第59話 ヒイガワの洞窟
一度、長の所へ行きある程度の説明をする。
その魔獣は魔王城に根城がある事、鉱物のぶどうを食べに
ここに来ていた。今後の食事は魔王領で行うと約束してくれた。
・・・と、こんな感じで伝えた。流石に青龍とは言わなかった。
翌朝、俺達は魔王領へと向かった。
俺、リャナさん、ミツル、そしてユキさん。
徐々に周りの植物が独特のものに変わっていく。
出会う魔獣も強くなっている事が実感できる。
前衛のユキさんが有り難い。ミツルもいい感じで連携を取っている。
そしてリャナさんの補助模倣も有り難い。
俺の防御が弱いのを見越して防御力上昇を掛けてくれている。
ユキさんには速度向上。ミツルには攻撃力向上。
一気に3つの補助を掛けることが出来るのは多分、リャナさんが
魔族だからだろう。
というか、魔獣の数も多いが問題はなかった。
ユキさん抜きでは少しきつかったかもしれない。
そして、ヒールスポットがあった場所へと着くと、そこには
岩壁に横穴。・・・なるほど、こういう風になっているのか。
俺達は横穴に入り、ここで一泊することに決めた。
秘剣 オロチ
両手剣愛好者には避けて通れない剣だ。
レベル180から解禁なのだが、これをベースに強化して
190以上になっても使うものもいる。勿論、その上の
武器もあるが特攻が連撃なのと、ステータス依存で連撃回数も上がる。
「ユキさんはオロチ持ってるの?」
ミツルの気さくな聞き方が心地よい・・・。
「持って・・いるけ・・ど、使ってな・・い。こっち・・の方が・・便利。」
草薙の剣に手をやりながら答えるが・・・。
草薙の剣はPvPに関しては有効だがレベル上げ、所謂、魔獣討伐とか
あまりいい武器じゃない気がするが・・・。
その事を聞くと、
「やは・・り、流石・・ね。そう。だか・・ら魔獣・・討伐の時・・は
こっち・・を使う・・の。」
そういって取り出したのは、神器 フルンティング。
うんうん。そりゃそうだ。俺も持ってる。・・・メインがだが。
特攻は素早さ依存の高速連撃。
「貴方・・の、レーヴァテイン。それ・・レジェン・・ダリー?」
俺の武器を見てユキさんが聞いてきた。うん、これは確かにレジェンダリー。
どうやらユキさんはエピックしか持ってないらしい。
「貴方の・・メイン・・が持っ・・てい・・るフラガラッハは、
私・・・持ってな・・いの。」
へぇ。それは珍しい。ユキさんは武器とかコンプする派と思っていた。
それを言っちゃうと
「私、魔王・・イベント・・も出来・・てない・・の。
フレ・・いない・・し。」
なるほど。俺のメインが持っている神器 フラガラッハは魔王イベントの
道中で極低確率でドロップする片手剣だ。
特攻は「斬る」だだそれだけだ。しかし、斬れないモノはない。
斬る事に特化した剣。その剣が唯一のユキさん対策の剣だ。
攻撃力はステータスに依存する。
もしも、ユキさんが持っていたらぶっ飛んだ火力になる・・・。
PVP最強の剣、草薙の剣
魔獣討伐最強の剣 フラガラッハ
と言う位置づけだろうな。運営的には。
ぶっちゃげパーティで魔王イベントをクリアしたがドロップしたのは
俺だけだった。勿論、ギスギス回避のためにドロップ無しと言った。
因みに「魔王の涙」はクリアアイテムであの時のパーティ全員が
貰ったが・・・。
「貴方の・・暁の・・せいで、いつも・・・ギリギ・・リの戦いにな・・る。
HPモリ・・モリは草・・薙と相性・・が悪・・い。」
そりゃあうれしい一言ですよ。
俺的には一方的に負けてるんですけどね。
あぁ、懐かしいな。
ところでミツルはPvPとかしないの?と聞いたら
「俺はエンジョイ勢だったからなぁ。こんなことなら
真面目に廃人ルートに行くべきだったな、はっはは。」
そう言いながら、おにぎりを食べている。
いやいや、エンジョイ勢でレベル178は・・・。え?
レベル181になってるじゃねえか!
「お?気づいた?今の戦闘で上がったよ。お前も上がったんじぇね?」
あ、そうだ。俺のレベルも結構上がっていた。ステータスを振ろう。
レベル83 HP811 SP202 MP177
攻撃力105
防御53
素早さ80
賢さ65
耐性51
運55
あー。いかん。ちょっと偏ったステータスになりつつある。
まぁいいか。メインを手にするまでの間だけだし。
しかしこの上がり方は・・・。ユキさんのおかげだ。
ユキさんがとどめを刺さずに俺達に回してくれているからだ。
その事を言うと、
「仲間が・・強く・・なるの・・は、こっちも・・楽に・・なるし。
多分。パーティ・・組んだこ・・・とない・・からわ・・からない・・けど。」
・・・まじか。って事は195までボッチプレイだったのか!
因みに今のレベルを聞いたら「197」と言われた・・・。
最後見た時から2上がってる・・・。
この世界最強・・・。俺と4の差。
その後にゲームの時の話で結構盛り上がった。
あのイベントは糞だとか、あれも糞だったとか。いいイベントの
事を話そうとしたが「無い」ということでも盛り上がった。
「私が・・ダイブし・・た時にロ・・グインし・・てい・・たのは・・私
を・・含め・・6人。後・・二人も、ダイブし・・・たのか・・な。」
隕石が落ちた時にログインしていた6人。あんな時にでもゲームを
しているんだ。明らかに残り2人もダイブしているだろう。
俺達はそう言った人種だ。
しかし、噂すら聞かない。俺達には妖精が付いている。
妖精使いとして話題になるはずなんだが。
もし、ダイブしていたとしたらどんな人物なんだろう。
リホさんや、ミツル、ユキさんみたいな感じの人だったらいいな。
そう言えばユキさんはサブアカウントはいないの?と聞いたら
「いる」と答えた。ふむ。そりゃそうだ。どうやら
戦闘系ではなく採取系で迂回ルートでメインに素材を流していたらしい。
あー。俺もしたよ、フレ限定の個人商店。
譲渡は出来ないが個人商店経由で素材なら手に入れることが出来る。
それと、素材の倉庫としての役割もあるのだろう。
そんなこんなで楽しい夜を過ごした。
そして俺達はヤマタノオロチの居る「ヒイガワの洞窟」へ向かう。
洞窟は5層からなる。因みに道中にヒールスポットはない。
「なん・・か、楽・・しい。これがパ・・・ーティ。」
その仮面のせいで表情なんてわかりませんが!?
俺達はユキさんを先頭に道中の魔獣を倒し進んでいく。
俺達はほぼ全て無傷だ、恐るべしレベル197.
勿論ユキさんは攻撃を若干受けるが、・・・あのローブだ。
攻撃した分の2割の回復効果があるローブ。
2割はエピックレベルだ。・・・そう、俺の持っているのは
エピック。どう見てもユキさんのはレジェンダリーだ。
無茶苦茶、草薙の剣とフルンティングと相性がいい、良すぎる。
いとも簡単に俺達は一つ目の扉へ到達する。
勿論、最初の中ボスも問題なく撃破。
そして、2個目3個目も問題なく撃破。
そして4個目の扉の前で小休憩をする。
休憩しなくても問題ないと思っていたが、リャナさんの消耗が
何気に大きかった。・・・俺は気づいてはいたが、すまぬ。
「これ・・・飲んで。」
ユキさんが渡したのはMPポーション!?あるのか?
この世界に!・・・無いと思っていた!
聞くと、錬金で作れるらしい。後でレシピ教えると言われた。
ありがたくいただきます!
そして4つ目の扉
扉を開けると2匹の魔獣。いや、魔獣ではない。
中ボスは「クシナダヒメ」と「スサノオ」だ。