まれてるのよ!
どうにかしなさいよ!まじで!」
よし、話を纏めよう。というか纏めたい。
まず第一にクドラクの洞窟のボスを準備する。
それはあの変な魔獣でいいとする。
第二にドロップとして卵だ。そしてそこから飛行型の眷属を出す。
さて、飛行型の魔族・・・。
「もうさ、俺のあの魔族でいいんじゃないの?」
おい、クドラク。あれって飛行型なのか?飛んでるとこ見たことないぞ!
というかあれって魔族だったのか!
「つくづくお前らって糞だな。飛ぶんだよ!だって羽生えてるし!
畳んでいるからわからないと思うけどさ!」
じゃあお前はあるのか!?飛んでいる所見た事が!
ってか、さっきお前が「居ない」と言い切っていたじゃねえか!
「あ、あるさ!居るよ!?あるよ!?も、もういい!
俺、行っちゃう!洞窟へ。
そして説明する!決めた、もう決めた!」
そういうと魔方陣でどこかへと行ってしまったクドラク。
もう何言ってるのかわからん状態で・・・。
「本当に頼んだからね!変なことになったらマカーブルのせいって
事にするからね!じゃあね!」
★★★★クドラクの洞窟 入り口★★★★
「お待たせしました。いきましょう!中へ!」
なんか、めっちゃ汗をかいているイブさんとリャナさん。
準備運動でもしたのか?それほどまで強力な魔獣がいるのか・・・。
ゲームの時、この洞窟の推奨レベルは130だった。
しかし、初心者プレイヤーが参加できないという事で
ランダムパーティなっていた。
勿論ソロでも行けたがドロ率が大幅に違った。
初心者をパーティに入れるとドロ率が80%
ソロで入るとドロ率が6%となっていた。
そりゃあ街には初心者、因みにレベル50以下のプレイヤーを
募集するモノ達が多かった思い出。
言わなくてもいいが俺は後者。そりゃあ周回しましたよ。
そして俺達は洞窟へと入る。