キライな舞踏会
〜キライな舞踏会〜
ウィルがメイドになって2週間がたった。
毎日みっちり働いて、まだ後、約3週間あるというのに たった一週間で疲れ切ってしまっていた。そんな毎日の中で、1ヶ月で一番忙しい日がやってきた。月に一度のパーティー。舞踏会だ。貴族は毎月 舞踏会をする。シレネ家ももちろん貴族なので舞踏会に行かなければならない。そのため、メイドは大忙しだ。ウィルは朝、3時から街の中心部にある、この町で1番の金持ちの貴族が住む城。ディッサンナ氏の城で食べ物の準備、会場の飾り付けなどを行なっていた。そして5時になると、いつも通りシレネ家の元で朝ご飯を作り 双子が7時に起きてきた。今日は双子も早めに食事を済ませ、身支度をしていた。オリビアはいつもより少し高価なドレスを着て、レイはウィルがいるからと見栄を張り 持っている服の中で一番高いのを着た。ウィルには効果がなかった様だが。そして、2人は差し入れなどを準備し、夕方の4時半。ディッサンナ氏の城へ向かった。城はとても大きく、沢山の貴族がいても 広すぎるほどだった。オリビア達は差し入れを渡して、城へと入った。レイはすごく上機嫌だった。舞踏会が好きらしい。しかしオリビアは不機嫌そうな顔だった。「オリビア?じゃ、なくて…オリビアさ、、ま、。舞踏会が好きじゃないんですか?」ウィルは聞いた。「ええ。好きじゃないわ。おばあちゃんに会えるのは嬉しいんだけど。それ以外の貴族はみんなキライ。自分のことしか考えてないんですもの。」「お父様も?」「ええ。嫌いよ、あの人も自分とレイのことしか考えてないんですもの。」オリビアは悲しそうな声で言った。ウィルは何も気にしない様子で、そのまま何処かへ行ってしまった。そして午後8時頃。オリビアはここにいるのが限界になってレイに「レイ。私もう疲れたわ。帰ってもいいかしら」レイはまだ居たそうだったが、「そうかい?でも無理や良くないもんね。いいよ!帰ろう!」レイはおばあちゃんも好きだが、父のことも好きだった。父は別の場所で暮らしていて、中々会えず、舞踏会ぐらいでしか会えない。だからレイは舞踏会が好きだったのだ。「ごめんなさい。レイ。あなたは舞踏会が好きなのに…」「気にしないで、オリビア!僕は舞踏会なんかよりオリビアが大切だからっ」「レイ…」オリビアは頬を赤らめた。」「じゃあ、帰ろうか!サブリナ!馬車をだして!ウィル!帰るよ!」とレイは叫んだ。それに対してウィルは困ったような顔をした。しかし、そのまま馬車に乗り 館へと帰った。_____________________
午後9時頃。「トントントン」ウィルの部屋がノックされた。サブリナだ。サブリナはウィルの部屋を開けた。しかし、部屋にウィルは居なかった。サブリナはレイの部屋の掃除を頼もうとしていたのに。しかし、あることに気づいた。窓が空いている。脱走…?そんなことを考えた。しかし流石にないだろうと思ったが館のどこにも居ない。オリビアに聞いてみて、メイド全員についているGPSを見てもらった。すると、ウィルはディッサンナ氏の城にいるではないか!!サブリナはびっくりした。「まさか脱走するなんて!」その声を聞いたレイはすぐに館中に放送をした。ウィルを捕まえなさいと。しかし、オリビアは落ち着いていた。ウィルの全てをわかっているかのように。何人かのメイド達がディッサンナ氏の城中を探したが、どこにも見当たらない。少しすると、なぜか城が爆発すると茶髪の女の子に言われ、避難することとなった。しかし、貴族の方々は避難なんてしていない。やはり嘘ではないか。そうメイド達は思った時。「ドカン!!」城が爆発した。貴族達が城にいるのに。シレネ家の館でもその爆発音は聞こえた。城が燃えているところも見え、オリビアとレイはすごく焦った。レイは父が中にいるのにと。オリビアはおばあちゃんが中にいるのにと絶望していた。城の原型はなくなり、消防隊が一生懸命火を消していた。もちろん爆破させたのはウィルだ。城の飾り付けの時、爆弾を仕込んだのだ。死んだ貴族達の金は全てウィルのものとなり、ウィルのレベルは10へと上がった。死んだ貴族の中にディッサンナ氏も含まれていたため、一瞬にしてレベルは尋常ではないほど上がったのだ。そしてウィルは自分の部屋の窓からシレネ家の館へ帰った。そこにはオリビアがベットで腰掛けていた。「おかえりなさい。」オリビアは帰ってくるのをわかっていたような顔をしていた。「ただいま。」ウィルは笑顔で窓の縁に乗っかって言った。「私のおばあさまは?」オリビアは心配そうな声で聞いた。「生きてるに決まってるじゃん?オリビアのメイド達も、お父様も。お父様は爆破しちゃおうか迷ったけど、、レイの大切な人だからさ?殺せないじゃん?」笑顔でウィルは答えた。オリビアはホッとしたような顔をして「ここを出ていくの?」と聞いた。オリビアはわかっていた。もうウィルの方がレベルが上だと。あれだけの人を殺してしまったのだから。ウィルの方が上だと契約は破棄される。しかしウィルは「出て行かないよ。だけど、メイドはもうやだね、こりごり(笑) だから、ここに住まわせて?あたしの命令。レベルはあたしの方が上だよ。」オリビアは嬉しそうに小さく頷いて部屋を出て行った。そして暴れていたレイに事情を話し、一件落着となった。ウィルはメイド生活が終わり、オリビア達と暮らすことに。新しい生活が始まる___________