表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サブキャラでReスタートの俺  作者: 加納 美香
71/108

第71話 惨劇

「村長!良く帰ってきてくれた!

 こりゃあいったいどういったことだ!」


雪丸と一緒に来た解体屋が興奮しながら言ってくる。

そりゃあ俺だって知りたいよ・・・。


他の皆の事を聞いたら薬屋は森の小屋に十数人で逃げたらしい。

因みに解体屋は地下倉庫に隠れていたらしい。


俺達は解体屋に連れられて森の倉庫にいくと・・・。

女将、薬屋が居た。よかったよ!他にも数人がいる。


数えてみると全員で18人。ん?日用雑貨屋が居ない。

俺はどこかに様子見に言ってるのかを尋ねると・・・。


「俺達を逃がすために火を付けたり追っかけてくる奴らに

 自分を囮にしたんだ・・・。それから消息が分からないの。」


女将は力のない声で俺にそう言うと探してくれと頼んできた。

俺は皆にここに居る様に言い、ミツル、雪丸とニューロンを護衛につけ

村へとリャナさんと戻った。


女将の話と逃げてきた道を逆走していくと・・・、噴水の所に

よく見た服装の、血まみれの服装の日用雑貨屋が死んでいた。

俺はリャナさんに復活させられるか聞いたら・・・。

リャナさんは首を横に振る。


「魂魄がすでに霧散しています。」


俺は日用雑貨屋を抱え、森の小屋へと戻った。


・・・俺のせいだ。俺が簡単に議会で判断したせいだ。

俺は小屋の皆に謝る・・・。謝ってもどうする事も出来ないが

兎に角、「すまない、俺のせいだ」を繰り返した。


「村長のせいじゃないさ。俺達は全員で村長の考えた通りに

してくれと言ったんだ。悪いのは火を放ちやがった奴らだ。」

解体屋がそう言った後に


「ありゃあ、兵士達だよ。動きに統制が取れていた。冒険者でも、

 落ちぶれた奴らでもないよ!

 それに乱暴を働いた奴らの動きが・・・どうみても兵隊だ。」


可能性は・・・皇国。

ここまでやるのか・・・。・・・リスボアめ。

多分、再度、今すぐ皇国のモノ達がここに来ることはないだろう。

しかし・・・。王国が皇国になった場合はどんな目に、

この村の生き残りが・・・。ん?200人ほどいたのは

後、どれくらい残ってるんだ?


もう一度村へ残っているかもしれない村人を探しに行く。

今度はミツルだけを残し、他皆で村全体を探していく。が、

あるのは死体だけだった。


「綺麗な切り口です。」


あぁ、これは確かに女将の言った様に相手は兵士だろう。

それも結構な手練れの。


俺は可能な限り死体を集める。

向うの世界ではこんなこと絶対にできなかっただろう。

だって、死体だ。・・・この世界では出来るんだなこんなこと。


そして・・・リャナさんに言って燃やした。


俺達は小屋帰る。


「これからどうしようかねぇ。」


女将の一言に全員が俯く。

皇国になった場合はこういった事ではなく、別な方法で

色々とやってくるかもしれない。税金やら取り立てやら。


くっそ、今にでも皇国に乗り込んで・・・と思ったが

どうせ、知らぬ存ぜぬなんだろう。


あ、そうだ。取りあえず俺は保存食を全員に配る。

まぁおにぎりなんだが。ストレージに入れておいたから

問題ないだろう。


しかしここは結構しっかりしている小屋だな。と薬屋に

聞いたら実際はこっちが俺の家だ、と言っていた。

ならばと、今日はここで全員休むことにした。

警戒には雪丸とニューロンが当たるので全員ゆっくりと

休んでくれと言った。・・・言ったが、まぁ無理だろうな。


一人の男が目に涙を浮かべ

「なぁ、アイツら皇国の奴らなんだろ?」

そう言ってくる。どうやら奥さんと子供を殺されたらしい。

「仇を取ってくれよ・・・村長。あんた強いんだろ!?」


そういうと俺にしがみ付き、崩れ落ちる。

「頼むよ・・・仇を取ってくれよ・・・。」

そう言いながら泣いている・・・。


「隣の村にでも移るかねぇ。まぁ受け入れてはくれないだろうねぇ」

女将はそう言いながらその男の肩を抱き椅子に座らせる。


「そうだな、ここに居ても同じことの繰り返しかもしれんな。

 しかし、だからと言ってこんなことをする奴らの一部には

 なりたくねえな。それこそ日用雑貨屋もいやだろう。」


薬屋がそう言うと全員が頷く。


日用雑貨屋・・・。ダンにもこの事を伝えないといけないな。

親父は皆を逃がすために死んだって・・・。


・・・ダン。そうか、ダンだ。

俺は皆に一つの提案をする。そう、ダンが居るエルフの里へ

向かう気はある?と。


俺はエルフの里の事を説明する。


「しかし、ここから結構遠いな。若い奴はいいが

 年配には結構な旅になるな。」


誰かがそう言うと薬屋が荷馬車は2台はあるにはある。

1つは5人乗り、1つはまぁ、荷物運び用。

交代で休みながら行けば何とかなるのでは?とも言ってきた。

しかし、馬が居ない。3頭は必要だ。馬も・・・焼け死んだ。


その時にリャナさんが俺に話があると小屋の外へと連れだした。


「馬を準備します。まぁ本物ではありませんが。魔王領で飼っている

 獣が居ります。馬によく似ているので幻惑で隠します。

 よっぽどの者でもない限り、普通の馬と見えるでしょう。」


因みにその獣は?と聞いたら『バイコーン』と言われた。

ただ、召喚に時間が必要である事。MP回復を待ってからとの事なので

翌日以降になるとの事。


そして、魔王領に居る仲間の力を借りると言ってきた・・・。

俺は、仲間の魔族の名前を聞くかどうか迷ったが、聞いてみる。


「ニュクスです」


あぁ、リャナさん、いやリャナンシーと同じく敵にしたくない魔族だ。

やはり、リャナンシーと同じで単体では問題ないが・・・攻撃特化の

魔族と一緒に居たらクッソメンドクサイ魔族の1位と2位。

リャナンシーがこちらのバフ特化型ならニュクスはデバフ特化型の魔族。

バフはこちらの強化、デバフは敵の弱体化となる。


この際、村の残りの人達が救われるならなんだっていい!

俺はリャナさんに頭を下げお願いした。

リャナさんは慌てて、俺に頭を下げるのを止める。

ニュクスもキョークさんの手伝いが出来るって事でうれしいと思います。

とも言ってくれる。

なるほど、ヤミガラスを通じて俺の事を話していたのか。そりゃそうだ。


俺はてっきりリリスかと思った。


と、呟いたらリャナさんはハッとした顔をして、実はリリスも仲間と

教えてくれた。


そうだったのか!どうりで餃子があの味だったのか!

それにシャンプーも!

という事は!俺はわかった!リャナさん達は!・・・そう!


男型魔族と対峙している!


そうならば!俺がメインの体を手にしたら男型魔族を駆逐してやろう!

そうしよう!絶対そうしよう!


小屋にもどりリャナさんの友達が馬を持っている事を伝え、それを

借りるという事を言った。・・・嘘だけど。でも良い嘘だ。


因みに薬屋に数種類の薬草を準備してもらってMPポーションを

錬金する。


「それはなんだ?」


薬屋は興味津々だったのでMP回復薬だと教えて上げたら

もう一度目の前でゆっくりと作ってくれと懇願してきた。

・・・もちろんしてあげた。


リャナさんは友達の所へ行くと皆に言い明日の夕方には帰ってくるとも

伝え小屋を出て行った。


取りあえず今日は寝よう。そう皆に言い、体にかける布を準備し

全員に配った。


小声でミツルが俺に

「リホさんも危ないな。・・・もし、エルフの里までの護衛が

 十分なら俺が迎えに行こうか?リホさん。」


そうだな、確かに一番危ない。ある程度のレベルならば

リホさんの敵ではないが数で来られたら・・・。

俺はミツルに、そうしてくれるように頼んだ。


「こんな時に、なんだが。俺さ、もしかしたらリホに惚れてるかもしれん。

 ・・・すまんなこんな時に。」


ならばなおさら行かないとな!


そう言うと、ミツルは居てもたってもいられなかったのだろう。

今から行くと言い出したので、俺はある程度の物資を渡した。

まぁ薬草なんだが。


「大丈夫、俺は不死身だ。それにファルツだっている。

 こいつの能力も結構すごいんだぜ?」


そういうと小屋を出て行った。

ほ、ほう。ファルツの他の能力が気になった俺だった。


全員が体を横にして寝ているが・・・。

全員寝れないんだろう・・・。

方々で、すすり泣く声が聞こえる。


俺も何かを考えているが、色々と考えすぎて

何を考えているのかさえよくわからなかった。


・・・そしていつの間にか夜が明ける。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ