神の国 前編
神の国編は、この作品で今のところ一番、長いです。キータの性格、マホのドSっぷりが分かる回となっているので、読んでみてください。ではでは、
翌日のお昼頃、神の国に到着した。長いような短いような旅だった。
町並みは、白いデカい宮殿を中心にして、白い塗装された家が並んで、道も整備されていて白いレンガが敷かれている。 さすが、神の国、綺麗だ。
町の周りを見渡すと、白い服の人たちが、野菜を買ったり、友人と話している。どうやら、ここの住人らしい。
町をブラブラしていると鎧を着た人たちが両腕を掴み、何処かへ連れて行かれる。着いたのは、宮殿。
中に入ると、王座で皺を寄せている威圧的なおじさんが座っている。一筋縄では、いかなそう。面倒いから帰るか。
おじさん「待て!どこに行く」
重みのある言葉、先生に怒られた時を思い出すぜ。正直、泣きそうだぜ。
キータ「いえ、どこにも。」
声が震えていないか、不安になる。
おじさん「まぁいい、お前らに訊きたいことがある。」
圧で潰れそうだぜ。
おじさん「トラップに行かなかったか?」
キータ「トラップとは?」
おじさん「知らんのか?ダンジョンだらけの村なんだが‥‥。」
キータ「あ~~行ったな。」
おじさん「そうか、そこで酒好きの大賢者と名乗ってくる奴は居なかったか?」
キータ「あ~、やたら煽ってきて石ころを魔法で投げつけて、勝手に敗北した老人のことか?」
おじさん「そうか、やはり、お前が‥‥。」
おじさんは、納得するように髭を擦る。
キータ「何か、言ったか?」
おじさん「いや、なんでもない。」
何か嫌な感じだぜ。おっと、久しぶりに人を疑ってしまった。でも、何か怪しい、何か企んでいる。まぁ、なんとかなるか。
おじさん「それで頼みたいのだが‥‥。」
そうして、頼まれた通り、十字型に縛り上げた瞬間、真っ暗い部屋に入れられた。
自分は別にいいのだが、あの二人のとこが心配だぜ。
なんて、強がっているが、体が震えている。怖いぜ。
もしかして、強い奴がいるのか、暗い所でも見れる目が
有れば良かった。てか、欲しい!
それがあれば、コミュニケーションぐらいは取れたのに、コミ障だけど。
ずっと沈黙なんですげど、そろそろ帰りたい。そう思っていると、
ガサガサ
何か動いた。怖い、怖い!逃げたい!
??「今日のご飯が来た。」
小学生並みの男の子の声がした。かわいらし‥‥‥‥って何か物騒なこと言ってなかった!?
カーテンが開いた。そこには、白いワイシャツに膝までしかないズボンを着ている男の子がいた。
しかし、部屋は赤い斑点がある、たぶん、だげど、うん。血かな‥‥‥あっ僕、死んだ。僕の本能が言ってる。
本能(逃げ場ないよ)
キータ「君は誰?いや、何者だ!?」
男の子「そんなの、知ったって、すぐに死ぬんだから、関係ないよ。」
近付いて、魔法で首を斬ろうとする。しかし、僕の首は飛ばない。男の子は舌打ちすると、部屋が一変し、宇宙のような空間になった。
男の子「君、強いね、はぁ~面倒くさい。」
男の子は、デカイ黒いバケモノになった。僕を喰らうが、すぐに吐き出す。また、元に戻る。
男の子「何で?」
何回も喰らわれては、吐き出すを繰り返す。現実を受け入れられないようだ。戸惑いが隠せない。
男の子「こんなこと、一度もなかったのに。」
キータ「あの~。」
男の子「食べ物は黙ってろ!」
キータ「はい。」
男の子、恐い。て言うか、何かムカついてきた。あのおじさんのせいだ!一発、殴ってやる。
まずは、このクソガキを何とかする。男の子はブツブツ何か言っている。
『石』で逃げるか、おじさんの所に行くのが、最優先だ、此処にいても埒があかない。
ON
その部屋を後にした。あいつは、なんだったんだ。
考えても考えても分からない。おじさんに話を聞かない限り、分からない。
宮殿の中を外の灯りが消えるまで探し、やっと、最後の部屋の前にいる。
ごくり
最後の部屋に入る。おじさんは居なかった。代わりに、男の子がいた。
男の子「やっと見つけた。もう、何処か行かないでよ、"食料"。」
キータ「食料か、不味い物を喰うのは、オススメしないですよ。」
男の子「生きるなめなら、不味い物を食べないと飢え死にしゃうから、食べないと。」
キータ「僕は、食べられる物と食べられない物の見分けが付くが、強い人とか見分けつかない。」
男の子「それがどうした?」
キータ「君は、強いのかな?てか、君は誰なの?あの威圧的なおじさんと何の関係が?」
男の子「僕は、同じことは、二度言わない。」
キータ「全く、君は、食べ物しか興味がないな、友達作ろうよ。それで僕が第一号になる!」
男の子「うるさい!!うるさい!!うるさい!!
もういい、死ね。」
夜魔法“無月の嵐”(ノットムーンハリケーン)
辺りが真っ暗になり、暴風、矢が襲う。しかし、なにも効かない。男の子は焦る。僕は、一歩ずつ近付き、目と鼻の先まで近付き、男の子の頬を両手で挟む。
キータ「僕は君を殺す気はないし、殺せない。力も魔力もない、ただ防御力が高いだけ。君はもっと世界をみるべきだ、宮殿を出て。」
真剣な目線に堪えかねて、男の子は俯く。
男の子「だめだよ。きっとまた、人を襲っちゃう。」
まだ、顔を俯かせている、男の子の顔には、悲しみと涙がでてきている。何度も葛藤しただろう。何度も自分は死にたいと思っただろう。人を殺したくないと、食べたくないと。
男の子「人を見ると衝動的に体が動いて、我に帰ると手には血、口には肉の感触がする。そして、毎回、泣くんだ、なんて僕は弱いんだと。」
自然と男の子を抱き締めて、頭を撫でていた。今までの不安を払拭するかのように泣いた。
まったく、こんなにも僕は、お人好しだったのか。
いや、僕も同じ境遇だったからだ。
家族にもクラスメイトも、先生からも遠い場所にいた僕だけが残ってしまった。僕は、ただ「一人じゃないよ」って言って欲しかっただけなんだ。
だから、
キータ「君は、一人じゃない。人を襲ったりしたら、全力で阻止する。僕が君に友達の素晴らしさを教えるぜ。」
僕はニコッと笑う。男の子は涙を必死に拭い
男の子「それじゃ、教えてよ。」
男の子がニコッと笑い返す。男の子には名前がないと言うことでイトと名付けた。
イトは、少し寂しそうな顔で語り始める。
イト「僕は、神様の"負の部分"から生まれたんだ。そのせいか、時々、自分で抑えられない"何か"が出てきて、神様は、そんな僕のことを苛めたり、宮殿から出ていってくれなんて言ってくるんだ。」
僕は、怒った。自分には、抑えきれない物を背負っている。この小さな背中で、そんな重い物を勝手に押し付けられて、どんなに辛く厳しい現実なのだろう。
イト「でも、そんなことも今では、良かったと思っているんだ。キータと出会えたから。出会いは最悪だったけど、友達ができたから。」
キータ「それは、僕も嬉しいんだが、神様がどこにもいないようだが?」
イト「たしか、一人を生け贄にして、二人をグヘヘって言ってた。」
まだ、負の部分が残っているようだ。
キータ「たぶん、その二人は僕の連れだ。けど、グヘヘなことはできないよ。だって‥‥‥。」
その頃、マホと魔王とおじさんもとい神様は、と言うと神様が洗脳しようとして、二人がそれに気付き、ボコボコして、裸にして、土下座させていた。
そんな状態でも神様は、怒りが混み上がる。
しかし、
マホ「もう終わると思っていますか?残念、あなたには、苦しみを味わって貰います。神様としての罰です。
じわじわ逝きましょうね。」
あまりの迫力に心が折れて、言葉を失った。
その後、ホテルの中で男が叫ぶ声が朝が明けるまで響いたと客から聞いた。
翌日の朝、威圧的な顔は変わらず、王座に座ってはいるが、二人にずっと睨まれているせいか体が震えている、半泣きにすら、見えてくる。
一体、昨日の夜、何があったのか、考えたくない。僕は、頭を強く左右に振る。
神様「さて、本題に入ろう。昨日はすまない。君を試させてもらった。それで君は、"私のゴミ"と戦い、生き残った。おめでとう。合格だ。」
神様は拍手する。
キータ「おい!誰が、お前のゴミだって!イトをゴミ呼ばわりするな!」
僕が怒ると神様は、鼻で笑い、
神様「イトだ~?ハッハッハッ、笑わせるな!あいつは、私の汚点だ。その汚点そのものが存在している時点で気分が悪いのに、特別に食べ物を用意しているんだ。怒られる筋合いはない。」
もう怒っても何もならない。
キータ「そうですか。では、イトを連れてってもいいですか?」
神様「こいつは、足手まといになるし、人を喰うぞ。それでもいいのか。」
キータ「あなたは、なぜ、そんなにイトを行かせたくないような口ぶりで、イトはあなたにとって汚点なんでしょう?」
また、神様が鼻で笑い、
神様「そうだな。好きにしろ。」
二人に睨まれるのが居心地が悪いのか、すぐにその場を去っていった。神の国の長が聞いて呆れる。
しかし、イトを引き入れることができたことでホッとした。一刻も早く、神の国から出たかった。イトのいる部屋に行き、事情を話すと泣いて喜んでくれた。
キータ「あいつが本当に神の国の長なのか、到底、信じられない。」
宮殿を出た時に言うと、
イト「いえ、あの方は大臣です。神の国は、複数あるんです。」
大臣とはいえ、こんな人には、統治してほしくないです。イトも最初は、ただのバケモノかと思っていたら、悩みを抱えて苦しみ、支えきれない物を背負わされている。これって、プレッシャーでも言えますよね。
そんなことより、次回は、神の国の後編です。
キータの面倒くさい日常を見に来てください。