表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
太陽の申し子〜竜に選ばれた少年の旅物語〜  作者: 日孁
第1章~純白の支配者~
6/86

5,リア

 1日お疲れ様でした。

 本日2話目の投稿です!


 ウルフル達がリアに向かっていく。


 彼女はそれを躱す。躱す。躱す。

 そのまま、体制の崩れたウルフル達へ正確に斬撃を叩き込む。

 斬る。突く。薙ぎ払う。


 まるで、踊りのような軽やかさでウルフル達を次々に倒していく。


「……すごい」


 思わず感嘆の声が漏れた。


 しかし、彼女の耳には入らなかったようで、ウルフルを全て狩り終えるまで戦い続けていた。


 僕とスーとマスコルは草むらで、その戦いを最後まで観戦していた。


 リアってあんな動きが出来たんだな。

 強いとは思ってたけど……

 1人でウルフルの群れを倒しきるとは思わなかったな。

 ん?

 もしや僕、3人の中で1番弱くないか?!

 え?

 というかリア、あと数の連携するウルフル達を倒したってことは……

 僕とスーでかかっても勝てないんじゃ……?!


 なんだろう。

 このなんとも言えない感情は……


 とまぁ、ひと段落着いたところでウルフルの素材をトイレ剥ぎ取っているリアの方へと歩いていく。マスコルには草むらの中で待っていてもらうけど。

 リアの方もこちらに気づいたようだ。


「あら? アレンにスー、こんな所にいていいのかしら?」


 あんなに長時間やってたのに、嫌味を言えるほど元気があるのか。

 ただ、嫌味にはならないがな。


「えっと〜、僕達はもう終わったんだよ〜」

「あぁ、儀式は無事合格したよ」

「ナンデスッテ……?!」


 リアが硬直した。


 ふふふ、いい気味だな。

 どうだァ!

 見下してたやつに抜かれる気持ちはー!


 ……危ない危ない、どこかの悪役みたいになってしまった。


 ん? 手遅れ?

 うっせー!


「まさか、あなた達に抜かれるなんて……」

「運が良かっただけだよ」

「そうは言ってもねぇ」


 だいぶ落ち込んでいる。


 正直言って、単なる実力ならリアの方が圧倒的に強いと思うんだけどね。

 本当に僕達は運が良かっただけだと思う。

 だからこそ、余計に悔しいのかな?


 それにしても、最近やけに運が良くないか?

 マスコルこと、ヤマコスタルと対峙した時も。

 タフゴープナを捕らえた時も。

 初日で合格を貰えれたことも。

 なにか不吉なことでも起こるのだろうか?


 ……恐いな。

 考えるのはやめよう。


 あっ、でもこれでリアも合格じゃん。


 そう思ってリアに言う。


「でもリア、これでお前も合格じゃんか! 良かったな! おめでとう!」


 はぁ とリアが溜息を吐く。


「はいはい、どうもありがとう。あーあ、昨日この子達を見つけれたら私も初日で合格を貰えたのに……」

「リア、もしかして君の作戦って……」

「え? えぇ、ご想像の通り、ウルフルの群れの単独撃破よ。探す手間はあったけどね」

「あははー」


 乾いた笑いしか出てこない。

 もしあの時、一緒にと誘われてでもしていたら、僕達も同じようにウルフル達を相手していたのだろうか?

 んー、3人なら何とかなるか?

 リアの足を引っ張る未来しか見えない。


 こんな人が近くにいたと思うと、肩身が狭く感じる。

 もっと頑張らねば!!!


 おっと、そんなことより仕事だ仕事!


「スー仕事行くぞ! あっ、リア邪魔して悪かったな。じゃあまた後で!」

「あ〜、うん〜! 忘れてた〜! ごめんリア、じゃあ俺達いくね〜!」


 日が暮れる前に急がなきゃな!


「ちょっと待ちなさい」


 おう、呼び止められた。


「ん?」

「仕事って……なにかしら?」

「村長達に任せられたんだが、他の子達の儀式が終わるまで、見回り欲しいんだってさ。ちょうど暇だから、引き受けた」

「へぇー。面白そうじゃない」


 リアは不敵に笑う。


 まずい、この顔は!


「私もついて行っていいわよね?」


 そうだと思ったぁー。

 有無を言わせないこの圧力!

 とはいえ、ここでOKを出すわけにはいかない。

 マスコルとの修行が出来なくなってしまうからだ。


 え?

 なんでかって?


 簡単なこと。

 もしもリアとマスコルが出会ったならば、リアは確実にマスコルへ飛びかかる。

 間違いない!

 絶対説明するよりも先に飛びかかる!

 そしてそんなことになったら、スーだって黙ってない。


 うん、ダメだね!


 だからここでOKを出すわけには……と、そこでリアの視線が草むらの方に向く。


「あら? あそこにいるのって……ッ!!!」

「あっ!」

「ちょっ!」


 ヤバい!

 まさか、バレるとは思わなかった!

 だって50m近くは離れてるんだぞ?


 リアが駆ける。

 必死に追いかけるが、もうマスコルの目前にきている。


 間に合わないか!?


硬いものがぶつかった時の高い音が山の中に木霊する。


 おぉ!

 間一髪!

 スーが間に合った。

 リアの振り下ろそうとした短剣を、自前の硬い外骨格で防いだ。


 やっぱスー速い!

 やっぱ僕遅い……


「ちょっとスー、そこをどきなさい!」

「違うんだってぇ! この子は俺の従魔でぇぇぇ!」

 

 ヤバい。

 スーが押され始めた。


「リア! 本当にそいつはスーの従魔だ! 名前はマスコル! その剣を下ろしてくれ!」

「は? スーの……従魔?!」


 お、ひとまず鞘に収めてくれた。

 あざます。


「それで? どういうこと?」


 これで説明するの何回目だ?

 流石にだるくなってきた……

 説明しないといけない?

 別にいいんじゃ?

 ダメなの?

 ダメか……

 そうか……


─説明中─


「あんた達、驚きを通り越して呆れるわ」


 褒めてくれたのかな?


「ありがとう!」


 睨まれた……

 え?

 褒めてくれたんじゃないの?


「ともかく、なるほど。それで私に紹介しなかったのね」


 2人して頷く。


 また睨まれた……

 解せぬ……


「ほんと、私を誰だと思ってるのかしら。そんな獣みたいに飛びかかるわけないでしょ?」


 え?

 それ言う?

 さっきの見たあとで言われてもネ!


 睨まれた……

 これで3回目。

 なんだってんだもう。

 心を読めるやつ多すぎじゃないか?!


「一緒に来てくれれば、単なる魔物だなんて思うわけないじゃない」


 あぁそっかぁ。

 そりゃぁ幼なじみが魔物と一緒いたら察するか……


 いやぁうっかりうっかり。

 ……てへぺろ☆


「それで? 私も連れてってくれるんでしょ?」

「マスコルに危害加えないなら別にいいけど、リアはいいのか? 先に報告に行った方が……?」

「いいのいいの。別に報告なんていつでも出来るし、あなた達といた方が面白そうだしね!」


「ふーん」


 まぁリアがいてくれれば僕達だけなら手がつけられないような魔物も何とかなるかもなー。

 そう考えたら来てもらった方がいいな。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ