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サブキャラでReスタートの俺  作者: 加納 美香
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第58話 ぶどう泥棒

魔王領へは吸血族の里から入る。

吸血族の長のボルドーにはレベル上げをしないで

そのまま入る事も伝えなければならないしな。


うーん。結構な距離を行ったり来たりとしているな、俺。

こっちの世界で移動しかしていない気にもなってくるほどだ。


あれ?転移魔法あったよな。いや、アレは魔法ではないか。

ん?魔法だっけ。確か、覚えるクエストをして、その後は

金を払って転移していた。この世界ではどうなんだ?


俺はユキさんとミツルに転移魔法って覚えてるかを聞いたら

二人共、持ってないと言われた。ユキさんはそれを探しに

旅をしているとも言ってきた。


「あるにはあります」


リャナさんが突然に口を開いた。

どうやら魔族にはあるらしい。魔方陣を使い転移するモノが。

しかし、膨大な魔力を消費してしまう為に、多分人間は耐えられないと

も言われた。因みに消費するMPは350!


加護込みでいいならクリアしているとユキさんは言った!

まじか!いや?ちょっと待て。俺は今・・・。

MP162にジヴァニアの加護で324!足らねえ!

ミツルも足らないと嘆く。因みにユキさんいくつか聞いたら

サンテミリオンの加護で580あると言われた。

サンテミリオンの加護って?と聞いたら


HP、MP、SP、攻撃、耐性が3倍だそうだ・・・。

チートじゃねえか!


ん?3倍で580という事は素では193ってことか?

って事は大きく攻撃に振っているのだろうな・・・。

攻撃力はいくつか聞きたかったがやめた。ショックを受けたくないからだ。

装備の補正とかも入れたらどうみても1000に届いている可能性がある。

・・・あーやだやだ、これだから廃人は。くやしいいいいいい!


因みにリャナさんは素でMP630あるらしい。流石魔族。


俺達はミツルのヤマタノオロチ討伐が終わったら転移魔法を

手に入れる事を次の目標とした。

因みにリャナさんは使えないらしい。残念。


エルフの里の茶華飯店でおにぎりを食べ、農場で一泊する。

そして鬼人族の里経由で移動をし、豚骨スープを取る骨を手に入れ

吸血族の里へと入った。


そして長の所へ行きこのまま魔王領へと行く事を伝えると

少し思案し、申し訳なさそうに・・・。


「一つだけ依頼をお願いしたいのですが。この辺では見かけない

 魔獣の様なモノが徘徊しているのです。こちらの被害は特にないのですが

 里の皆が気味悪がっておりまして。」


ふむ。因みにどんな魔獣なのか聞いてみると。


「夜にしか現れないので正確には伝えられませんが、なにか

 蛇の様でもあり、しかし宙に浮いてもいるんです。里の者が

 遭遇した時に松明を投げつけた所、体は青っぽかったと」


こ、これは青龍の可能性があるんじゃないか?

俺は現れた場所を聞くとブドウ畑に良く現れるとの事。

青龍ってブドウを食べるのか?・・・よくわからん。しかし、

依頼を受ける価値は十分にある!


依頼内容としては兎に角、里に現れないようにして欲しいとの事。

俺達は夜になるまで宿屋で休憩を取る。


「その青龍ってのは、ロンに関係する奴なんだろ?

 じゃあ殺したらまずいな。」


ミツルはロンを手でふにゅふにゅしながら言っている。

遊び相手が出来てロンも満足げに楽しんでいる・・・。


「もし・・か・・して、黄龍・・関係?少し・・楽し・・み。」


ユキさんもやっぱり興味があるみたいだ。そりゃそうだ、ガチ勢だし。

というか、自分で眷属に出来なくて悔しいのかもしれない。

しかし、1匹しかいないのかな。シナリオを踏めばどうにかなるのかも

しれないが・・・。白虎とかが生き返る事はないんじゃないだろうか。

そんな感じだったし。


そして夜になり、俺達は目撃が一番多いブドウ畑に入る。

先に喉を鳴らしたのはきゅーちゃん。雪丸は少し半身になり

構えているだけだった。


なるほど、きゅーちゃんの能力も警戒なんだろう。


少し遠い所でブドウの樹がガサガサと揺れている。

その時だった、ロンが俺達から離れ、その場所へと向かった。

俺達もあわててその後を追う。


そしてそこには、やはり。青龍が居た。一目でわかった。

どうみても青龍。


「ほう、応龍が居るとはな。お前たちがそこまで育てたのか?」


その問いに俺は今までのいきさつを青龍に話す。


「ふむ。そうだったか。白虎も朱雀も、そして玄武も居ないのだな。

 残っているのは我だけか。・・・そうか。じゃあ少し話を

 しようか」


青龍はそう言うといままの地震について語りだした。

内容はこうだ。


いつものように仙山で転寝をしていると突然魔方陣が開き、

光に包まれたが、部屋もなにもかも同じだった。しかし、気になったので

扉を開け、外に出ると場所が違った。仙山の様でもあり、仙山とは

違うようでもある。周辺の確認のため飛びながら地理を確認したそうだ。


今度は、今まで居た場所とは違う事はすぐにわかったそうだ。

まず空気が違う。そして生えている植物も違った。

そして何か動くものを見つけたが、それは今まで見た事のない魔獣。

明らかに強い魔獣。野獣の類は発見できず、どれが食べれれる植物かも

わからなかったそうだ。そのまままっすぐ飛び続けると徐々に

見慣れた植物があるようになった。

そして、このブドウ畑にたどり着いたそうだ。


失礼と思いながら空腹を紛らわすために数日に一度、ここに来て

ブドウやその周辺にいる野獣を食べているとの事。

勿論、一目で吸血族と判ったので争う気はないが空腹には勝てない。

その為に威圧を使って、吸血族が居なくなったら一気に食べて

すぐに根城に帰っていたそうだ。


「多分だが、仙山と言っていいのかわからんが、我の根城は

 魔王領にある。」


なるほど。だから情報が少ないわけだ。


「白虎たちが、そなたに龍を授けたのならば、我の役目は

 ただ一つだ。しかし、ここではソレは叶わない。

 我の根城で待っている。ここから真っすぐ北に行った所にある。

 そういえば、道中にオロチが居ったぞ。まぁ同類なので

 何もしなかったが。そこまでくれば我の根城は見えるだろう。

 そこから少し離れているがな。」


「なるほど。我の役目はわかった。何ゆえに魔王領へと飛んだかは

 定かではないが、まぁ理由があるのだろうな。

 それを考えながらお前たちを待つことにしよう。」


そう言った青龍になんとリャナさんが・・・。

「多分、貴方の根城の位置が分かったわ。南下するのではなくて

 西の方に飛ぶと凄く高い塔がある。その塔が見えるころには

 貴方が食べられそうなものが自生しているはず。その辺りには

 白い野獣が居るので、それも食べればいい。身なりは大きいけど

 強くはない。朱雀と同じくらいの強さがあるならば、問題なく

 倒せるでしょう。」


「ほう、おぬし・・・。なるほど、さすが魔族だな。龍を育てている

 モノの仲間か、信じよう。かたじけない。では待っているぞ」


そう言うと青龍は北へ飛び去って行った。


「貴方、やは・・・り・・魔族・・だった。

 なぜ、キョー・・・クと・・一緒に・・いる?」


待って!ユキさん!マジで待って!ってか草薙の剣に手を掛けるの

止めて!俺は慌ててリャナさんの前、ユキさんとの間に割って入った。


俺が仲間にした。わけあって。何度も俺は助けられているし。

ミツルもリホさんも魔族と知っている。黙っていたのは申し訳ない!

謝る!敵ではない、信じてくれ!大事な仲間なんだ!


俺はとにかく「仲間」を連発してユキさんに話す。


「仲・・間。そう、仲間・・なん・・だ。なら・・問題・・はない。

 裏・・切ら・・ない?」


ユキさんはそれでも草薙の剣から手を離さない。


「私は裏切らないわ。キョークさんが魂だけになっても。

 他の体になっても。絶対に裏切らない。忠誠を尽くすわ」


リャナさんは熱い口調でユキさんに語り掛ける。

そのリャナさんの真剣な顔にユキさんは剣から手を離した。


「なら・・・いい。仲間・・で・・いい」

ユキさんはそう言うと何事もなかったように成っているブドウをちぎり

頬張った。・・・おい。


ん?魂になっても?他の体になっても?・・・え?

もしかして、俺の体がもう一つあるって事をリャナさんは・・・


知ってる?

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