第11話 出会い
デカくなってないか?雪丸・・・。
うん、体長が1メートルはないにしろ90センチはある。
俺はステータスを確認するとレベル2になっていた。
上がるのか!眷属も!ゲームの時は・・・。いや、よそう。
生きているんだ、みんな。
というかジヴァニアは・・・・上がっていなかった。
「なんでよー!」
知らんがな。しかしSPが10になっていた。全快してるし。
しかし、どうにもよくわからない。
俺の魔法はMP.ジヴァニアのヒールはSP。
違いは何なんだろうか。俺は勿論だが、俺よりも
ジヴァニアと雪丸はイレギュラーな存在だ。
誰かが知らない所で色々としているのだろうか。
俺はプレイヤーだ。運営に匹敵する何かが居るのだろうか。
ジヴァニアは神が色々と聞いてきたと言った。現世の神?
確かに「はいはい」と言う感じでジヴァニアの話に乗ったが
そんなものいるわけがない。神なんて妄想だ。
いや、否定から入るのではなく、肯定から入った場合はどうだ。
辻褄があってしまう。しかしだ。
自身で解らない事や摩訶不思議なことを神の業にしてしまえば
全てにおいて肯定出来てしまう。偶然も全て。
偶然に偶然が重なり、人間が考え、それでも答えのない場合は
神の業にしてしまえばいいのだ。
俺はジヴァニアに聞いた。神にチャットしたのか?と。
どうやってネットをつないだのかと。
「うーん。実は向こうからアクセスがあったのよ。
助けたい魂があるって。私はIDの事だと思って色々と
教えたわ」
神とは運営なのか!?しかし、アクセスがあったという事は
運営じゃないな。
あの時、残っていたプレーヤーは俺を含め6人だった。
俺と同じような事が起こっている可能性がある。会ってみたい。
ジヴァニアは俺のシステムチェッカーだ。
「各IDにシステムチェッカーがあるんだよな?」俺は
ジヴァニアに聞くと頷く。
さらにお前が意思を持ったように、他のシステムチェッカーも
同様な事が出来た可能性は?と聞くと、可能性はあると言われた。
しかし、全く分からないそうだ、システムに関しての事。
そうなんだ、ジヴァニアは「生身の体」になってしまったのだ。
もしも、あの時の5人が俺と同じようにダイブしているのならば
会ってみたいと伝えると。
もしも、俺の様にじゃなく、素直に時間に余裕をもってダイブしたならば
メインキャラに魂を写しているかも?と真っ当な返事。
あの5人は最後までログインしていたガチな人たちのはずだ。ゲームがとても好きな俺と同じくらいの。
であれば、こんな初期の所にはいないはずだ。
俺のメインキャラが居る最果ての魔王領の可能性が高い。
俺は考える。もしも、俺がメインに魂が移っていたならば、と。
あれだけ強ければ相当、思い通りに行くはずだ。
この世界の征服も夢ではないだろう。
他の5人も同様な考えを持つのではないだろうか。
実際、MMOのガチなんて「俺強えええ」したいから
やってるんだ。この世界を俺のモノにするって考えも起きるだろう。
「もう!一人で何、ぶつくさ言ってるのよ!お腹がすいたんだけど!?」
そうだ、いろいろ考えすぎだ。今は飯を食おう。うん。
俺達は食事を終えると料理と錬金ギルドとへと向かう。
北の門近くなのでちょっと遠い。しかし、街並みを見ながらだと
思いのほか苦にならない。
もう少しで料理ギルドがある場所と言う所で何か騒ぎが起きている。
「ちょっと!やめてください!」
「いいじゃねえか、姉ちゃん。遊ぼうぜ?」
これはもしかして!イベントフラグ!?と思ったが・・・。
頭の上に赤いマークが無い。あぁ、そう言うのも消えてるのだろうな。
初期の村でもイベントの赤マークを付けている人なんていなかった。
よく見てみると、ひとりの女性に4~5人のちょっと輩っぽい人が
絡んでいた。
「ねえ、ちょっと私、見てらんない!」
ジヴァニアはそう言うと、その場所へと向かって行った。おい!
もしかして騒動に首を突っ込むヤツかもしれない・・・ジヴァニアは。
ジヴァニアは重いっ切り間に割って入ると
「なにやってんのよ!なんか嫌がってるじゃない!」
あー。コレは行くしかないな、と思っていたら雪丸も行っていた。
うわぁ、めっちゃ威嚇してる。仕方ないので俺も・・・行った。
俺は懇切丁寧に輩っぽい人達に止めてもらうよう言ったが・・・。
「てめえ!何様だ!邪魔だ!どっかに行けよ!ふん、みすぼらしい
装備の冒険者風情が!お前みたいな弱そうな奴に言われてもな!
あっちへいっとけ!」
その台詞に俺は・・・キレた。
レベル22と言ってもジヴァニアの加護でステ2倍だ。
一番手前のやつに重いっ切り腹パンしてやった。
因みに、現実世界ではケンカなんて小学生の頃にしたくらいだ。
そしたら、なんだ。そいつは泡吹いて悶絶していた。
「くそが!やっちまえ!」
やべえ!全員がかかってきた!が!雪丸が一人の足を噛む。
その男は悲鳴を上げながら右往左往している。
俺は思いっきり、腹に蹴りを入れた。
あれ?これってもしかしてPvPなのか?まぁ、どうだっていいや。
「てめえ!それ以上やると、この小っちゃいのがどうなるか
わかってんのか!?」
その声に振り向くと、ジヴァニアが捕まっていた。をい!
しかしその声を聞いてか、絡まれていた女の子が・・・。
「あー。もうめんどくせえ。てめえ、殺すぞ」
と。短剣をその男の首元に持っていってた。
おい。まぁあいい。その光景を見て二人が動きを止めた。
俺は重いっ切り顔を殴った!手が痛てえ!こんなことなら
もう少し喧嘩慣れしとけばよかった!
しかし、殴られた男はぐるぐる回りながらぶっ飛んだ。
なんだ!このアニメの様なやられ方は!と思うくらいに!
ついでにもう一人を蹴っ飛ばした。壁に激突していった・・・。
それを見てジヴァニアを捕まえていた男は慌てながらジヴァニアを解放し
どこかへ逃げて行った。
気が付くと何故か大観衆に囲まれていて、拍手喝さいを受けた。
めっちゃはずかしい!すぐにこの場を立ち去ろう!そうしよう!
俺はジヴァニアを捕まえ、雪丸に目配りし、急いでその場を離れた!
料理ギルドまで一目散に走った!そして料理ギルド前に
着いたが・・・・。何故かそこはオープンカフェとなっていた。
俺は場所を間違ったのかと思い、辺りを見回す。
いや、間違っていない。ここのはずだ。5軒先には錬金ギルドが
普通にあった。料理ギルドがない。
俺は近くにいた人に聞いてみた。
「料理ギルド?そんなギルドは初耳だなぁ。というか、俺は
この町出身だがそう言ったギルドはこの街には無いし聞いた事が無い」
仕方ないので俺達はそのカフェでお茶をする事にした。
・・・もう慣れた。色々違う事に。・・・多分、慣れた。
俺はカップを持つ手が震えている事には気づいていた。
人間は、動揺は隠せないと死んだじいちゃんの言葉を思い出した。
その時に後ろから声がした。
「やっと見つけた!さっきの事、お礼を言おうと思って」
振り向くと息をきらしたさっきの女の子がいた。