デスローグ
初めての短編小説で、短めのもので、自分の書きたいものを書いたものなのでそれでもよければ読んでいってください。
「ねぇ、何してるの?」
声を掛けられ後ろを振り向くと、背丈に見合わないコートを着た少年が立っていた。
「そんなの見りゃ分かるだろ。」
「まぁね、でも一応聞いておこうと思って。」
少年は、何が面白いのか笑っている。
「まぁ見たけりゃみていけばいい。」
「ああ、じゃぁおじさん、行く前に一つ聞いてもいい?」
行こうとしている俺を止めるように急ぐように聞いてきた。
「何だ?止めても無駄だぞ?」
「あはは!止めるなんてそんなことしないよ。僕はただ、おじさんが何で死にたいのかが知りたいんだ。」
「はぁ、ガキの癖に変わった趣味してやがるな。それを聞いたら逝かせてくれるのか?」
「もちろん!止める理由なんてないしね!」
相変わらず少年は無邪気な笑顔を顔に張り付けている。
「...まぁよくある話だ長くなるが良いのか?」
「ぼくは良いよ!でもおじさんは良いの?」
「止められないならどれだけ経とうが俺が死ぬのに変わりはないからな。」
そう言うと少年は静かになった。完全に聞く体制に入ったようだ。
「そうだな、どこから話そうか。そうだ、あれはちょうどこれぐらいの時期だったな。小学校のころだ。六年生の夏だったな。」
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「皆、よく聞いてくれ、おとといの放課後から////さんの体操服が無くなったそうだ。////さんは親御さんと家も必死に探したそうだ。今朝////さんの親御さんが盗まれた可能性も考えて一様クラスにも声をかけてくれとおっしゃっていたので居るとは思わないが一応聞いておこうと思う。」
先生がそう言うとクラスは騒めく。自分は正直何も知らないので興味が無い。そんなことより早く帰りたい
「そう言えば○○が持ってなかったか?」
誰がつぶやいたかそんな言葉が聞こえた。
急に自分の名前が出てきて顔を上げる。
「○○、それは本当か?」
誰が言ったのか確認もせずに先生は、俺に疑いの目を向ける。
「そ、そんなわけないですよ。」
まさか自分に飛び火が来るとは思っていなかったので、キョドってしまった。
「○○、後で職員室に来てくれ。」
先生、いや、教師はそう言うと話をまとめて生徒たちを帰らせて俺と話をする。
無事に誤解を解いたはいいが教師、いや、大人はまだ疑っているようで。次の日に俺を弁護する様なことはなかった。
こういう時の子供というのは残酷で卒業までいじめられていた。
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「それが理由?」
コートの少年は答えをせかすように問う。
「まぁ理由っちゃ理由だけど、それでも俺はその時は頑張って耐えたよ。でもさっき言った通りに子供というのは残酷だ。殆どの子供は人の気持ちなど知らずに自分が楽しもうとするそして都合の悪いことは忘れ、都合の悪いことは忘れる。そして今回の事は都合の良いことらしい。中学まで永遠にいじめられた。」
俺が少し長くしゃべり、終わると少年は愉快そうに言う。
「なんでその時に死ななかったんだい?」
「ただ怖かったんだよ。死ぬのが。」
「ヘタレだね。」
少年が笑いながら俺に突っ込む。
「うるせぇ、とにかく中学の時は耐え続けた。高校は俺を知っている人が絶対に来ないような、遠くの市立に進学した。いや、逃げたと言うほうが合ってるかな。」
少年は俺の方を見てにやにやしている、早く続きを聞きたいようだ。
「高校は楽しかったなぁ、途中までは。」
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高校に入った。一年生の間は普通に小学校の時のことを知っている奴が少なかったから普通に楽しく過ごせた。まぁ最初の方は少し対人恐怖症だったがな。
でも、友達が出来た。クラスの奴らが良い奴だったからだろう。
問題は2年二学期中間テストの後ぐらいだ。
俺をいじめていた、いや、いじめの原因になった発言をしたやつが転校してきた。
しかもそいつは俺を見たとたん笑いやがった。
俺は絶望よりも先に怒りが込み上げて来た。
気づいた時には黒板の前にいるそいつをフルスイングで殴っていた。
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「あはははは!」
少年が心の底からの様に笑っている。
「馬鹿にするなよ?その後警察沙汰になるほど殴ったんだからな?全治三週間まではやったかな。ま、後悔はしてない、前科持ちにはならなかったのが幸いだろう。話を戻そう。」
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やはり友達は良い奴で、過去の話を聞いても同情なんかせずにいつも道理に接してくれた。
戻ってきた彼奴も友達ににらみを利かせられ、何もできなかったようだ。
まぁ、そんなこんなで高校生活も無事に終わり、無事卒業もできた。
俺は、進学せずに就職することにした、。理由は単純にまた学校であいつらに会うかもしれないと思うと怖くなってしまったんだ。
まぁそんなわけで俺は就職活動を頑張っていた。
そこまで成績も悪くはなかったのでそこまで苦労をせずに就職することが出来た。
しかし、ここで運が悪かった。
まぁいわゆるブラック会社だ。定時で帰れるなんてまずない、休みも取れない。
いじめもある。ま、俺が弱いって言われたらそれまでなんだけどな。
そうして俺は大人になった。
いや、人間に成り下がった。
少し会社に慣れてきて、定時は超えるが、20時には家に帰れる様なったころ、中学生のいじめ現場を目撃した。19時ほどだったろうか。あたりは暗くなり、数人で一人を囲み、リンチしていた。
その時俺は何したと思う?
....何もしなかった。
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「俺は帰って絶望したよ。自分はいいじめられている者の気持ちがわかるはずなのに、助けてほしいと思っているのを知っているはずなのに。何もしなかった。そんな俺が怖かったよ。」
「フフフッ、それじゃあ本当に君は人間に成り下がったわけだ。面白いねぇ。あれだけ人間を嫌っていたのに最後には人間に成り下がる。最高の悲劇だね!」
少年は愉快そうに俺にそう言い放つ。
「悲劇か、そんないいもんじゃねぇよ。ただの醜い人間の醜い物語さ。でも、その物語ももう終わる。幕が下りるんだよ。」
「じゃあさ、カーテンコールの前に一つだけ教えてよ。君は何で今まで死のうと思わなかったのにここに来て死のうと思ったんだい?ブラック企業で心が死んだ?自分の醜さに絶望した?人の醜さがヤになった?それとも生きていることに耐えられなくなった?違うでしょ?ね?最後に教えてよ」
「ああ、そうだよ、そんなしっかりした理由があるわけじゃない。単純だ、こないだ親が死んだ。今まではただ、親に心配かけないように、親に迷惑かけないようにと、耐え続けた。しかしその最後の砦はあっけなく崩れ去った。」
「そんな理由で死ぬのかい?」
少年はにんまりと笑い、俺に問いかける。
「ああ、結局は死ぬ理由でさえしょうもない人生だったよ。」
「そうでもないよ。僕は楽しませてもらった。いいものが聞けたよ。ありがとう。じゃあねBuona vita、。」
少年はそう言うと屋上から去っていった。
最期までよくわからない少年だったなぁ。
俺はそんなことを考えながら靴を揃え、柵を超える。
足が竦むなんてことはなく、すんなりと一歩踏み出す。
そうするとあっけなく俺の体は地上へと吸い込まれる。走馬灯が見えるなんてことは嘘だったようで特に何も思い出せない。しかし、死に際に時間が長く感じるっていうのは本当のようだ。
そういえばあの少年最後に何か言っていたな英語か何かか?
まあ俺にはm
グシャッ
かたい地面に打ち付けられた俺は妙に冷静で、体の状況を確認していた。
骨は砕け、腹は裂け、腕は折れ曲がり、視界は段々と霞んでいき。意識も薄くなっていく。
ああ、やっとこの醜い人生から解放される。そう思い静かに目を閉じた。
最期までお読み頂きありがとうございました。
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羽海シュウ
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