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サブキャラでReスタートの俺  作者: 加納 美香
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第66話 海にて①

道中はやはり魔獣は出ない・・・。なんで?

そんなこんなで、2回夜営をして村に入る。

あいもかわらず、宿屋の前が騒々しい。今度は何!


「お、村長じゃねえか!聞いてくれ、ついに極上の

 ラーメンが出来たんだよ!」


おいおい。なんて平和なんだよ、この村は。

どれどれ、食ってみようじゃねえか。


「あら、村長っていつもイイ時に来るのね。

 完璧よ!完ぺきなラーメンよ!」


女将はそう言うと俺に、どんぶりを渡す。食ってやろうじゃねえか!

「私も食べたい!」

ステラも所望した。・・・こいつ。


他の皆にも振舞われる。

「こ、これは!旨い!が、しかし!」

かつ丼娘・・・もとい、ステラが眉間にしわを寄せている。


あー。これは、あれだ。残念ながら・・・ラーメンではない!

もうかんぜんにスープスパゲッティ。

しかし、これはこれでうまい。魚介のうまみがスープに・・・。

魚介?この村で?何故?


「この間さ、隣の隣の、そのまた隣の村から行商が来て

 買っちゃったのよ。沢山。」


あれ?海あったっけ・・・。

俺はそう言った女将に残念ながら料理違いと言ったら

凄くへこんでいた。仕方がないのでリホさんのメモを渡すと、めっちゃ

喜んでいた。


俺達は宿屋へと行き、ステラに護衛料を貰った。毎度あり。

ってか、護衛必要だったか?まあいいや。


ステラはこの後、どうやら隣のその隣の、またその隣の村に行くらしい。

そう、海産物を行商に来た奴の村だ。


「海ってなかったわよね、ゲームの時に」

普通に喋るユキさんが俺に聞いてきた。どうやらステラ達に

人見知りするのはクリアしたようだ。


「そうだな、まぁ噂では次のアップデートでって言われていたけどな。

 黄龍実装と同時に。」


ミツルがそう言うと、「あぁ確かに」とユキさんも納得。

あれ?知らなかったの俺だけ?仕方ないので知ったふりをした。


「というかさ、貴方この村の村長だったの?笑える。」


ステラがそう言ってきたので俺は「成り行き」と答えた。

経緯を話したらめっちゃ笑ってた。と言うか、ミツルもユキさんも

驚いていた・・・。言ってなかったっけ。


「ねぇ、このまま私の護衛をしない?あなた達と居ると、凄く

 楽しいし。どう?護衛料は勿論払うんだけど。目的地まで。

 お願い!金貨10枚!でどお?」


俺はミツルとユキさんの顔尾見る。二人が頷く。

それはもう、首が捥げるんじゃないかと言うほどに!


そして俺達は宿屋へと入るが・・・。勿論、その夜は宴会だった。


「そういえば、この頃、近隣の村からこの村に編入して来る人が

 多いのよ。まぁ受け入れちゃってるけどね。怪しくはないし。

 でも、おおすぎ。」


女将は酒をグビグビ飲みながら言っている。そして、ついこの間、

首都から手紙が2通届いた事を俺に言った。

1つはアルザスから。もう一つは貴族連盟からだった。

2通を読み比べているが、中身は・・・同じ内容。

こっちが正しいとか、あっちは間違っているとか。・・・ただ。

アルザスの方にはこう書かれていた。


「皇国に編入する事を議題にあげるので賛成してほしい。」・・・と。

俺が悩んでいると、横目で見ていたステラが言った。


「絶対ダメよ。」


ん?なんで?皇王っていい人っぽいじゃん、と言うと。


「あんなの、うわべだけよ。あの人は変わったわ。

 昔はこうじゃなかったのに。もうみんな変になっちゃったのよ」


ん?変わった?なんでそんなこと言うのか聞いたら・・・。


「あら、言ってなかったっけ。私、あの皇王、リスボアの娘よ?」


言ってねえよ!俺は只のかつ丼大好きっ娘って思ってたよ!

俺以外の全員も驚いていた・・・。


「人族にはいい世の中になるかもね。でもさ、この世界は

 いろいろな種族が居る。人族だけが、人族だけ優遇された

 世界って私は嫌だわ。みんな生きとし生けるモノなのよ?

 私はすべてに幸せになって欲しいの」


なんだ?こいつ良い奴じゃん。なるほど、リスボアは

人族優遇の世界を作りたいのか。でもいいのか?娘だろ?お前。


「いいのよ、父様の目を覚まさないといけないの。

 ・・・本当に昔は、ああじゃなかったのに。」


色々あるんだな、偉い人たちにも。

俺は村の人達に聞いてみた。皇国の一部になるのか、それとも

現状で何とかするのか、と。そしたら・・・。


「何言ってるんだ?村長は。俺達は村長と共に行くだけだ。

 そんなもん、村長が決めろ。ってか酒と餃子くれ!女将!」


おいおい、日用雑貨屋!酔っぱらってるんじゃねえよ!

「俺も、雑貨屋と同じ意見だ。そんなもん村長が決めろ」

解体屋も酒を片手に言いやがった。丸投げじゃねえか!

ってか、なんでミツルと肩組んで飲んでるんだよ!


「おい!キョークとやら!てめえ!いつもいつも私の前に現れやがって!

 なめてんのか!?あぁ!?ってか、早くメインになれや!」


いかん・・・。ユキさんって酒癖わるいんだ。俺は・・・。

無視することに決めた。


結局、アルザスと貴族連盟には時間が欲しいと返信することにした。

そして楽しい夜は過ぎて言った。


部屋に帰りながらステラが俺に言う。

「私はね、この世界が大好き。この世界に生きているモノ全部好き。

 だから、私は父様を止めるの。・・・なんで変わっちゃったんだろう。」


直感的に俺は思う。というか、かつ丼を食べていた時からだが

俺はコイツの事を気に入っている。女性だからって事ではなく、

なんか、こう、気に入ってるのだ。


コイツみたいなのがトップに居ると国が安定するんだろうなぁと、

シミジミと思った。


そして夜が明けた。

予定を変更して俺達はステラの護衛を続ける事にした。そして、

目的の村まで道中にある村を全て通るルーツで行くことに決めた。


俺は村の人達にダンをここに来させて村長代理をさせる事を

伝えた。全員が、驚く!「まじか!」と!「世も末だ!」と!


どれだけなんだよ・・・ダン。


俺達は村を出発した。


未だに俺はゲーム感覚でこの世界を生きていたのか。

自分が悔しい。村の存在がそれだ。

まずは一番近くの村に入るが・・・。なんだここ。

ただ単に人が集まって暮らしているだけで活気も何もない。


その次の村もそうだった。・・・無論その次の村も。

ある意味、王国に王様が居て、どんな王様だろうが居るだけで

まだましなのかもしれない。


こんな状況なら目的地の村もこんな感じだろうと思ったら・・・。

何だこの活気は!俺の村と同じほど住民が明るい!

何がこんなにも「差」を生み出すのだろう。


「そこの方、買っておくれ!朝の取り立ての魚だよ!旨いよ!」


方々の露店から声が聞こえる。


「ありがとうね、キョーク、楽しい旅だったわ。はい、これ護衛料。」

ステラが笑顔で俺に金貨を渡した。ごちそうさまです!

道中、一切魔獣が現れなかったのは不可解だが楽でよかった!


これからどうするのかと聞いたら海を見に行くと言われた。俺も行きたい!

ミツルもユキさんも行きたいと言ってくれたので同行を申し出るが。


なんと、断られた・・・。

ま、まぁ?人それぞれの知られたくない事ってあるからね!


俺達はここに一泊して村を出ることにした。が、一泊分は

食料を買い込み、夜の海でキャンプをする事にした。


良い場所ではないか!この海は!向こうの世界では小学生の時に

行ったっきりの海!海はこんなにもいい所だったのか!


リャナさんの魔法で火を熾し、露店で買った魚を焼く。

なんだ>ミツルが手際がいい。

「え?俺、キャンプ趣味だったしな。」


マジか!ゲーマーなのにアウトドア派ってなんだよ!

「逆だ。アウトドア派なのにゲーマーなんだよ」

どう違うかわからんが、なんかミツルが凄くモテ男に見えてくる。


俺達は火を囲み色々な話をする。ここに来た時の事や

来てすぐの事。しかし、みんな向こうの世界での生活は言わなかった。

それは、俺もだった。


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