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サブキャラでReスタートの俺  作者: 加納 美香
30/108

第30話 女将の依頼

★★★★魔王領 リリスの塔★★★★

~マカーブル視点~


リャナンシーからキョーク様に何が起こったのか報告があった。

今回の魔王様が一瞬でもお目覚めになられた事と

関連を付けてみることにした。

キョーク様の意識がなくなり魂のみ魔王様の体に写ったと考えるのが

妥当だろう。そしてキョーク様の意識が戻り、魂は魔王様の体から

抜けていった。


ならばだ。キョーク様には悪いがずっと意識がなくなってしまえば

魔王様の体に移ったままになるのではないか。

この地に伝わる転写魔法儀式を使わずとも・・・に。

ずっと意識をなくさせるのは・・・、いや待て。確実性が無い。

今回は魂が移ったのは偶然という事もある。


再度だ、もう一度記憶がなくなり魂が魔王様の体に入った時こそが

思案の為所だろう。


しかし、魔王様が目覚められたという事は既に我らにとっては喜ばしい事だ。

魔王様の肉体が女型だった事実に対しては皆、さほど気にはしていなかった。

それどころか・・・。

グルルとバルバドスなんて腕組んで踊っていた。

ニュクスは魔王様のご尊顔を拝し、ハァハァ言っていた。

リリスなどは食事を完食されていた事にさらに料理の腕を上げると息まいている。

クドラクとヴァスキは魔王様のご尊顔が眩しくてまともに見れないと。


我は皆に今回起こった経緯を話すことにした。

まさに不幸中の幸い。いや!瓢箪から駒だ!瓢箪はわかるが駒は何なのか

わからんが。まぁいい。


「とわいえ、今回のリャナンシーの行動には問題があるのではないか?」


クドラクは結果、良かったとしてもキョーク様をお守りできなかった

リャナンシーに対して罰を与えた方がいいのではないかと言ってきた。

キョーク様がご回復された後にかけられた言葉を皆に伝えた。


「なんと、お優しい御方なのだ。キョーク様はお許しになられたのだ。

 罰を与えるという事は顔に泥を塗る行為なのではないか?」

ヴァスキは思案しながら言うと、さらに。呼び方はもう魔王様で

いいのではないか?とも言ってきた。

ふむ、確かにそうだ。この場ではキョーク様を魔王様と呼ぶことにした。

キョーク様本人には今まで通りである。


「しっかし、お美しいお方だった。もう男型とか女型とか

 どうでもいいほどに!」


さあ!皆のモノ!再度我々の方針を確認だ!

安全に!順風満帆に!ゆめゆめ忘れるな!


★★★★森 キャンプ地★★★★


リャナさんが戻ってきたので今後のルートを話し合おうと

した時に何かを机の上に置いた。

古びたアミュレットだった。

ミネルヴァが触る。どうやら呪いはないらしいようだ。

効果は敵のクリティカルを確率で通常攻撃にするモノ。

なるほど、確か『ノッカーのアミュレット』・・・だったか?

今後、鑑定の精度も上がるかもしれないので事あるごとに鑑定して

もらう事にした。

うーむ。こんなもの落ちているモノなのか?

この中で一番防御が低い俺が身につける事になった。

紙防御でごめんなさいねっ!

俺達は明日の朝早くに村に向けて出発する事とした。


翌朝、霧が立ち込めている中を進んでいく。道中に

魔獣や野獣と遭遇するが今の俺達にとっては格下だ。

ついでに花や植物などをどんどんミネルヴァに触らせて鑑定させる。

中には香辛料の様なモノもいくつかあり、リホさん大喜び。

さすがこの森だ。魔獣からのドロップ品も多くウハウハだ。

そうこうしていると俺のレベルが上がった。

紙防御と言われたので勿論防御に振った・・・。

レベル52 HP522 SP134 MP120

攻撃力70

防御31

素早さ48

賢さ40

耐性20

運35

これにジヴァニアの加護ステータス2倍がある。十分だ。

武器の効果でも攻撃力2倍。いいじゃないか!

というか、リホさんとリャナさんは硬すぎるんだよ。

因みにリホさんのステータスを見ると防御力が700を超えていた・・・。


俺達は森を抜けた。まずはモグラの洞窟に行ってリホさんのポーチを

手に入れる。難なく2層でポーチを手に入れた。

ついでに3層で卵が出るか試したら出なかった。初回限定だったのか?

リホさんにも出なかった。さっきのポーチは俺には出なかったので

初回限定の洞窟なんだろう。


俺達はさっさと洞窟から出て村に向かった。

村の近くまで来ると、異変に気付いた。村の家々が燃えていた・・・。

リホさんの水魔法で消火を試みる。だめだ!火の手がでかい。

俺達は冒険者ギルド兼宿屋へ向かった。


「おお!キョークさんじゃないか!手伝ってくれ!まだ中に

 人がいる!」


日用雑貨屋の店主が声を掛けてきた。リホさんとリャナさんは

水魔法で消火に当たる。そして俺は雪丸と中に飛び込む。

いた!女将さんだ!俺は女将さんを雪丸に乗せて脱出した。

一体何があったのだ。タダの火の不始末では村全体は燃えない。


「王の近衛兵がやってきて火を放ったのさ・・・。」


誰かが言った。はぁ!?ここは王国領だぞ?なんで自国の村に

火を放つんだよ!


「近衛兵はキョークさんとリホと言う女性を探していた。

 匿っているのではないかと。

 王の命令で妖精を探していると。俺達は匿ってはいないと言ったが

 信じてもらえなかった。」


妖精・・・。そんな事の為に、王のただの趣味の為にここまでやるのか。

俺は頭に血が上るのを覚えた。


「まぁ匿っていたとしても言わないけどね!」

振り返ると女将が笑いながらそう言っていた。まだ横になっていないと

いけないと言い、布を敷き横になってもらった。

いままでもこういった事があったらしい。


「今の王は愚王だ。こんな国滅んでしまえばいいんだ。」

誰かがそう言った。

取りあえず、可能な限り消火をして回ると言い、再度消火活動を行った。


すでに夕刻となっていた。村の半数の人が死んだらしい。

多分、向うの世界から来た魂。この世界でまた生まれ変わってほしいと俺は願う。

俺達はそれほど燃えていないと言う家に招かれた。


俺は女将にギルマスから渡されたモノを渡した。


「あいつめ、覚えてたんだねぇ。私の依頼を」


そういうと四角い箱を開け、ネックレスを取り出し両手で握った。

女将の眼には涙があふれ、しかし口元は微笑んでいる。

そして手紙を開けて読んだ。読み終わると。


「ねぇ、キョーク。私からの依頼を受けてもらえないだろうか。」


目に涙を浮かべている女将が言ってきた。俺は中身を聞いていないが

「わかった、受けよう」と言う。どんな依頼でも受けてやる。

この村には恩がある。あたりまえだ!


依頼内容として

対象 王国近衛兵長を倒す事、殺しても構わない

報酬 バーのネックレス


「わかっているさ。かたき討ちしても死んだ亭主は戻ってこないって。

 でも、今の近衛兵長はやりすぎたんだよ。このままでは

 また犠牲になるモノが居るだろう。」


聞けば女将の旦那はこの国の近衛兵だったらしい。しかし、ある時

近衛兵に広がる不正の数々を見てとある貴族の元に陳情に向かったらしい。

その最中に行方不明となった。手紙には近衛兵長の仕業で間違いないと

書かれていたそうだ。


勿論引き受けてやる。俺もやられっぱなしじゃ嫌だしな。

因みに俺とリホさん、リャナさんは犯罪人として手配書が回ってきていた

らしい・・・。まぁリホさんはやっちゃったし、うん。正当防衛だけども。


そしてここで一夜を過ごす。燃えモノは仕方が無いと生き残っている人達は

各自食料を広場に持ちより皆で分けている。

俺も道中に取っていた野獣の肉を全部出した。


「おうおう!腕が鳴るぜ!」


解体屋!生きていたのか!よかった!俺は「どうよ?」と言うと

こりゃあぼろ儲けだな!と笑いながら言ってきた。

もう村の全員で解体した。そして食う!みんなで食う!

勿論焼いて。


「ちょうどいいわね、解体屋がまだ燃えてるのでそこで肉を

 焼きましょうよ」


おいおい、女将。ブラックジョークすぎるぞ。しかし解体屋は

笑いながら「こんがり焼いてくれ」と笑顔で言う。



そして翌朝、俺達は村の人達に見送られ王都へ向かった。



次回 皇国の化け物


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