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サブキャラでReスタートの俺  作者: 加納 美香
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第28話 バックアタックで意識が飛んだ。いろんな意味で。

俺達はリホハウスで旅の支度をした。

机に地図を広げルートを確認する。ここまでの道のりは

ゲームの流れに近い感じで街から街への移動を行っていた為に

日数がかかっていたが、レベルが上がった今なら皇国と王国の境にある森を

抜けることが出来るはずだ。雪丸にも乗れるようになったことだし。


あれ?雪丸、さらにデカくなってないか?体長が俺ほどあるぞ。

ソレになんか凛々しくなっている。ステータスを確認すると

なんとレベル5になっていた。それに・・・スキルも増えていた。

シルバーウルフ レベル5

能力 移動速度向上 警戒 乗用 

戦闘スキル 餓狼 威風堂々

威風堂々ってなんだ。そんなの知らないぞ。

なになに?敵にに恐怖を与え、さらに混乱を付与させる。だ、そうだ。

今度戦闘の時に見せてもらおう。


因みにレオも上がっていた。眷属はレベルが上がると見た目も変わる。

いわゆる、子供から大人へと成長している感じだ。それに比べ・・・


「なによ」


いいえ、なんでもないですよ、ジヴァニアさん。

どうやら寝たら回復したらしい。体力もSPも。


俺達は各々の眷属に跨り出発した。雪丸の背に乗りながら俺は

毛並みをモフモフとしている。凄く細い毛だ。それにサラサラしている。

時折雪丸が困ったような顔でチラチラ俺を見る。・・・ゴメンナサイ。


道中は魔獣を無視し一気に森を目指した。日が暮れるまでに森にある

ヒールポイントだった場所に行きたかったからだ。

それに森では戦闘を避けることが出来ないと思う。整地されていない為に

移動速度が制限される恐れがあるからだ。

ゲームではクリック一つで簡単に移動できたんだがなぁ。


森に入るとやはり雪丸の移動速度が落ちてきた。

背中の俺を振り落とさないようにしてくれているのがわかる。

おれはモフモフしてあげた・・・・困ったような顔をされた。ゴメンナサイ。

急に雪丸が速度を落とし、立ち止まる。・・・戦闘だ。

俺は雪丸から降りると剣を構えた。・・・が。


今までと違い雪丸はゆっくりと魔獣に近づいて行く。昨日までは

威嚇と同時に魔獣に飛び込みすごい勢いで攻撃をしていたのに。

ゆっくりと一歩一歩。動かなかった魔獣が急に飛びかかるが

雪丸は最小の動きでかわしながら

首元に噛みつき地面にたたきつけた。そして魔獣は煙となった。

なにこれ、風格のある戦い。コレが威風堂々って奴か?


レオも似たような感じだが大きく違うのは自身が動くか相手が動くかの違い。

雪丸は受け、レオは攻め。柔と剛のような感じ。

俺とリホさんはお互いの眷属に拍手を行っていた・・・。

俺は雪丸に近づきワシャワシャしてやると、ちょっと嫌がった!

大人になったからなのか!そうなのか!・・・俺はハッとした!


わかった!コレが親の気持ちなのか!

「お、テストでいい点を取ったじゃないか、偉いぞ」

「よせやい、僕はもう子供じゃないんだから頭撫でるなよ」

みたいな。少し寂しくもあり、しかし悪くない気分。


そして雪丸が反転し喉を鳴らす。威嚇と言うよりも・・・。

「お?俺とやるのか?なら相手してやる」っぽく。

今までは

「てめえ!やるのかよ!ああ!?」みたいな感じだった。・・多分。


雪丸とレオを見ていると面白い。

本当に対照的な戦い方だ。勿論、雪丸は受け身なだけでなく

自身からも攻撃に出てはいるが暴れてはいない。攻撃が的確なのだ。

方やレオは、そりゃあもう力押しで潰す感じの戦い。

ふと思う・・・。どっちが強いのだろう・・・と。


なんだろうこの俺のサポート感。リホさんもそんな感じで

苦笑いをしていた。しかし、・・・いいじゃないか!


俺達は雪丸を先頭にレオを殿にして進んでいく。距離的にもうすぐ

ヒールスポットのはずだ。辺りも薄暗くなってきている。

目の前が急にひらけ、なんかキャンプ場の様な所に出た。

こじんまりしているがログハウスの様な建物もある。

中に入ると結構な年月、誰も使っていないような感じだった。


そりゃそうだ。ゲームの時はレベルが上がると、ここに来る意味はない。

それに・・・。

直近の新規プレイヤーはここを通らずとも。この森に来なくても、

簡単にレベル上げが出来ていたし。その感覚で続けていくと中盤くらいで

きつくなって・・・そして辞めていく。

「昔はよかった」ではないがこの場所で苦労をしてレベルを上げていた頃を

とても懐かしく感じていた。

聞くと、リホさんはこの森に初めて入ったそうだ。そんなもんだろう。


ゲーム開始2年くらいまでは皆、ここで屯ってチャットをしていた。

この近辺は魔獣と野獣が入り乱れ、そして植物も豊富で

生産系や戦闘系でにぎわっていたというのに。

俺は机に積もっていた埃を指でなぞる。


俺は野獣でも取ってくる、といい小屋を出ようとしたら。

リャナさんもついてくると言った、がこの辺りの野獣や魔獣なら

問題ないと言って一人で小屋を出た。

少し感傷に浸りたかったからだ。本当に過疎っていたんだなぁ。・・・ゲームは。


俺はキャンプ場から離れ少し奥まった所まできた、が。

なんだよ、雪丸。お前ついてきたのか。仕方ねえな。

雪丸は何かに反応し茂みに入っていった。一時してでっかいトカゲの様なモノを

咥えて戻ってきた。・・・消えてないという事は野獣なのか。食えるのかよ。

俺は雪丸にリホさんの所に先に持っていくように言い、

俺も歩きながら小屋へ帰る。


ふと立ち止まり上を見る。なぜか上を見たんだ。


その時突然、激痛が走る。後ろから魔獣のアタックを無防備で受けてしまった。

やばい。意識が飛ぶ、飛びそうだ。このままではやられる。

俺は返す刀で二刀流で怒涛のスキルを繰り出す。魔獣が煙となるのは見えた。

俺はその場に倒れ込んだ。

誰かが俺の所に走って来る・・・のが見えた。その人は何かを叫んでいる。

「キ・・ク・・・様・・・様・・・・で・・」うまく聞き取れない。


そして俺の目の前は真っ暗となった。



俺は目を開ける。一瞬?瞬きをしているくらいだった。

確か俺は魔獣のバックアタックを食らい倒れたはずだ。大丈夫。死んでいない。

あれ?俺はベッドに寝ているのか?

・・・あぁ誰かが、リャナさんかな?助けてくれたのは。

視界が正常になり辺りを見回すととても豪華な、それでいてモノトーン基調の

俺好みの部屋にいた。なんだここ。小屋にこんな隠し部屋があったのか。

俺はベッドから起き上がり「やっちまった・・・」とポツリと言い

顔に手をやる。・・・ん?なんだ?顔が固い。ゴツゴツしている。

こ、これはアレだ。フルフェイスの頭装備付けている感じ。

でも、視界は普通の何も遮るものが無い感じで見えている。


俺は腕を見て時が止まった・・・。

俺の腕には『暁のガントレット・改3』が装備されていた。

見える範囲で体を見ると・・・。

足には『暁のグリーヴ・改3』

体には『暁のキュイラス・改4』

脚には『暁のボトム・改2』

って事は・・・多分頭は『暁のヘルム・改3』だろう。


説明しよう!『改』とは!同じ防具を何度も何度も重ね合わせてできる

その装備の上位版なのだ!改の後の数字は何度重ねたかで若干色が

違うのですぐにわかる!俺ほどのゲーマーになればなっ!


部屋の壁に大鏡があったので俺は立ち上がり鏡の前に立つ。

おっとっと、多分意識が飛んで体のバランスがうまく取れないんだろう。

よろめくのを持ちこたえ、鏡を見る。


そこに写っていたのは、そう。

最後の時を迎えていた時の・・・俺だった。


そう、メインキャラの俺。


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