新人メイド
〜新人メイド〜
「おはよう。ウィル」少女の声で目が覚めた。オリビアだ。「もぉ…朝…?」ウィルが寝起きの掠れたで喋る。「朝よ。朝の5時。メイドは5時に起きるのよ。」オリビアがウィルに言う。ウィルはイヤそうな顔をして「そんな早く起きるルールかよ」と、ボソッと本音が出てしまった。オリビアは「主人に対してなんて口調なの。敬語を使いなさい。今日からはあなたはメイドなのよ。分かったら起きて。」ウィルはイヤイヤ起きて、メイド服を着、食堂へ向かった。食堂へ向かうと沢山のメイド達がいた。(なんだよ。こんなにいんじゃん。殺しても別にいいじゃんかよ。)と、ウィルは心の中で言った。「あら、どうも おはようございます! あなたが…その…私たちの後輩ちゃんを殺した…新人メイドさん?」そう聞いてきたのは、銀髪の可愛らしく、優しそうなメイドだった。「あっ…あぁ」と、ウィル。自分よりも歳上だと思ったので、敬語が使い慣れていないウィルは、なんと言ったらいいのか分からなかったようだ。レベルも腕に付けているため、見えないので自分より下かも分からないという理由もあった。「私はここ、シレネ家様のメイド、サブリナです!その…どうぞ、タメ語で話してくださって構いませんよ。あなた様の方がレベルは上です。メイドなので、私のレベルは凄く低いんですよ!(笑)あ!レイ様からあなた様のレベルはお聞きになりましたよ!レイ様、昨日は凄くウィルさんのことをたくさん話してらっしゃって…!」この優しいそうなメイドはサブリナというらしい。ウィルは言われた通り、タメ語で話した。「あぁ…そうなんだ。そんなに私の事を話してたんだ………。」レイが自分の話をしていたなんて…という嫌そうな顏で言った。そして、とっさに話題を変えるように、「てっ、いうか私は何をしたらいいんだ?」「あっ!!そうね!」サブリナはウィルに食器を並べるように言った。「あの…ウィルさん?一応聞きますけど、食器を置く位置って分かりますか?」サブリナがウィルに言いにくそうに言った。「え?」その返しにサブリナは「あっ…えと、ウィルさんはレベルを上げるのを、人を殺めて…上げていたんですよね…?だっ、だから…貴族では無いですし、分かるのかなって、思いまして…」そう言われたウィルは「…あー、えと……私も…貴族だから、分かるよ」と返した。それを聞いたサブリナはキョトンとしてすこし固まった。そして「え!?」と大声をあげ、思ったより叫んでしまい、とっさに口を手で塞いだ。そして「では…どうして、人を殺めてレベルをお上げに…?」と今度は少し小さめの声で聞いた。ウィルは「色々あってね」と誰が見ても愛想笑いの笑顔で答えた。それから少し沈黙が続き、そのまま作業を始めた。________________________________
そして朝食の準備ができた。調理人は、さほど多い人数ではないため、調理の方が少し時間がかかっていた。流石に貴族でもシレネ家のレベルが9だからだろう。準備が終わると、オリビアとレイが部屋から食堂へ下りてきた。2人は7時に起きるらしい。(あたし達と2時間も起きる時間が遅いなんて)ウィルはそう思った。でもウィルはメイドになったので、仕方なく文句は言わずオリビアとレイが食事を取るのをじっと見ていた。____________________________
午前7時半。オリビアとレイが食事を終えた。やっと朝飯。こんなにも用事をこなし、お腹が空いたにもかかわらず、主人の高級そうな食事を見届け、自分達メイドの食事は質素なもの。パンにスープ、それに小さなサラダだけ。ウィルは不満そうな顔で、プスッとしながら朝飯を食べた。だが、(死ななかっただけマシだろ。)ウィルはそう言い聞かせ続けた。するとサブリナがウィルに話しかけてきた。「ウィルさん!大丈夫ですか?やっぱりメイドさんは大変ですよね!!しかも地位の高いウィルさんですから余計に…。私なら相談でもお話しでもなんでも聞きますよ…!」ウィルが、あまりにも不満そうな顔をしている為、サブリナが心配して声をかけたのだ。ウィルはサブリナの様ないい先輩を持って少し安心したが、先が思いやられるな…と、少し悔しそうな顔をした。_________________
そしてやっと夜。みっちり1日働いて深夜1時、やっと自分の部屋に戻れるみたいだ。あまりのしんどさにウィルは死にかけだった。普通の人でも疲れるのに地位の高いウィルなんて意味のわからないぐらい疲れたんだろう。