第16話 俺は強運の持ち主だ!
★★★★魔王領 リリスの塔★★★★
~マカーブル視点~
リリス!リリスは何処だ!大変な事態が起きたぞっ!
キョーク様はレベルが低すぎて我が置いてきた装備を身に着ける事が
出来んかったぞ!因みにお前が準備したアノ装備は大丈夫なのか!
「た、多分大丈夫じゃないかな・・・レベル100程度で装備できる
奴だし・・・・」
あかん!だーめだ!キョーク様はマジで衝撃的なほどレベル低いぞ!
多分、60以下だ!
「あぁ、可哀そうな、キョーク様。今すぐ行って抱きしめてあげたい!」
それはしたらイケないヤツだ!折れるぞ!体がっ!と、兎に角だ!
何とか低レベルで着れて、それでいてすごいヤツを準備しないといけない!
そ、それと同時にだ!キョーク様は両手剣を所望だ!
大事なことなのでもう一度言う!低レベルでも装備できるヤツだ!
「両手剣なのね、わかったわ。探してみる」
リリスは宝物庫へと向かった。我も心配になって一緒に宝物庫へと向かう。
二人で探すが、レベル制限のある両手剣ばかりだった。
「そもそも!私の塔に低レベルの両手剣なんてないわよっ!
あっ!これなんかどう!?両手剣じゃないけどもっ!」
リリスが我に渡したのは片手剣だった。
魔剣 レーヴァテイン レジェンダリー・ウェポン
レベル制限なし 斬撃は攻撃力と賢さに依存する。
攻撃力の数値固定はなくステータスアップと共に攻撃力は増大する。
「そ、それともこれは?こ、コレも片手剣だけどもっ!」
秘剣 天狗 エピック・ウェポン
レベル制限なし 風の魔力を纏い所持者に風適性が無くとも
風の防御壁が常に展開できる特殊な剣。
どっちも片手剣じゃないか!い、いや!まて!閃いた。
片手剣を左右両方で持てばだっ!両手で持つことになる!であれば!
両手剣なのではないか!?我はそう思うぞ!そう思いたい!切に!
「ま、間違いないわ!両手に持つから両手剣!大丈夫!間違ってないわ!」
よ、よし。もしもだ。キョーク様がこの塔に来られてこの事を
覚えてらっしゃったら、二人してバカのふりをしよう!よし!
その2本、しかと我が預かった!必ずキョーク様に渡してくる!
お前はその間にキョーク様のレベルでも着れる装備を探しとけっ!
そして我は東の洞窟の3層へと転移魔法陣で向かった。
★★★★ 東の洞窟 2層★★★★
うーむ。何かがおかしい。この洞窟でデブコウモリ。
ソレに先ほどの激レア装備のドロップ。
そして今回、デブコウモリが落とした、このっ!
『カーマの腕輪』 炎・土・混沌の攻撃魔法に対してダメージ8割カット
因みにレベル制限がある。レベル120で装着可能だ。
バグってるのか?いや、この世界は既に現実世界だ。
まさかと思うが、ステータスの運が作用したのかもしれない。
リホさんも装備できないので取りあえずポーチに入れた。
俺達は3層へ入る。やはり魔獣はいない。
そして3層の扉の前につく。俺はリホさんに次はマカーブルと
戦闘になるかもしれないと伝えた。そうなった場合、明らかに
俺達は死ぬ。ここで引き返すのも選択肢だと思う。
「私達が扉を開けなかったら王都に攻め入るような事を
言ってたわ。それに私達は転移者だし・・・。もしかしたら
不死かもしれないし・・・。」
確かに不死の可能性はあるが、俺はその可能性はほぼないと言った。
何故か・・・。単純にそう思ったからだ。
あと、不思議な事がある。1層、2層共にやろうと思えば
俺達を瞬殺できたはずだ。何故しなかったのか。俺は考える。
イレギュラーな存在。そう、ジヴァニア達だ。
ゲームの時はともに戦ったりしていない。眷属とプライベート・パペット。
状況的にはそれしか考えられない。
・・・ソレに賭けるしかないか・・・。
向うが戦わずに引いてくれれば俺達の勝利って所か・・・。
俺達は3層の扉を開ける。
やはり、マカーブルはいた。
「よくぞ来ましたね、まぁ来なければ王都に攻め入るつもりでしたからね」
さて、どうしたものか。マカーブルは戦闘をするつもりはないのか?
俺はマカーブルになぜこのような所にいるのか尋ねた。
マカーブルほどの強い魔族が居るのがおかしいからだ。
「探し物ですよ、探し物」
凄く怪しい笑みで俺を見ていた。
魔族、いや、魔王が復活しているとなると。魔王が何かを
探しているとみるのが当然だ。魔王が探すモノとはなんだ。
俺は目を閉じ考えるが、さっぱりわからん。
そもそも、魔王イベントはシナリオにあまり絡まないからだ。
勿論、シナリオにも登場するがソレは伝承程度だった。
「実はもう、この洞窟には用がなくなりましたので
私は引くことにします。只引くのは味気ないので、ここで
魔獣と戦って貰いましょう!この洞窟の!ラスボスです!
ではワタクシは消える事としましょう。・・・因みに。
貴方はこれからどちらへ向かうのですか?」
この洞窟に用が無いという事は、ここには探し物はなかったって事だ。
という事は次は西の洞窟か北の洞窟か・・・。ん?
なぜ、俺の事を聞いた?どこに行くのかって?考えるんだ、俺。
ジヴァニア達の存在?妖精がいたらまずいのか?
俺は、マカーブルの問いに、一旦王都へ戻りそこを拠点に
レベルを上げるつもりだと答えた。
何故ならば、俺達が王都に居る事で、いや、ジヴァニア達が
王都に居る事で攻めてこない可能性があるからだ。
そこまで言うと、マカーブルは顔に手をやり表情を隠した。
そして、消えると同時に魔獣が現れた。現れたのは!
芋虫だった・・・。
通常攻撃1発で煙となった。なめやがって!糞がっ!
俺の計画が!強い武器を手に入れるチャンスだったのに!
俺はとぼとぼとドロップしたところに向かう。
俺はドロップ品を見て衝撃を受けた・・・。そこには、
魔剣 レーヴァテイン レジェンダリー・ウェポン
秘剣 天狗 エピック・ウェポン
がドロップしていた。まじか!
俺は罠かもしれないと思い、慎重に手に取る。
マジもんだった。
リホさんに1本ずつと言ったが、リホさんは短剣しか
使えないと言ったので、俺が有り難く2本とも貰う事となった!
まじすっげええ!やはりマカーブルに欲しい装備の事、嘘ついて
良かった!
俺達はこんなわけわかんない所をさっさと出る事にした。
洞窟を出て王都へ戻る。
そして冒険者ギルドへ向かい、調査報告をした。
「魔族が居たですって!?」
受付の人は驚く。そりゃそうだ。俺達は2階の応接室へ
通された。そりゃそうだ、こんな事は大っぴらに出来ないだろう。
俺達はギルドマスターと向かい合い、洞窟であったことを話した。
「なるほど。そのマカーブルと言う魔族は魔王が復活している事を
におわしたんだな!それに探し物だと!?」
俺達が襲われなかったのは、妖精の存在があったからかもしれないと
伝えると。ギルドマスターは妖精を見た事もないし、聞いた事もないと
言い、ジヴァニア達をじっくりと見ていた。
「召喚獣の様なモノと思っていいのだろうか」
ギルドマスターがそう言ったので、そんなモノと答えた。
だって、説明するのがめんどくさそうだったからだ。
あくまでも可能性なので、とくぎを刺した。
そして、ギルドマスターは、さらに俺達に依頼をしてきた。
西の洞窟と北の洞窟の調査依頼だった。
依頼報酬は破格の金貨2枚だった!即答で受けた・・・・。
明日の朝から向かうと伝え、俺達は宿屋へと戻った。
まさに奇跡だ。この2本の剣を手に入れることが出来たのは。
片手剣を2本も!俺はニヤニヤしっぱなしだった!ジヴァニアが
呆れるほどに!
俺は何度も何度も持ち替え、かっこいいポーズをとる。
どっちを先に使うか2本とももって見ているとジヴァニアが、
呆れながらも
「そんなに迷うなら右手にも左手にも持てばいいんじゃないの?
ばっかみたい」
俺は頭に電球が光るような感覚を覚えた。そして、
片手剣スキル『二刀流』を閃いた。




