第24話 風呂
西の皇国
すっごい賑わいだ!なんだこれ!?
広場には屋台!裏路地にはちょっといけない商売人!
あれ食べたい!とか、これ食べたいとか!ジヴァニアがうるさい。
因みにリホさんも、なんとリャナさんも。
まぁ今までピリピリした行動が続いたんだ。すこしばかり
羽目を外してもいいだろう。・・・と思った。
ジヴァニアが食べているのはたこ焼き。
リホさんが食べているのは焼きそば。
リャナさんはりんご飴。
・・・あぁ、楽しい。祭りに来てるくらいの賑わいだ。
もう・・・いいかな。この街で今流行りのスローライフを
決め込もうかな、さえ思えてくる。
俺達は宿屋へ行くがどこも満室だった。
宿屋の主人が提案として一軒家を借りたらどうか?と言ってきた。
うーむ。まぁ3人と雪丸とレオもいるしそれもいいか。
宿屋の主人に紹介料はいるんだろ?と聞いたら「ぼろ儲け」と
素直な返事。いいじゃないか・・・。
言われた所は日用雑貨とかいろいろ扱っている所だった。
店主に宿屋からの紹介と言うと、数件の物件を提案された。
どれもこれも月で銀貨7枚だった。
途中で出る事になるかもしれない事を言うと前払いなので
返金は出来ないと言われたが、まぁ仕方がない。
あんまり目立ちたくないので中心から一番離れた所を所望。
2階建ての庭付き。作られてから10年物!いいじゃないか!
俺達は金を払い、店主の案内の元、歩いてそこに行くが
中心から徒歩30分だった。問題ない。
その場所に行くとあらまぁ綺麗。
庭付きと言うよりも隣に家が建っていないだけで空き地だった。
立てる予定はないので自由に使っていいとも言われた。
どうやら中心から離れすぎているので誰も借り手が居なかったらしい。
仕方ないので家具やらを揃えても入居者は皆無。
そこに俺達。もしも1年契約してくれると2か月分サービスすると言われた。
その返事は少し待ってほしいと伝える。前向きに検討しよう、そうしよう。
それほどまでに気に入った場所だった。
「なんかさぁ、ここ良いですよね、静かで。建物も10年物ですけど
入居者が居なかった分、掃除をすれば問題ないですし。中心から離れて
いるけどこっちはレオとかいますし。・・・私ずっとここに
住んじゃおうかな。なんちゃって。」
リホさんも超お気に入り。
リャナさんはと言うと裏の雑木林を見てくると言って出て行った。
何か危険なモノがあったりしないか、そう言った確認だろう。流石だ。
1時間ほどでリャナさんが帰ってきたので、部屋を決めた。
個人の部屋として使えるのは3つ。2つが2階で1つが1階。
女性の二人共2階を所望。・・・仕方がない。おれが1階・・・。
因みにジヴァニアとミネルヴァも部屋を所望。
俺を蹴ったり殴ったりしてうるさいので
小部屋を利用して2部屋作ってあげると約束した。
リャナさんが周りの状況確認に行っている間にリビングっぽい所と
ダイニングキッチンっぽい所の掃除は終わっていた。
俺達はとりあえず、緊急的に必要な物資や食料を買いに街へ出た。
乗り物に乗って中心地の近くまで行き、徒歩で5分。合計10分少々。
いいじゃないか!
家を紹介してくれた日用雑貨屋にいって鍋やら調理道具をそろえた。
リホさんがちょっと待っててと言って再度店に入っていった。
一時して出てきたが、なぜか店主がリホさんに何度もお礼を言っていた。
「一年借りて来ちゃった。あ、お金は私が持ちますから大丈夫です」
超笑顔でいってくるリホさん。
実際リホさんの装備や知識を見ていたがログイン勢というよりも。
戦闘センスはとってもいいが、まったり系プレイヤーかと思ってはいた。
それがこの後確定となる。
リホさんが服を掛ける家具が欲しいと言ってきたのだ。
家具屋っぽい所へ行くと30着は掛けられる簡易クローゼットを
3個買っていた。俺はポーチに入れて上げた。
私もポーチ欲しいと言ったので今度、洞窟に行ってみるという話になった。
そしてリホさんの部屋。家具を出す。
・・・そして服を掛けるリホさん。
「味気ないんですよね、アイテムボックスに入れておくと。
やっぱ、こうやって眺めてたいですよね!ね!」
既に3個の簡易クローゼットがパンパンになった・・・。足らなかった!
リャナさんも服、というか装備は沢山あるのか聞いたら、各部位に対して
3着ほどずつしかもってないそうだ。
その代わり指輪などのアクセサリーは数えたことが無いと言うほど
持ってらっしゃるそうだ。うらやましい限り。
俺もアクセサリー収集はしていたので、
羨望のまなざしで今度ゆっくり、じっくり貴女の全てを見せて欲しい、
と言ったら、なぜか顔を赤らめ、腕で胸を隠すような仕草でコクリと頷いた。
いやいや!見たいのはアクセサリーですから!
俺は理解した。リャナさんは天然系なのかもしれない!いや、俺の
直感が訴える!天然系で間違いない!俺の直感は外れたことが無い!
リホさんが料理を作ってくれた。凄くおいしい。
リホさんに料理スキルとか閃いたのか聞いたら、全く?と言われた。
やはり料理スキルはこの世界には存在しない様だ。
現実世界では節約大好きだったらしい・・・リホさん。
これは期待できる!俺達は食事をしながら、役割分担の事を
話し合った。
料理担当は勿論リホさん。本人が希望。
ここでリャナさんが食いつく。「私も料理してみたい!」と!
どうやら、将来の為に料理や家事全般、身の回りの事を
学びたい!と強く!とっても強くリホさんの手を取って訴えていた。
「リャナさんの手、ちょっと冷たいんですね」
リホさんの一言に部屋の掃除や料理で出たごみを
処理するのに色々と水を使ったからとリャナさんは言った。
そういえば、確かに部屋を見せてもらった時に、掃除は完璧だった。
それにリホさんのお手伝いをテキパキとしていた。
まさに!メイドと呼んでもよいだろうと言うほどに!
「そういえば、この家にはお風呂あるんですよ!」
リホさんは目を輝かせて言ってきた。ふっふっふ。
俺も気づいていた。あなた方が料理作っている時に既に
掃除は済ませて水魔法を使い水を張ったと教えてあげたら。歓喜・・だったが。
やっぱりお湯がいいよねと言う話になった。
それは問題ないだろうと俺が言う。魔法でどうにかなりそうかも。と。
食事を終え、俺達は風呂へと行く。
風呂の中の水に向けてファイヤボールを放った。するとどうだ!
水が噴水のようになり、風呂場が蒸気で充満した。
うーん。こんなに熱いモノなのか、ファイヤボールは・・・。
明日までの宿題という事で、今日水風呂に入る事とした。
リホさん、リャナさんの順番に入り俺が最後。
リャナさんが入った後に水を捨てて張りなおしたと言ってきた。
ふむ。リャナさんも水魔法使えるのか・・・まぁ、そりゃそうだ。
ジヴァニアもミネルヴァもリホさんと風呂に入ってご満悦。
・・・妖精のドレスって脱げるのね。
風呂から上がるとリホさんが深刻な表情でデザートを食べていた。
どうしたのか聞くと
シャンプーとコンデショナー、ボディソープが欲しい!と!
どうやら日用雑貨屋では石鹸みたいなモノしか売ってなかったらしい。
リホさん曰く、皿などを洗うレベルの石鹸だったらしい。
わかりました!作りましょう!錬金で!