表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サブキャラでReスタートの俺  作者: 加納 美香
33/108

第33話 目標、そして目的。

★★★★魔王領 リリスの塔★★★★

~マカーブル視点~


皆のモノ、良く集まってくれた。本日はリャナンシーからの依頼だ。

ある程度、料理が出来て家事手伝いが出来る者を魔王様がお探しとの事だ。


「ん?リャナだけでは手に余ってるのか?」


わかる、わかるぞ。ヴァスキ。

しかしそうではないのだ。魔王様の供であるリホがどうやら料理の店を

開くそうだ。その従業員らしい。


「その女の為に我々が何故動く必要があるのだ」


わかる、わかるぞクドラク。もう一度言う、リホは魔王様の供だ。

魔王様がこの地に、そして我々の前にお立ちになる時、リホは多分に

魔王様お抱えの料理人となるのであろう。リャナからの話では

魔王様はとてもリホの料理を気に入ってるらしい。

そしてなによりも!リホに何かあった時に魔王様が悲しむやもしれない!

魔王様の悲しみの顔をお前たちは見たいのか!我は否だ!


「それは私の料理よりもかしら?マカーブル」


その気持ちわかるぞ!リリス。しかしだな、魔王様とはいえ

様々な料理を食べたいと願うだろう。その望みにリリスよ。お前は

全て叶えることが出来るのか?


「そ、それは・・・。」


リリスよ、良いではないか。様々な料理でもてなすことが

料理人の務め。魔王様が「あれ食べたい」と言った時に「できません」

とお前は言えるのか!?


「そ、それは・・・。」


ならばだ!お前の元に居る、アルラウネが適任ではないかと我は思うぞ?

人族の姿に変化も出来るし。長年、お前の元で手伝いもしていたしな。

・・・魔王様お気に入り料理の作り方もお前に教えるやもしれない。


「その話、乗ったわ!」


そうであろう。では!そういうことで!


★★★★皇国 リホハウス★★★★


アルラが来てから3日が立った。

アルラはとっても働き者だ。物覚えもいい、そして素直だ。

リホさんもアルラを気に入っており二人共、働きながら笑顔が絶えない。

いいじゃないか!


俺はリャナさんと冒険者ギルドへ向かった。

『皇国の化け物』、そうユキについての情報収集だった。

俺が行くと受付の人がギルマスに取り次いでくれた。どうやら

俺達はギルマスのお気に入りになったらしい。悪い気はしなかった。

どうしてだろう。向こうの世界では人と絡むのが苦手だったのだが

この世界ではそんな事はない。・・・まぁいいや。


「それって勇者様の事だよな?まぁよその国からしたら化け物なんだろうが。

 特に王国と魔王領にとってはな。実際、王国からしたら悪夢だったろうな。

 もう皇国は王国の話で持ちきりだぞ。」


俺は王国が皇国に攻め込んでくるのではないかと聞くと、ギルマスは

それは出来ない、と即答した。実はここだけの話、向こうから併合の話が

来ているらしい。国王派が力を失い、庶民派が勢いを増したそうだ。

すでに国王派は皇国に取り入ろうとしてこの国に使いを出しているそうだ。

まぁ自分可愛さだな。と。


「皇王は人望も厚いし優しいが、相当のやり手だ。希代一と言われている。

 今でこそ、国王派と話し合いを持っているが併合してみろ、

 多分、バッサリだ。」

そういうとギルマスは首を手で狩る仕草をした。


「おお、そうだった。勇者の事だったな。もうこの国にはいないはずだ。

 この世界を見て回るとどこかへ行ったらしいぞ」


マジか。異世界転生を楽しんでるんじゃないか?あいつ。

こっちはレベル上げでヒィヒィ言ってるのに。・・・糞がっ!


俺達は数日後、亜人の国へ行く為に皇国を出る事を伝えた。


「コメはそこまでお前を駆り立てるんだな」


俺はギルマスのその一言に「俺の全てだ」と答えてやった。

そして二人で笑い合った。

お前を城の者たちに紹介したかったんだがな。と言われたが遠慮した。

ギルマスも俺ならそう言うだろうと思っていたらしく。

最後には、あの村には時たまでいいので顔を出してやってくれ、とも言われた。

俺は黙ってうなずいた。


リホハウスへ戻ると準備は順調らしく、本日はここまでとなっていた。

料理が出来ていると言われ食卓に座る。そして出てきた料理は・・・。


パスタだった!まじか!あったのか!この世界では初めて見たぞ!

リホさんはめっちゃ自慢げな顔をした。


「小麦粉があるんだから出来るに決まってるじゃない、ふふん」


数種類のパスタがある。カルボナーラ風、ペペロンチーノ風。

ミート風。そして!みんな大好きナポリタン風!

感想を聞かせてと言われたので、俺はすべてを食べてみる。

いいか?リホさん、俺はな、料理番組は大好きだったんだぞ?

「頂点のグルメ」という番組は欠かさず見ていた。そして、それを

見ながらいつもカップラーメンを食っていたほどだ。


全てを食べる。・・・超絶旨かった!ぶっちゃえて言うと

向うの世界のパスタより、全然こっちの方が旨い!リホさん曰く

野菜がこちの方が旨いとの事・・・。ほう。

これは米も期待できそうだ。



それから数日が立った。

しかし、こんな住宅街、それも中心から遠く離れた所で店を開くなんて。

その事を言ったら「ちょうどいい」との事。

リホさんの頭の中には「隠れ家的な食事処」の様なモノがあるのだろう。

いいじゃないか!

人知れずひっそりと開店し、ひっそりと営む。

あぁ想像できた。異世界スローライフの始まりだ。


リホさんには目標と言うか、目的が出来たのだ。この世界で。

やりたいことが出来たのだ。いい事だ。

俺は?メインの体を手に入れた後はどうするんだ?今まで

メインの体を手に入れる事しか考えていなかった。俺はそれから

どうしたいのだろう。強い敵と戦っていく?なぜ?

今でも、サブの体でもソレは出来てるんじゃないか?


俺は何をしたいんだろう。向こうの世界ではそう言ったモノが無かったので

ゲームの世界に没頭した。人に「すげえ」と言われたかった。

俺も「すごいだろう」と自慢したかった。でも、ゲームの中でも友達は

出来なかった。自慢しあえる友達・・・。


ユキさんは何を思ってこの世界に来たんだろう。そして何を思って今、

行動しているのだろう。ミツルだってそうだ。

あぁ、そうか。ミツルは亜人の国にいるんだった。

もしも、会えるのならば聞いてみたい。何を考え、何をしたいのか。

俺達プレイヤーは多分、この世界の人達からすれば「化け物」だ。

・・・俺のメインはだけどなっ。


という事はプレイヤーは俺を含めて5人。

俺、リホさん、ミツル、ユキさん、そして・・・。

リャナさんもプレイヤーだろう。しかし、確証はない。

あの時ログインしていた者が全員ダイブしたのならば6人。

最大で6人。ダイブしなかったことも考えられる。


もしもリャナさんがプレイヤーでないとしたら

あの強さはこの世界の人の中では最強なのではないか、とさえ思う。

まぁいいや。今は考えるのはよそう。


そう言う思いをしながら俺とリャナさんは皇国を出る準備をする。

リホさんが心配だったがリャナさんが

「リホなら何があっても絶対大丈夫」と太鼓判を押している。

リャナさんが言うのであれば間違いないだろう。


「早く米を持って帰ってきてね」

笑顔でそう言うリホさんに俺は「いってきます」と返事をした。



そして俺達は亜人の国へ向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ