第18話 リャナ
洞窟につくと周辺に魔獣が多く集まっていた。
東の洞窟とおなじだ。多分、魔族が居る。
俺とリホさんの見解は同じだった。
装備やパーティの動きを確認し、再度確認し洞窟へ入った。
魔獣が居ない。この先の1層の扉の向こうに魔族が居る、確信した。
扉を開けると!そこには魔族と戦闘をしている女性が居た!
俺はリホさんにその女性に加勢をする旨を伝える。
リホさんが間に入り1体1を崩した。
「おや、お仲間ですか?こちらは問題ないですがね。
申し遅れました。ワタクシ、バルバトスと申します。
さぁ、全員でかかってきなさい。」
魔族の名前はバルバトス。おいおい、マカーブルと同じくらいの
レベルの魔族じゃないか。
何故、この洞窟に居るのだろうか。東の洞窟もそうだ。
マカーブルは『探し物』と言った。
・・・自己紹介するほどの魔族だ。もしかしたら会話が出来るかと
思い俺は質問する。
この洞窟に何故いるのか?・・・と。答えるはずはないか。
「良い質問です。それは幸せの為です。我々の幸せを
この目で見るためですよ」
幸せ?魔族の?そもそも魔族の目的とはなんだ。
魔王の復活?そして、人間を滅ぼして魔族の世界を作る事なのか?
人と魔族は水と油だ。まぁゲームの時の伝承だけども。
俺は幸せとは?と聞いてみる。
「それはもう達成したのですよ!クックっく!」
という事は、探し物を、人間に対して有効なモノを手に入れたという事か。
気が付くと先ほど戦っていた者が俺達の中にいた。
「私はリャナ。私はこんな所で倒れるわけにはいかないの!
手を貸して!」
見ると相当のダメージを受けている。
ジヴァニア!ヒールだ!全力でしてくれ!俺はそう言うと
リャナさんは手を前に出し断るような仕草をした。
「大丈夫、こう見えて私、メインはヒーラーなんだから!
風魔法は上級まで使えるわ。エリアリジュネもかけます!」
そう言うとまずはハイヒールを唱えた。みるみる傷が消えていく。
その後にエリアリジュネがかかる。
それを確認して俺は雪丸に合図をした。雪丸はレオとうまくコンビが
成立している。その後ろからリホさんが陰に隠れて突っ込む。
「いいですね!いいですよ!」
バルバトスは余裕だ。そりゃそうだ、レベルが違いすぎる。
しかし、パーティの結束力をなめるなよ!
雪丸とレオは左右に飛び、影に居たリホさんが高速の一撃を
入れる。が、いとも簡単にはじき返された。しかし、雪丸とレオが
間髪入れず飛び掛かる。しかしこれもいとも簡単に避けられる。
「さぁ!あなたです!早く!あなたの力を見せるのです!」
くそがっ!俺は全力で向かい合う。
・・・俺はここで死ぬのかもしれない。
俺は『怒涛』スキルの8連撃を繰り出す。その時に頭の中で
電球が光った!『激怒』を閃いた。
二刀流スキル!?そんなモノなかったぞ!しかし、今は
考える時ではない。俺は閃いたばかりの『激怒』を使う。
高速の12連撃だ。・・・しかし。
全ての攻撃を塞がれてしまった。
俺達は一旦距離を取る。
「今レベルはいくつなんです?貴方」
34だ!文句あっか!こちとらサブキャラでいちから
がんばってんだよ!しかし、34と言う言葉を聞いて驚くバルバトス。
「そ、それは本当なんですか?貴方。レベルに似合わない斬撃。
ふーむ。コレは報告しなければいけませんね。
さて、そう言う事なので私は引きます。私の要件は既に
完了していますしね、いや、いい時間でした。ではまた
お会いしましょう!必ずに!・・・あぁ、そうだ。
ついでに2層と3層に魔獣を置いておきます。
あなたの運次第ですが、防具と武器がドロップしますよ?
良いモノが出るといいですね」
そう言うと魔方陣の中に消えて言った。
「ありがとう、助かりまし・・・助かったわ」
リャナさんは俺に深々と頭を下げる。いやいや!頭下げすぎだから!
俺はリャナさんに「なにもしていない」と伝え、俺は逆に恐縮
してしまった。結構な装備だ。レベル100は超えているはずだ。
プレイヤーだったのかもしれない。聞くべきか。聞かないべきか。
「気が付いたら、この洞窟に居たの。目覚めたのは先ほどなの。
それまでの記憶が・・・実はなくて。でも、魔法とかは覚えてるの」
リホさんが可愛い系としたらリャナさんは綺麗系だ。いいじゃないか!
そう言えばヒーラーと言った。うちのヒーラーはヒール3回しか使えない
ジヴァニアしかいない。是非とも仲間にしたいが・・・・。
俺はとりあえず王都まで送る旨を伝えた。リャナさんは首を横に振る。
3層までのボス戦までは回復中心でよければ一緒に居ると言ってきた。
願ってもない!俺はパーティに誘うが・・・・拒否された。
「ごめんなさい。パーティには入れないの。どうやら、私は
今、他のパーティに入ってる状態らしいの。」
ふむ。やはりプレイヤーの可能性がある。記憶が無いというのも
それであれば頷ける。ダイブした時に何かの障害があったかもしれない。
パーティはもしかしたらあの時いた5人の内幾人かもしれない。
それでも俺はヒーラーが欲しい!いるのといないのじゃ大違いだ。
俺はパーティに入らないまでも一緒に行動するのはどうだろうか、と打診。
それなら問題ないとの答え。
「アナタを見ていると、というかさ!近くに居ると肌が
ピリピリするんだけど!?」
いきなりジヴァニアが言い出した。なんと、ミネルヴァもウンウンと
頷いていた。
「も、もしかしたらこのローブのせいかもしれないわ。このローブは
虫とか、そう言うのを寄せ付けない効果があるのよ」
「虫!?虫ですって!?私は妖精なのよ!」
ジヴァニアはプンスカとなっている。
・・・虫か。なるほどな。まぁ虫はあれだが、多分あのローブは
虫系魔獣に対して退魔効果があるモノだろう。
俺はその事をジヴァニアに伝える。納得しないまでも
「へえ!そうなの!」となぜか拗ねてしまった。
俺はリャナさんにレベルを聞いた。・・・132だった。
だーめだ。この中で俺が一番の足手まといだ・・・。
俺は雪丸に抱き着いた・・・。なぐさめてくれ、雪丸。
俺は抱き着いて感じた。なぜか雪丸がこわばっている気がした。
まぁ高レベルの人だ。そういう対応なのかもしれない。
俺達はリャナさんと共に行動することとし、次の層へと向かった。
2層ボスの扉に到着。
前回は糞弱の魔獣。今回は・・・。キノコン。
勿論、一撃で倒した。
ドロップ品は、パン?と思いきや装備!それも!
『ヨシツネの具足』だった。素早さが2倍となる。
リホさんを見ると、どうぞどうぞと言わんばかりに俺に
譲ろうとしている。まぁそもそも男性キャラ装備だ。
早速俺は装備する、が、なんだろう、この。和洋折衷の装備。
そして俺達は3層へと入る。
次は武器のドロップ。今の装備以上のモノが出るとは思わない。
まぁ今度はリホさんに譲るか。
そして扉を開ける。