第27話 ギルマスの依頼
白い法衣を来たスケルトン。
あぁ、思い出した。これはサブクエストにあった場面だ。
無茶苦茶面倒な5連続のお使いの後にこのスケルトンは浄化される。
その後にこの法衣が貰えるというクエスト。
因みにこの法衣。・・・要らない。というのも、
開始当初からあるクエストなので法衣の型落ち感がすごいのだ。
やばい、このままではクエストが始まってしまう。
始まる前に逃げるか・・・。依頼は達成している。
俺は皆に帰るぞぉ~と言おうとしたら。リホさんがこのスケルトンに
話しかけていた。・・・・手遅れ。
「今、帰ろうとしていただろう。困っている人を。いや
人だった私を無視して。キミは残念な若者だな」
大きなお世話だ。俺はリャナさんにどうしようか・・・・という
視線を送ったら、というかリャナさんを見たら
凄い上目使いでこのスケルトンを見ていた。
確かに自称レベル132のリャナさんからしたら超格下だ。
だからと言ってそんな目で見たら可哀そうだ。というか、
スケルトンになにかあるのだろうか。すると何という事だ!
リャナさんがズカズカとスケルトンに歩み寄り崩れた教会の中に
連れて行った。襟の辺りを掴み・・・。
俺とリホさんは呆気に取られていたが、リホさんがその場所に行こうとしたら
「来なくていいわよ、リホ。私だけで十分。」との声がした。
5分後、リャナさんが教会から出てきて一言。
「話はついたわ。帰りましょう」
教会の入り口には片膝をついて祈る感じで両手を前に組んでいる
スケルトンが居た。・・・なにがあった。
まぁ?話が付いたなら問題ない。あのままだと糞面倒なお使いクエストを
やる羽目になったのだからよしとしよう・・・。うん。
俺達は帰りがてらキラー・ビッグエスカルゴを討伐する。
何せ経験値が旨いからだ。特に夜に現れる魔獣は経験値も若干多い。
ウハウハだ。因みにジヴァニアは未だ復活せず。目を回している。
リホさんもコツを得て『身』の部分を軽く攻撃して回っている。
その後に俺の土魔法で蓋をして炎魔法での攻撃。
因みにリャナさんも炎攻撃をしてくれている。
攻略掲示板様様だ。なんかレベルアップがバンバン行われている。
宿屋に帰ってからポイントは振ろう。と思っていたら朝になりそうだった。
多分、冒険者ギルドは空ていないのでリホハウスへと帰る。
俺は自分の部屋でレベルを確認してポイントを振る。・・・まじか!
俺のレベルは既に50となっていた。勢いよくポイントを振った結果。
レベル50 HP500 SP130 MP108
攻撃力70
防御26
素早さ48
賢さ40
耐性15
運35
これにジヴァニアの加護ステータス2倍がある。十分だ。
武器の効果でも攻撃力2倍。いいじゃないか!
あれ?これってジヴァニアのおかげでレベル100位のステータスに
なってるんじゃないか?
他にもドロップ品の防具やアイテムを相当数持っているので
ギルドに引き取ってもらうと相当のお金が手に入りそうだ。
リホさんは寝ると言って先に部屋に入っていったので俺は
何か簡単な食事でもしようと部屋の扉を開けて台所の食料をあさる。
あれ?リャナさんも部屋で寝たのかな。
俺は何故かそれほど眠くなかったのでソーセージっぽいモノを
咥えながらアイテム整理などをしてみる。
一通り整理が終わってスキルの項目を見ると気が付かないうちに
色々と増えていた・・・。
一番うれしかったのはクリティカルアップがクリティカル超アップに
なっている事。他にも二刀流スキルのおかげか見た事のないかっこいい名前の
技?の様なモノ。その他にもいろいろと上位ランクに上がっていた。
俺はふとこの世界の事を考えてしまった。ゲームの世界に
似ているようで似ていない、似ていないようで似ている。
料理ギルドも錬金ギルドもない。しかしレベルの様なモノがある。
あれ?ちょっと待って。隕石が落ちる寸前は俺はメインでログインしていた。
ならば、その時の世界と言うならばさっきのスケルトンのイベントは
完了済みなのではないか?
もしもだ。ありがちだが俺が主人公ならばその時の世界なのではないのか?
考えてみればほぼ全てのクエストはなくなり、先ほどのクエストは
受ける前の状態だった。俺がサブだからそれに合わせているのか?
いや、あの時にダイブしたのはメインの世界のはずだ。ならば、
基本になる人物がいるのではないのか?・・・・誰だ。
ミツルか?もしかしたらリホさん?・・・リャナさん?
と、真面目なことを考えていたらいつの間にか眠っていた。
リャナさんに起こされて俺はリホさん手作りの朝食を食べる。
俺達は食事の後に冒険者ギルドへ向かい依頼達成の報告と報酬を貰う。
ついでに不要なアイテムなどを買い取ってもらった。
・・・・合計金貨3枚と銀貨6枚。ごちそうさまです!
俺は金貨3枚をリホさんに渡した。家代を払っているからだ。
「こんなに貰えない」と言われたが強引に渡した。
残りはリャナさんだ。少ないけれども。
キョークさんは?と聞かれたので俺は現状お金は必要ないと言った。
だって、不相応の武器と防具が既にあるからだ。
あれ?そもそもゲームの時は何に金使ってたっけ。あれ?
思い出せない。まぁ思い出せないって事は大したことに使っていない
って事だ。うん。まぁいいや。
俺達が冒険者ギルドを後にしようとしたら受付嬢が声を掛けてきた。
ここのギルドマスターが話があると・・・。
嫌な予感しかしない!俺達はギルドマスターの部屋へと通された。
一通りのあいさつを終え、少しの沈黙の後。
「これは俺の、あくまでも個人的な依頼なんだが。
王国の首都から南に下った所に小さな村がある。そこの
冒険者ギルドに居る女将にコレを渡してきてくれないか。
金貨2枚だ。」
そう言うと1通の手紙と5センチ四方の小さな箱を机に置いた。
うーん。どうしよう。おれは王国には戻りたくないのだが。
指名手配されているかもしれないのだから。
困った。が、受けることにした。道中にある洞窟でリホさんの
ポーチを取ろうと思ったからだ。ふとリホさんを見ると何故か
眉間にしわを寄せている。
「まさかとは思うけど!プロポーズの手紙と指輪とかじゃ
ないでしょうね!それだったら自分で行きなさいよ!」
リホさんが突然大きな声で言っちゃうのである。
ギルドマスターは少し焦ったような仕草をしたが突然笑い出した。
「いやいや、相手は俺の姉ちゃんだ。これはな、姉ちゃんの旦那の。
そして、俺の友人でもある男の形見なんだ。やっと見つけてな。
それに見つけた経緯を書いた手紙だ。」
そういうとさらに笑った。リホさんは赤面してゴメンナサイと言っていた。
俺達はその依頼を受けた。今なら移動も早く出来る。
俺達が部屋を出ようとした時にギルドマスターは言う。
「気を付けてくれ。王国は荒れるぞ。この国の傭兵があの国を攻め滅ぼす為に既に旅立った。危険だから見込みのあるお前たちに依頼をした。」
と。