第43話 シナリオ
★★★★魔王領 リリスの塔★★★★
~マカーブル視点~
皆のモノ、良く集まってくれた。実はな、緊急事案だ。
リャナンシーが魔族とバレてしまった・・・。
「まじか!というか、さすが魔王様だ。それでリャナンシーは
こっちへ戻って来るのか?」
わかる、わかるぞヴァスキ、我だってそう思った。しかしだな、
なんと仲間どころかパーティに入ってしまった。
「なんと!すばらしいではないか!」
と、思うだろ?クドラク。それがな、少し問題があるのだ。
リャナンシーは我達と敵対している事になっている。
「なんだそりゃ!」
わかるわかるぞ、グルル。どうやら魔王様の思考は我達の
斜め上を行っている、かもしれない。リャナンシーが言うにはだな、
バルバトスと戦っていただろ?ソレをヒントに考察をして
リャナンシーが我達から逃げてきたと思ったらしい、魔王様は。
実際、王国は崩壊したが、今も魔王様は指名手配中には変わりない。
逃げてる者同士、仲よくしよう・・・となったらしい。
「もしかしたら俺が原因か!」
いや、もしかしなくてもバルバトス、お前のシナリオが原因だ。
「今後どうするのよ」
そこなんだ、ニュクスよ。このままでは俺達はリャナンシーの敵。
ということはだ!魔王様と我達は敵同士となってしまう!
それはいかん!断じていかんことだ。今まではただ、魔族という事で
「構える」だけだったのだが、今後は「敵」だ。・・・どうしよう!
シナリオでは、少しずつ魔族は無害って魔王様に知っていただいて、
最終的には我らを導いてくださるって事になっていた。
「シナリオのねり直しって事でいいのよね?」
その通りだ、リリスよ。何か良い考えはないのか、皆のモノ。
どう考えても、リャナンシーを守る!とかいって攻撃して来るぞ、魔王様は。
「でもまだレベル7~80ってきいたけど?」
それがな、あの羽虫いただろ?妖精っぽいの。アレの加護が
ステータス2倍なんだよ。ってことはな、レベル150相当の実力が
既に魔王様にはあるんだ。それにな、渡したじゃないか、魔剣を。
あのレーヴァテインはな、攻撃力2倍の効果を持ってるんだ。
ってことはだぞ?攻撃力だけで言うと、レベル180以上になっちゃうんだ。
我々が全員レベル190でも無傷とはいかないんだ・・・。
なんか、魔王様ってすっごく仲間を守りたがるんで、いや?いい事だよ?
俺達が仲間になったらそれこそ、安心して俺達も居ることが出来るんだから。
だけども!今は!敵なんだよ!どうすんだよ!
魔王様はレベル100とかになって見ろ!目も当てられんぞ!
へたすりゃ、ここに眠っている魔王様本体すら超えちゃうんじゃないか!?
「そうね、気合い入れてシナリオを考えないといけないわね」
そうだ、ニュクスよ。次の会議までに全員シナリオを持ち寄るって
事でよろしく頼む!
★★★★鬼人の里 剛腕商会★★★★
~キョーク視点~
リャナさんはパーティに入ったが、身なりは今まで通り
人間の姿で行動することになった。・・・そりゃぁそうだ!
少し気になるのはミツルとリホの事。
二人は突然にパーティに魔族が入ってどう思っているのだろう。
実際、リャナンシーで名前が載っている。
普通は気づくだろうな、リャナさん、リャナンシー。
これは説明に帰る必要があると思う。と、リャナさんに言ったら
それでいいと言ってくれた。まぁ実際、仕入れた肉を持って帰らないと
いけないので。
それともう一つ。皇国にも仙山がある。皇国の北の方だ。
白虎と約束をした玄武はそこに居るはずだ。
そして初期の村から南に言った所の仙山には朱雀。
王国の東の仙山には青龍。
イベントの説明文にはそう記載されていた気がする。イベントの
第一弾が白虎、第二弾が玄武、三弾が朱雀、そして最後が青龍だった。
まぁその通りに行かなくても良さげだが、とりあえずその通りに。
もしかしたらまた、卵が貰えるかもしれないしな!
俺達は鬼人の長に肉の運搬については今後の課題として
良い方法を考えてきます、といって剛腕商会を出た。
凄く丁寧なあいさつとお見送りを受けた・・・・。
「彼らには私が魔族と見えているんですよ」
リャナさんはそう言う。あー、それってエルフとか、猫耳も?と
聞いたら「うんうん」と苦笑いしながら答えてくれた。
だからああいった態度だったのか。と、納得。
亜人の国は、色々と魔族、いや、魔王領と関係があるらしい。
物資のやり取りや、何かあった場合、まぁ人間が亜人の国に攻めてきた場合や
ちょっかいを出した場合は魔族が出てきて、盾となってたらしい。
勿論、リャナさんもそれに参加して、というか低級魔族の指揮官として
幾度か亜人の国に来たことがあるらしい。
そりゃあ!身バレするわな!
そして俺達は皇国のリホハウスへ向かって・・・、その前に
エルフの里に荷馬車を護衛して帰る。帰りの荷馬車には鬼人の里で
仕入れたモノが積まれていた。
それこそ、仙山の麓で取れたウーロン茶の原料の葉っぱとか、
フランゴ、まぁニワトリの様なモノの羽根。布でくるむと、良い布団に
なるらしい。羽毛布団かよ!
他にもいろいろと積まれていた。・・・今度物色しよう。
道中に魔獣が現れたが雪丸と俺、そしてリャナさんの連携が
キチンと出来ており、問題なく倒していく。
最初はリャナさんに警戒していた雪丸もこの頃は体を触らせたりと、
警戒が緩んでいる。うーん。パーティに入ったからだろうか。
ジヴァニアも何気に魔法の事を聞いたりしている。
いいじゃないか!
そして問題もなくエルフの里へと戻ってきた。
冒険者ギルドで依頼完了の報告をして俺達は農場へと向かった。
するとなんと!田んぼの区画が綺麗に出来上がっていた。
マキナ曰く、ダンが頑張って草取りや整地、そして土手造りまで
一人でやったそうだ。すげえな!
「まぁ、小さい頃に経験があるからな。やっぱ土いじりは気持ちいい」
そういうとダンはタオルで顔の汗を拭いていた。
それを見て俺は、なんかグッとくるものがあった。
俺はダンに米を炊けるか聞いたらファブさんにやり方を聞いて
すでに問題なく炊けると言ってきたので、俺はすぐに炊いてくれと言った。
そう、俺はここで!牛丼を作る!
マキナに玉ねぎあるか聞いたら何それと言ったので「こんな感じの野菜」
と絵に書いたら、あると言われたのですぐに持って来い!と言っちゃった。
俺は牛肉を取り出し、小間切れにする。
マキナが持ってきた玉ねぎを切り、・・・切り。
醤油とみりんと料理酒!とマキナに言ったら、醤油はわかるけど
みりんと料理酒って何?と聞かれたので
「こんな感じの調味料」と言ったら、あると言われたので
持って来い!と言っちゃう。
俺は炊き立てのご飯に「牛すきっぽいの」を掛ける。
あー。今度リホさんにキチンと作り方を聞こうと思った。
というか、これを『茶華飯店』に持っていって味を調えてもらおうと
言ったらマキナが
「エルフってあんまり肉食べないよ?」
と言いやがった。ラノベなんかのアレって本当だったのか!と、
思った俺だった。まじで獣関連は苦手らしい。
がしかし!ダンはがつがつと食っている!流石人間!
「うめえな!これ!味が濃いけど!しかし、労働した後には
ちょうどいいぜ!」
とか言いながらおかわりをしていた。俺の作った料理をおかわり!
コイツいい奴だ!初期の村に帰る頃にはリホさんにレシピを書いてもらって
持たせると約束をした!
取りあえず今日はここの里に泊まるが明日には皇国へ帰ると
伝えたら、マキナはあの貸家はほぼ帰っておらず、ここのログハウスに
寝泊まりしてると言った。なので解約しても構わないと言われた。
貸家に居るとちょくちょく長が来るので「うざい」とも言った。
・・・そう言う年頃なんだな。
俺は二人に今夜は『茶華飯店』でパァーっと行こう!と約束をして
先に貸家へと帰っていった。