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文化祭実行委員になった愛佳ちゃんは忙しそうにしていた。高遠君に何やら相談している姿をよく見る。
放課後は委員の仕事があるとかで、二人だけの勉強会もおやすみ中だ。
学園内で桃谷君と話しているのは見たことがないけど、今、愛佳ちゃんの恋愛模様はどうなっているのだろうか。
文化祭準備の期間は、実行できるコマンドに文化祭準備が追加されて、それを選ぶと全てのパラメーターが上がるようになっている。最近は電話がこないから、デートは控えてパラメーター上げに集中しているのだろう。
私も私で、それなりに忙しくしている。
1年E組ラーメン屋台スープ班の面々は調理実習室で寸胴鍋を囲んでいた。
「こっちじゃない?」
「いや、俺は魚介も入れた方がいいと思う」
「豚骨も捨て難いんだけどなー」
いくつかの鍋を前に、それぞれが意見を言い合っている。
「私は塩がいいな」
「やっぱり鶏ガラスープを多めにして……」
「もう班長決めちゃってよ」
班長と呼ばれたのは他でもない私だった。調理実習室に通いつめ、熱心に色々なスープの配合を試していた私はいつの間にか班長になっていた。
最近は毎日放課に様々なスープの味見をしてきた。その中でもベストなスープ。
私は自分の丼にそれを注いだ。
「よし、これでいこう」