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後宮のインチキ占い師  作者: 寄付
呪いの幽霊
3/19

呪いの幽霊 2



「ねぇ依玲イーリン李妃りひの噂って知ってる?」

「もちろん」

朝餉を食べながら、柳雪英リュウシュウインは同じく女官である依玲から噂話を聞いていた。


依玲はかなりのゴシップ好きで、雪英のインチキ占い業を支えているのは彼女だ。彼女から横流しされるゴシップが無ければ、雪英は「イー先生」をここまで上手くやれていなかっただろう。


紅梅宮こうばいきゅうの周りに『幽霊』が出るって話でしょ?」

「そうそう」



「『幽霊』って怖いのかな…?」

「ははは!雪英って意外と怖がり?」

「…いや」

「誤魔化さなくても良いって!」依玲はおかしそうに笑う。


「『幽霊』を見たって話は毎日のように聞くけど、何かされたって話は全然聞かないよ。きっと大丈夫じゃない?」

「…依玲、面白がってるでしょ」

「全然!」


「……だってその、『呪い殺されたり』…とか」

「ははは!雪英怖がりすぎだって!そんな話誰から聞いたの?」


(…?依玲も知らないのか)


「い、いや…想像…」

「ははははは!」

以後、雪英は依玲に『幽霊』についていじられながら朝食を食べる羽目になった。



「じゃ、私は今日も仕事だからお先に」

「一緒に片付けとく。頑張って」

「ありがと!」

そう言って、依玲は部屋を出てく。



その後雪英は後宮内を歩いては、暇そうな女官に『幽霊』について話を聞いたが、『呪い』について知っている者は居なかった。


(…どういうことだ?)



———————————————



昼飯を簡単に済まし、雪英は後宮内をふらついていた。


「あー!雪英、こんなところに居た!!」

声のした方を向くと、依玲がばたばたと走ってきた。

「依玲、どうしたの?」

「休暇中にごめんね。出納帳に不備があって…」


「……分かった。すぐ行く」

(今日は散々だ…)



仕事場に向かうと雪英たちの上司が待っており、昨日雪英が作成した出納帳が机の上に広げられていた。

雪英の担当は、各宮の食費である。


「どこ?」

「えーと、紅梅宮なんだけど」

(……紅梅宮)李妃の住む宮だ。


「李妃の食費のこと?」

体調を崩したせいで、李妃の食費は前期に比べてがくんと落ちていた。食べなくてもお金だけは貰っとけばいいのに、と金にがめつい雪英は思ったものだ。



「ううん、申告された女官の人数が一人分多いみたいなんだよね」

「え?」

「ほら、こっちが中央で管理してるやつ」

「……本当だ」

後宮において、各后妃の食事はそれぞれのお付きの女官が作っている。しかしその女官たちの食事については、他の一般女官たちと同様、食堂でまとめて作ったのちに各宮に運ばれるのだ。

よって、各宮は事前に女官の数を申告している。


「あれ?でも貰った申請書には、その通り書いてたと思うんだけど」

雪英は自分の机の上を探し、一枚の紙を持ってくる。

紙には、雪英が記入した通りの人数が書かれていた。


「ええと…これは?」

「…虚偽申告、かな?」


上司は苦い顔をしている。



「……揉み消します?」


「一旦、…今期は李妃の減少分で帳尻を合わせなさい」

「はい」

雪英は速攻で新しい出納帳を書き上げ、「雪英が書き損じた出納帳」はすぐに焼却処分された



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