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サブキャラでReスタートの俺  作者: 加納 美香
73/108

第73話 雪丸が主に対して思っている事?

エルフの里へ向けて移動する事4日目だ。

だいたい半分くらいの距離まで来ただろう。

村人は交互に荷馬車に乗り、移動の疲労を極力少なくする。


俺もたまにリャナさんやイブさんと御者を変わる。

バイコーン・・・じゃなく馬の操り方は習った。

結構楽しい。イブさんはそれはもう揚々として教えてくれた。


どうよ!?俺の御者能力!・・・そしたらスキルに『御者』が出た・・・。


徐々に明るい雰囲気になってきている。それでも、それは

明るくしよう、と言う皆の気持ちだ。そんな簡単に気持ちを切り替える

事が出来るはずもない。


これまで魔獣との遭遇はあったがそれほど強い魔獣ではなかったので

護衛としても楽だった。と、言うか。ニュクス、いやイブさんが強い。


改めてデバフ要員が居る事がこんなにも戦いが楽になると思い知った。

本当にパーティと言うモノはいいモノだ。ゲームの時、もしも、気の合う

仲間が居たら。分かり合える仲間が居たらと思ってしまう。


いまこそ、この世界で仲間を増やしこうやって旅をしているが。

違いは何だろう。

ゲームと今との違い。それは多分、相手の顔が見えるって事だ。

ゲームでは相手の顔が見えない。だから、チャットで判断するしかない。

同じ言葉でも自身で判断するしかない。

相手が怒っているんじゃないかといつもドキドキしていた。

相手の顔が見えない分、チャットを『うかがっていた』。

『w』なんか着いた時には気分が滅入った。

相手が急に敬語になったら気分が滅入った。


しかし今は相手の顔が見える。笑ってくれたら俺も笑える。

怒っていたら、素直に謝れる。


ゲームを否定しているわけではない。

もう少し、そう。俺も。もっと相手にわかりやすく、

チャットをしとけばよかったと今は思う。


そんな事を考えながら夜のご飯の支度をする。

俺っていつからこんなに献身的になったんだろう。

いや、違うか。なったのではなく、やりたいんだ。俺は。


既に食料も3分の1になってる。思った以上に消費が激しい。

米も残り少なくなっている。こんなことならもう少し持っているべきだった。


まだ道のりは半分だ。どこかで食料を補給しなければならない。

街に入るわけにはいかないので少し道を外れて森で狩猟をするか。


それか思い切ってリャナさんに先行させてエルフの里から支援を

持ってこさせるか・・・。

もし、皇国の追手が来た場合、リャナさん抜きで戦えるだろうか。

数が少なければいいが、多かったら・・・キツイな。


すると何かを悟った様に雪丸が俺の所に来てじっと見ている。

・・・まるで「俺が行く」とでも言ってるかのように。

雪丸を・・・行かすか。


俺は長とダンに支援要請の手紙を書き、雪丸に持たせる。

勿論、体に括りつける。


それを見て解体屋がいい塩梅の犬用ポシェットの様なモノを

準備し雪丸に装備させた。


「日用雑貨屋が生きていればもっとましなモノを・・。」


そう言いながら雪丸に装備させていた。

あぁ、そうだ。ダンになんて言おうか・・・。


俺は雪丸を撫で、「頼んだぞ?雪丸」そう言いながら笑いかける。

雪丸は尻尾を思いっきり振りながら俺を見て、そして


駆けだしていった。


★★★★エルフの里への道中★★★★

雪丸視点


エルフの里へと向け走っている。


俺は雪丸と呼ばれている。主はキョークだ。

俺は卵から産まれた。哺乳類のはずなのに!まぁいい。


俺は人の言葉は喋れないが、理解はできる。この事は多分、

主は知らない。ちょっと利口な狼くらいにしか思ってないだろう。


主は強い、しかし・・・分類をすれば馬鹿だ。

いや、頭が悪いって事ではない、鈍感なのだ。


主は訳あって体が二つある。一つはキョークと呼ばれ、俺を使役している。

もう一つは・・・、そう。魔王領にある。話によると女性らしい。

狼の俺には訳が分からんが。


そして多分、もう一つの体、それは魔王の体だ。

主は気づいていない。普通は気づく。狼の俺だって気づいた。

主の脳みそは相当小さいのかもしれない。


しかし俺は主が好きだ。もし、魂がもう一つに移っても

俺はついて行きたいと思っている。


しかし、これほどまでに疾走するのは初めてだ。

なんと気持ちの良い事なのだろう。


道中は魔獣にも目をくれず一気に走る。


既に辺りは暗い。疲れは少ししかないが確実を期すために少し休む。

俺は警戒スキルを発動し餌を求めちょっとした林の中に入っていく。

早々とフランゴが見つかり食す。が、ナニカ味気ない。

なるほど、俺は主たちが手間暇かけて料理と言うモノを食するのに

なれているんだな。・・・少し塩が欲しいな。まぁいい。


ん?あれは・・・なんだ?うっすらと光を放っている。

似たようなものを見た事がある。そう、主のライバルのユキが持っていた。

そう、「勾玉」だ。


魔獣を倒したら手に入るモノではないのか?こんな所に、それも

草の間から見つかるとは・・・。これは主への土産にしよう。

俺は軽く咥え、宙に投げる。それを腹についているポシェットなる

入れ物でキャッチする。俺はなんて器用な狼なんだろうと自画自賛。


そしてまた走り出す。すると、魔獣の群れに出くわした。

このまま通り過ぎてもいいが・・・数が多いな。


半数ほど・・・ヤルか。

主に鍛えられている分、この辺りの魔獣は余裕だ。

そう言えば俺のレベルは既に8だ。

この頃少し、体がむず痒い。あれだ、なんか体に変化が起こりそうな。

それに毛も多く抜け出している。最初はこのまま毛が全部抜けるのでは?

と心配したものだが、綺麗な毛が新しく生えているのを見てホッとした。


しかし、少し色が違うのは気がかりだ。・・・まあ今はそんな事はいい。

兎にも角にもエルフの里へと急がなければ。

そう言えば、レオは無事だろうか。うまく主であるリホを守っているだろうか。

この間あった時は少し太っていたが・・・。


お互い無事でまた会おうぞ。


ん?俺はこんなにも速く走れたのか?すでにエルフの里が見えるではないか。

なるほど、これがレベル8の能力か。

思いっきり、そう、全速力だとこれほどか。


そして俺はエルフの里へと着いた。あの場所からたったの半日。

恐るべし!俺!


門番は俺の事なぞ覚えていないだろう。さてどうやって中に入るか。

俺は門の所をうろうろとする。大周りをして裏からマキナの所から入るか。

あそこなら俺が行き来できる場所がある。


俺は大周りをしてマキナやダンのいる農場へと入る。

ダンは父親が死んだと聞いたら・・・。俺は少し胸が苦しくなった。


お、ちょうどいい所にマキナが居るではないか!

俺はマキナの所へと走っていく。


「あれ?キョークさんの雪丸じゃない!?どうしてここに居るのよ。」


旨い具合に聞いて来てくれたので俺はポシェットを食いちぎり

マキナの前に放り投げる。そして手紙をそっと口で咥え、渡した。

マキナは手紙を手に取り、読み始める。

まぁ長にあてた手紙だが、娘なので問題なかろう。


マキナは読み終わると、血相を変え、ダンを呼ぶ。


「お?大将の所の雪丸じゃねえか。って事は大将が来てるのか?」


ダンはそう言うと俺を撫でる。こいつ、撫でるのうまいんだよな・・・。

ダンはマキナと話をして血相を変える。

手紙には・・・ダンの親父の事は書いてあったのだろうか。いや、

書いてあるまい。主の事だ、直接話すに決まっている。


「雪丸もついて来て!すぐに準備させるわ!」


マキナと俺、そしてダンは長の所へと走っていく。


「よくがんばったわね、雪丸。偉い偉い」


そう言いながらマキナも俺を撫でる。そしてポシェットを

再び装備させてくれた。


どうやら準備をするのに少し時間がかかるようだ。

ダンとマキナ、長の話を聞いていると・・・。


俺はこのまますぐに帰らず、俺を先頭にマキナとダン、そして数人の

エルフで物資を持って救援に行くとの事。

そうこうしていると準備が出来たようだ。荷馬車が2台。

ほぼ食料が積んである。おお!マキナの弓装備は久しぶりに見たぞ。

ダンの両手剣もだ。・・・こいつら大丈夫だろうかとの不安もあるが。

まぁ何かあったら俺が働こう。他にもエルフが数人、弓を装備している。



よし!主の元へ行こうじゃないか!


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