第17話 魔族会議
★★★★魔王領 リリスの塔★★★★
~マカーブル視点~
よくぞ集まってくれた。皆の物。我はついに!
魔王様の魂の依り代である人間と出合うことが出来た!
その名を『キョーク』様と言う!
我の言葉に集まった魔族たちは感嘆の声を上げる。
集まった魔族は
・リリス
・グルル
・リャナンシー
・ニュクス
・ヴァスキ
・バルバトス
・クドラク
我を入れて『魔族 八芒星』と呼ばれる者たちだ。
「間違いないのか?本当に魔王様の魂を持つモノなのか?」
クドラクよ、その疑念はわかる。しかし、我はキョーク様の覇気を
感じ、匂いも嗅いだ。間違えようもない!魔王様と同一物だった。
我はさらに、キョーク様がこのリリスの塔に向かうために
行動を起こしている事を伝えた。全員が歓喜した。
「なぜすぐに!連れてこなかったのだ!」
グルルよ!わかる、わかるぞ!その気持ち!しかしな、キョーク様の
体は、というかレベルが非常に!低いのだよ!
我の転移陣には体が耐えられなくて跡形もなく!魂さえも
消滅する可能性があるのだ!
「おいたわしや・・・。」
わかる!わかるぞ!ニュクスよ!気が付くとリリスも悲しみの
為に涙がこぼれていた。
我はリリスと話した事を全員に伝えた。
全員が喜びと共に悲しみを覚えた。
「安全に!そして順風満帆になのね!」
リャナンシーはそう言うと、現在の問題点の事を聞いてきた。
・・・レベルと装備以外で。
我はたった今、気づいた事があった。キョーク様のパーティには
回復役が居なかった事を。なんか、蚊トンボみたいな小さな
生き物が2匹はいたが、それが回復魔法を使えるはずはないなと言う結論。
「そりゃまずいんじゃないのか?」
ヴァスキよ!もっともだ。何かいい方法が無いか各々に聞くが
良い考えが出なかった。
流石に、回復役はいて欲しかったなぁ・・・。その時だった。
「私、行こうか?人間に変化できるし。ちょっとした回復なら
使えるし。まぁ頭が残っていれば、全回復、全蘇生が出来る程度だけども。」
おお!リャナンシー!いい考えだ!行ってくれるか!キョーク様の所へ!
そう、我が言うと全員から「リャナンシーだけずるい」とか
「私も行きたい」とかうるさくなったので、我は
魔族の姿で行ってみろ!戦闘になってキョーク様は向かってくるぞ!
リリスなんて攻撃受けたら跳ね返してキョーク様を消し炭にしてしまうぞ!
ニュクスなんてもっとひどい事になるぞ!石になっちまうぞ!キョーク様が!
我たちはリャナンシーを人間に変化させ、キョーク様のパーティに
合流させる事でまとまった。
問題はどうやって合流させるかだ。侃々諤々で決まったのは・・・。
西の洞窟に何とか誘導し、そこでリャナンシー人型とバルバトスが
戦っている。そこでキョーク様がリャナンシーを助ける様に
仕向け、そのままパーティ仲間になると言うシナリオだった。
よし!今から演技の練習だ!がんばるぞ!俺達は!
★★★★王都 冒険者ギルド★★★★
俺達はギルドマスターにどちらに向かえばいいかを聞く。
どちらでもいいと言われたので北と答えた。
西と北を比べた場合、北の方が物理攻撃パーティに
相性がいいからだ。・・・片手剣を試してみたいという思い。
スキル『両手剣』いいじゃないか!
秘剣 天狗は剣には珍しく防御特化した剣だ。
北の洞窟付近にはそれほど魔獣はいなかった。中に入ると
他の洞窟と変わらず魔獣が居る。
ということは、ここには魔族はいないのか?
最初の頃から攻撃力に振ってきたおかげで問題なく
片手剣を使えている。ジヴァニアの加護のおかげで、この洞窟の
魔獣は敵ではなかった。リホさんもテンポよく魔獣を倒していく。
1層の中ボスの部屋の前でレベルが上がった。
現在のステータスはジヴァニアの加護抜きで
レベル32 HP356 SP82 MP74
攻撃力45
防御6
素早さ22
賢さ20
耐性6
運20
これにジヴァニアの加護がある。十分だ。
扉を開けると 魔獣 キラー・ウッドマンがいた。
魔族ではなかった。であれば、この先も魔族はいない可能性が高い。
少し俺は安心をした。しかし油断はしない。
防御力が「紙」だからだ!
リホさんが突っ込む。いい動きだ。本当にログイン勢だったのか?
戦闘に目覚めちまったのだろうか・・・。
ウッドマンの手?いや、枝をどんどんと伐採していく。
「キョーク!」
リホさんの声に反応し俺は『怒涛』の攻撃を繰り出す。
二刀流のおかげで通常よりも早い手数の攻撃が出来た。
4発目がトドメとなり、煙となった。
そして!待望の腕装備のドロップ!
が、魔導士のグローブ・・・。なんだろう、この魔法系のドロップ率。
いい装備ですよ?このレベルでは。
リホさんもいらないとの事で俺のポーチへと入れる。
そして2層目に突入。問題なく魔獣を討伐していく。
二刀流がいい感じで馴染んできた。またもレベルが上がるが
スキルを振るのは3層のラスボス後にする事にした。
そして、2層中ボス。ここもウッドマンだった。
1層と変わらずリホさんが突っ込み枝を伐採。そして俺がトドメ。
ドロップ品は!・・・魔導士のローブだった。
リホさんがじっと見ている。・・・欲しいのだろうか。
「錬金してみる?」
悩んだ末にやる事にした。
どうせ紙装備だ。失敗しても最悪何かの装備をかえばいいやと・・・。
あれ?どっちから入れるんだっけ。まぁいいや。
俺は魔導士のローブを先に入れ皮の鎧を投げ入れた。
ん?素材を後に入れるんだったっけ?あああ!これじゃ魔道系が出来ちまう!
『ボン』と言う音が出る・・・手遅れだった。
取り出すと・・・。あれ?なんかカッコイイ。
魔導士のローブの胸の辺りにちょっといい感じの皮のプレート。
いいじゃないか!名前は『魔導士の鎧』となっていた。安直だな・・・。
そして3層のラスボス戦 魔獣 キラー・ビッグウッドマン
デカかった。しかし、それだけだった。
俺のレベルに似合わない武器と、この洞窟レベルでは敵なしのリホさん。
削るのに時間はかかったが、それだけだった。
そしてドロップ品は!・・・鋼の片手剣だった。今頃!金に換える事にした。
俺達は一旦王都へ戻り、冒険者ギルドに報告を行う。
北の洞窟は問題なし、と。
今日は切り上げて宿屋へ戻り休息とした。
俺は3層のボスでもレベルが上がったのでステータスに振る。
レベル34 HP370 SP90 MP78
攻撃力50
防御6
素早さ25
賢さ20
耐性8
運20
これにジヴァニアの加護がある。十分だ。
運に振らなくなった理由、それは!欲しいのが出ないからだ!
ふと、加護や武器ステ込みの数値を見ると・・・200となっていた。
魔剣 レーヴァテインの効果、攻撃力2倍。いいじゃないか!
あれ?でもこんな効果だったか?コレがレジェンダリーの効果なのか。
俺が持っていたのはエピックだったので、やはり効果も違うのか。
そして俺達は翌朝、西の洞窟へと向かった。