第38話 貴族
速いモノで1週間がたった。俺はレベルが上がっていた。
レベル62 HP620 SP152 MP134
攻撃力90
防御43
素早さ55
賢さ40
耐性26
運40
となっていた。これにジヴァニアの加護ステータス2倍がある。十分だ。
武器の効果でも攻撃力2倍。いいじゃないか!
マキナも馴染んでいる。アレから毎日ファブの所に通っている。
最初は緊張していたが今ではリャナさんとも仲良くしている。
まるで姉妹のように。
「いってきまーす」
今日も元気にマキナは炊き立てご飯を食べて、味噌汁を食べて
目玉焼きを食べて仕事に行く。いいじゃないか。
俺達もレベル上げの為に狩場に行く。
今日からはスピードを上げてレベル上げをしたい。
期間は十分だが俺自体が速くレベルを上げたいからだ。
冒険者ギルドへ行ってから狩場へ出かける。
ほぼほぼ採取の依頼だ。この頃人族がむやみに荒らしてこないかららしい。
どうやら王国があんなことになったからだろう。
それを考えると皇国は平和主義って事でいいのだろうか。
いや、ユキさんを使って王国の王族を皆殺しにしたのだ。
そう言う事でもないだろう。
魔獣キラー・カッパ
俺達は、というかリャナさんが池に向かって水属性の魔法を放つ。
沼を凍らせるためだ。そして出てきたカッパを俺が
倒していく。スキルを使わずともバンバン倒せる。
最初にアイスフィールドをしてから物理攻撃。コレも
攻略掲示板にあった討伐方法だ。バンバン狩れる。
因みにドロップ品は『河童の皿』だ。
適度にドロップしてるので金策にもなる。うん、二度おいしい。
そうこうしていると日が暮れていく。
俺達は途中採取した植物などを冒険者ギルドに納品して依頼料を貰う。
今日の稼ぎは銀貨4枚になったので
俺とリャナさん、そしてマキナの3人で外食をする。
マキナは長の娘なので顔が広い。
そのマキナが俺達人間族と行動しているので
ある程度は自由に里の中を歩くことが出来る。たまに俺達に
会釈をするエルフが居るが。それほど、人族は野蛮なのか?
ご機嫌を足らないといけないほどの存在なのか?と思ってしまう。
うん、フレンドリーに行こう。
そして翌日、翌々日も同じことの繰り返し。
俺はレベルを確認する。
レベル65 HP650 SP155 MP140
攻撃力90
防御48
素早さ55
賢さ45
耐性31
運40
となっていた。これにジヴァニアの加護ステータス2倍がある。十分だ。
武器の効果でも攻撃力2倍。いいじゃないか!
今日閃いたスキルがあった。それは『ブレイク』だ。
敵の攻撃を一定確率ではじき返しカウンターのクリティカルの
攻撃が出ると言うモノ。確率的には低いがヤマタノオロチ戦では
重宝するだろう。
今日はこの辺で俺達は切り上げて里をぶらつこうと提案。リャナさんも
大賛成だった。里に帰ると何やら騒がしい。
タンポポ商会の前に人だかり・・・いや、エルフだかりが出来ていた。
隣のエルフに何があったのか聞くと、
「人族がまた問題を持ち込みやがった。あ、いや、あんた達は別だ。
あんた達は俺達の為に依頼を多くしてくれているし。」
俺は前の方に行くと・・・。あー、一発で解る身なりだ。
貴族って奴だ。取り巻きもなんだか偉そうにしている。武器を持っているのが
二人か。武器から見るにレベル30程度か。
「私が直々に言っておるのだ!私は国王に近い者だぞ!なぜ言う事を聞けん!
私が一言いえば軍を動かす事も出来るんだぞ!
たったの一年滞在するだけではないか!使用人を3人準備、3食の食事、
それがなぜ出来ないのだ!」
偉そうに・・・。国王はさらし首になったっじゃねえか。知らないとでも
おもっているのか?コイツ。あぁ、そうか。逃げてきたんだな。
長は丁寧に返答をしているがイライラしてるんだろうな後ろで組んでいる
手は握りこぶしだ・・・。
「それは出来かねますな、エメン殿。残念ながらこの里の者は皆、
人族、いや王国の者を良くは思っておりません。貴方の身に何があってからでは
遅いのです。他の里に行かれて見れば?」
「なにかあるだと!?私は私兵をもっているんだ!そこいらの者なぞ
簡単に返り討ちに出るんだぞ?」
偉そうに。なんかイライラしてきた。俺は貴族にいいイメージはない。
向こうではラノベなどで貴族に生まれた主人公がって話が沢山あった。
何番目に生まれてどうだとか、不幸だとか。ふん、何番目に生まれても
貴族で裕福な立場じゃねえか。俺なんて親父はゴミ収集車の運転手だった。
出世もなく40年も同じ賃金で働かされていた。・・・そして過労で死んだ。
しかし、俺の為に金を残してくれた。食事も質素だったが旨かった。
あー、だめだ。向こうの世界のうっ憤、八つ当たりかもしれないが・・・。
俺は言ってしまう。
よお、あんた。国王はさらし首になって近い者もそうだったらしいじゃないか。
近衛兵長も森の中で死体で見つかったらしいな。
あれ?って事はあんたはそれほど大した貴族じゃなかったのか?
俺は煽るように言う。・・・ようではないか、煽っている。
「なんだきさまは!ふん!私はな!敵なんぞ返り討ちにしてやったわ!」
そんなわけはない。ユキさんだぜ?相手は。
俺はその貴族にそんなに強いなら俺に稽古をつけてくれよ。と言った。
もし、俺が負けたら長に取り入って俺が借りている家を1年無償で貸してやる。
と言うと、・・・こいつバカだ。乗ってきた。
そして後ろにいた武器を持った男二人が前に出てくる。
「こいつ、やっちゃっていいですかね、エメン様。さっきから聞いていれば
調子に乗りやがって」
両手剣を持った男がそう言う。その横の男が俺が先だとも言っている。
俺は二人がかりでもいいんだぜ?と笑いながら言う。
リャナさんが武器を取り出したので、俺は制止した。大丈夫、俺一人で。
そういって武器を戻させた。
「ところでキョークさんが勝ったらどうなるの?」
リャナさんの一言にその貴族は鼻で笑いながらこの里を出て行ってやると
言っちゃったのである。ふん、それだけで終わらせるかよ。俺は
むかついているんだよ。
俺は二刀流を構える。
「ふん、なんかヒラヒラしたような衣を着やがって。鎧じゃないのか?
左右に片手剣?大道芸人かよ」
ワンドを持った男が笑いながら言った。ふむ、ヨシツネの衣を知らないのか。
であればこいつらは王国から出たことがないのかもしれないな。
やっぱレベル30程度と思ったのは正解だな。
魔法も大したことがなさそうだ。
俺は手のひらで来い来いとしながら笑みを浮かべる。
「くそが!」との声と同時にファイヤ・ボールが飛んできた。
・・・受けてみよう。と思っちゃった。俺に直撃したが無傷。
ならばとアイス・ダーツを放ってきた。俺は左手に持った剣で
弾いた。だーめだ。こいつ、もういいや。勝手にやらせておこう。
と、その時に横から両手剣の横なぎが飛んできた。
「はん!よけられねえだろう!」との声と共に。避けられないんじゃなくて
避けないんだよ。両手剣は大きく弾かれ、その男も反動で転がり込んだ。
あ、やばい。カウンターが発動してしまう。
いきなりの『ブレイク』発動・・・。やべえ!殺すかもしれない!
右手に持っていた剣がその男の首に突き刺さる。
・・・これは抜いたら・・・この男は死ぬな。抜かないでも死ぬか・・・。
やっべええ・・・。
3秒ほど考えたが、うん。無理だ。いいや、抜いちゃえ。