第25話 シャンプーをつくるには。
シャンプーと、コンデショナー。そしてボディソープ。
ここは現代科学無双が炸裂する場面だ!しかし!
そんなモノなんて知らない!俺は使う側だ!普通に買う!スーパーで!
そもそもだ!そんなニッチな情報まで知っている奴なんているか!
・・・さて困った。
この世界には錬金釜はある。なのでもしかしたら材料さえあれば
どうにかなるかもしれない。現状、錬金を使った方がいいと思う。
そうすると、素材だ。何を使う!現実世界ならば
「シャンプー 作り方」
と入力すれば、あっという間に出てくると言うのに。
考えている時にリャナさんが
「シャンプーと、コンデショナー。そしてボディソープとは?」
と聞いてきた。記憶が無いと言うのはそう言う事も忘れてしまうのか。
早くもどってほしいなぁ、記憶。
俺は丁寧に説明した。俺の言葉に何度も頷きながら聞いていた。
そして私も考えてみます、との言葉。
もしかしたらシャンプーなど考えたり作ったりしていると記憶が
戻るかもしれない。俺はもっと詳しく説明した。
リャナさんは話を聞いた後に裏の雑木林に行くと言って出て行った。
こまめに警戒をしてくれている事に感謝。
★★★★魔王領 リリスの塔★★★★
~マカーブル視点~
皆の物!リャナンシーからの緊急事案だ!
キョーク様がシャンプー、コンデショナー、ボディソープを
ご所望だ!
「シャンプーとはなんだ!マカーブル!どんな武器だ!防具か!
コンデショナーと言うのは多分防御系魔法だな!」
「名前からして状態異常を回復する魔法だろう。という事は
補助系魔法の杖か!」
「シャンプーとは多分、肉体強化系かもしれないな。高く飛ぶのが
ジャンプなので、さらに高く飛ぶ魔法だろう!という事は
飛行系魔法か!」
「ボディソープは防具で間違いないな。間違い様がない。
問題は何処の部位の装備なのだ」
えええい!皆の物!今から説明をする!よーく聞け!
我は事細かに説明する。
シャンプーとは、髪の毛を洗う液体の石鹸の様なモノ。
コンデショナーとはシャンプーの後に髪の毛を艶やかにし
髪の毛の状態をよくするモノ。
ボディソープは体を洗う液体の石鹸の様なモノ。
全てが!ヌルヌルしているらしい!
「ヌルヌル!」全員が一斉に唱和した!
「そのボディソープと言うのはシャンプーと同じでは駄目なのか?」
ヴァスキはそう言うと顎に手をやり思案する。
我もそう思うが、キョーク様がご所望なのだ。「一緒です」
じゃ済まんだろうにっ!と一喝した。
「そもそもだ、何故体を洗うのだ。水で流せばよいだろうに。」
ヴァスキは続けて疑問を我に投げかけてきた。
するとクドラクが
「多分、返り血を落としたいんだろう。多分これはキョーク様が
人族撲滅のための布石。キョーク様は今、人族の体だ。
・・・そうか、暗殺。キョーク様は人知れず人族を殺して
回ろうとしているのだろう。」
なるほど。流石、軍師クドラク。
「しかし、何故髪を洗うのだ。あんなの生えてきたら普通は
抜くだろう!」とヴァスキ。
「それは男型の発想ね、ヴァスキ。私達のような女型はね、
美しさのために髪は必要なのよ?」とリリス。
我はリリスにそれ洗ってるの?と聞いたらリリスは水で綺麗に
清めているらしい。毎日。
兎に角だ!魔族の英知を結集して作り上げるのだ!
そしてここが大事だ。リャナンシーが言ってきているのが!
洗浄力と低刺激!からだにやさしい!コレを両立することが絶対条件との事だ!
「洗浄力とは髪の毛を全滅させるのか!?」
バカ者!グルル!汚れだけだ!何を聞いていた!
「浄化の魔法が使えそうね。もしかしたら私の出番ね」
おお!ニュクス!流石魔族随一の補助系魔法使い!
よし!この件に関しては指揮官をニュクスとしよう。
全会一致で可決した。
「錬金も同時に使えば形となるかもしれないわね」
おお!リリス!流石魔族随一の錬金術師!
よし!副官としてリリスでいいな!皆のモノ!
全会一致で可決した。
まずはシャンプーだ。浄化の魔法を液体にする。
それがまずは第一歩だ!
各自はニュクスとリリスの指示に従い動くのだ!
★★★★皇国郊外 リホ・ハウス★★★★
俺は考える。そして想像をする。ボディソープを!
まずは体だ。と思ったらリホさんにシャンプーからと言われた。
リャナさんもウンウンと強く激しくうなずく。首が捥げそうなほどに!
・・・ゴメンナサイ。シャンプーから考えます。
そう言えばオーガニックシャンプーとか米ぬかシャンプーとか
塩シャンプーとかあった気がする。ん?それは歯磨き粉か?まぁいいや。
オーガニックってなんだ?自然のモノを使ったヤツか?多分そうだろう。
歯磨き粉というワードにリホさんが食いついた。
そしてじいいいいっと俺を見ている。わかりましたよ、作りますよ。
こんなことならシャンプーの成分をよく見とけばよかった。
オーガニック、いわゆる天然の素材。多分、植物系。
泡ってどうやればいいんだ?コーラっぽいのでいいのかな。
炭酸?でいいのかな。わからん。そもそも、炭酸ってどうやって作るんだ?
そう言えば炭酸水素ナトリウムってあったな。
ナトリウムって塩だよな。わかった!多分シャンプーの成分は
炭酸水素ナトリウムだっ!間違えようがない!
その事をリホさんに言ったら聞いた事が無いと言われた・・・。
しかし、重曹シャンプーは聞いた事があると言われた。
あれだろ?重曹って掃除とかに使うヤツ。あれ?食品もあったっけ。
そういえば田舎のばあちゃんがワラビのあく抜きに使ってた気がする。
まずは炭酸を作る事にした俺。炭酸、読んで字のごとくだ!
炭と酸だ!という事はまずは炭を作る事からだっ!酸は・・・・。
酸はどうやって作るんだ?酸・・・すっぱいイメージ。
すっぱい・・・酢だな。間違いない。字も何となく似ている。
どちらともに酉の文字が使われている。
多分、ニワトリが関係している事は間違えようがない。ん?
ニワトリじゃなくてもいいのか。普通に鳥でいいのかな。
その事をリホさんに言ったら聞いた事が無いと言われた・・・。
★★★★魔王領 リリスの塔★★★★
リリス視点
「ねぇ、ヌルヌルと聞いて何を想像する?」
ニュクスが何故か頬を赤らめて言ってきた。この女は!
私は冷静に考えた。
魔王領の北側に生えている木を傷つけると樹液が出る。
所謂、木の血だ。それをなめると凄く甘い。そしてヌルヌルしている。
どっちかというとベトベトなのだが。
その事をニュクスに言うと「なるほど」と言ってくれた。
「食べ物だから体には優しそうね。多分、低刺激って言うのは
そう言う事よ。体に優しいって事ね」
多分ニュクスの言う通りだ。まずはヌルヌルの成分として木の血を
使う事にしよう。そして泡はどうするか。
「人族が使っている石鹸なるモノを水で濡らしてこすると泡出るそうよ。」
なるほど。じゃあ石鹸を逆錬金して泡の成分だけを取り出すかな。
逆錬金とはいわゆる、失敗ともとれるのだが。私は分解と言っている。
私とニュクスはまずは北に生息している木から木の血を取りに行くとした。
そしてリャナンシーに石鹸を持って来るように伝えよう。