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太陽の申し子〜竜に選ばれた少年の旅物語〜  作者: 日孁
第1章~純白の支配者~
4/86

3,成人の儀式②(マスコル)

 どうも。

 書いているうちに、某モンスターを捕まえて戦わせるゲームを思い出し、熊さんの名前を付けなくてもいいのではないかと思ってしまった日孁です。


 何時投稿が良いのか分からないので、試しにこの時間帯に出したいと思います。

 また変化等あると思いますが、ご了承ください。

 いやぁ、ヤマコスタル君のおかげで帰り道が楽だよ。

 弱い魔物は出てこないし、狩った魔物達を運んでくれるし!

 さっきまでもスーに任してたんだけどね☆


 ん? なに?

 だからスーが倒れたんだろ?

 ハテ、ナンノコトヤラ……


 村の広場に戻ると、もうチラホラと他の子達がいた。

 あぁでも、みんな顔がゲッソリしている。

 まぁ疲れるよね。


 長老と村長が話をしていた。


「へいへい。ご老人達、なにか悩み事かい?」

「アレンか。実はなぁ……って、なんでヤマコスタルがいるんだ?!」


 おふざけがスルーされた。なんか悲しい。


「ふ、スー君。説明してあげなさい」

「村長! 俺! 魔物使いになる!」

「なんだと……!?」


 ……なんだと!?

 端折りすぎじゃないか君。

 そりゃあ村長も驚くだろ。


「……なるほど。頑張れよ!」


 切り替え早いなおい。

 もっとあるだろ!

 こう「どうやってそいつと出会ったんだ?」とか「名前は決めたのか?」とかさ!

 まぁ名前はまだだけど……


「それで? 村長達は何を話してたんだ?」

「ん? あぁ、実はな……」


 …説明中…


「な、なんだってぇぇぇえ?!」


 なんということでしょう。

 儀式の初日に行方不明者が2名も!


 まぁ出るよね。

 山の中だし。ハーカバだし。

 僕みたいに何回も登ってるんならまだしも、普通はそうそう登らんからな。迷子になっても仕方ない。


 てか、これ村長とか長老達のせいだよね?

 どう落とし前つけてくれるんだァ? ァァン?


「ほっほ、そうカッカするでない。これから儂が見つけ出そうとしてたのじゃよ」


 あ、そうなの?

 それなら安心だネ!

 でも、どうやってやるんだろう?


「お? どうやってやるのか疑問なんじゃな?」


 なんで分かった。

 まさか、お前もタマ同様心を読むのか!


「タマがなにかは知らんが、正解じゃ」


 正解だった。


「それで、どうやるのかじゃが。まぁ見た方が早いな」


 そう言って長老は杖を空に掲げ、


探知(クウァエレレ)!」


 と唱えた。

 すると、長老を中心にして一瞬光が発せられた。

 続けてまた唱える。


最大(マークシムス)!」


 今度はさっきよりも強い光だ。


 はっはーん。

 これは探知魔法だな。

 タマが教えてくれたやつと一致してる。


 なるほど、確かにこれならすぐに見つかるか。

 いやぁ良かった良かった。

 長老が魔法使えるなんてのは知らなかったけど。


 だから村長は長老にお願いしてたのか。


「む?」


 みるみる長老の顔色が悪くなる。


「どうした長老!」

「いや……ほほ。なんでも、ないよ」


 絶対嘘だな。

 この長老が顔を青ざめるなんて、一体何が……


「あぁ、ともかく2人は見つかったぞ。アレンにスー、迎えに行ってもらえんかの?」


 えー、めんどーい。

 なんで僕がそんなことを……長老達のミスだろ!


「そんな不満げな顔をするな」

「いや、だって嫌でしょ。こっちだって疲れてんの! 明日もあるしさー。長老達が行けばいいじゃん!」

「儂らには急用ができた(・・・・・・)のでな。だが、ふむそうか。確かにタダ働きは嫌じゃろうな」

「うむ、アタリマエだな!」

「ならば、取引としようか」

「なに……?」

「無事連れて帰ってこれたなら、その時はお主らを直ぐにでも合格とする」

「なんだと……? 本当、なんだな」

「おうおう、本当じゃよ?」

「よし、ならば取引成立だ!」


 なんてお得な取引なんだ!

 これはやるに決まっている!

 よし、急げ!


「スー、行くぞ! とっとと行って終わらせよう!」

「いいけど〜。どこ〜?」


 あっ。


「長老どこだ!?」

「んー? あぁ、山を七割ほど登ったくらいのとこじゃな」

「りょーかいだァァ!」

「ちょっと〜!? アレ〜ン! 首を、掴まないで〜! てか長老の顔をよく見てって〜! あれは絶対なにか企んでるよ〜!」

「うぉおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!」

「はぁ、聞いてないな。ダメだこりゃ」



 ───────────────────────────



 半分ぐらい登ってやっと気づいた。

 七割って、中間地点超えてるし、危険度4以上が沢山出るとこじゃん……

 あの老いぼれめ。

 だから無事に連れて帰ってこれたらな、かよ。


 戻るのもめんどいし、このまま探すか……

 何かあったら賠償金かなんか払ってもらおう。そうしよう。この村じゃ金なんてあってもなくても一緒だけど。


 ……確かにこんな真っ暗な中、このハーカバを自由に動ける人は大人でもそんなにいないか。

 タマ連れてこればよかったかな。いたら魔法でちょちょいと、やってくれたかもしれない。


 ガサッ


 草むらの方から音がした。

 魔物か?


「……人、なのか?」


 子供だ。僕もだけど。

 恐らく行方不明になっていた子だ。


 あぁ、魔物じゃないのか……

 いや別に悔しがってねーし!

 あー早く見つかって良かった!!


「そうだぞ。迎えに来た」


 途端、彼は地面にへたりこんだ。

 だいぶ緊張していたのだろう。


「助かった……ほんとにありがとう」

「そんな礼を言われることでも、」


 あるな。まずなんで言いつけ破ったんだ!ってなるし。

 ポイント欲しさにだろうけどさ。

 しかも、夜のハーカバほど恐ろしいもんないからな。

 慣れてる僕なら登るのも下るのも、それだけならたいして難しくはないんだけどね。

 とにかく、強い魔物と会う前に帰らないとな。

 あ。


「ねぇ、もう1人は?」

「もう1人……? あぁ、上にほら」


 上?


 見上げると、蟲人族の少年が木に登って周りを見渡していた。

 あー、なにやってんの君。


「彼は蟲人族で僕なんかよりも夜目が効くからね。さっきから村の方角を確認してもらって、ここまで帰ってきたんだ」


 ははぁ。なるほど。

 蟲人族ってそんなに目良かったっけ?

 別に知らなくてもいいか。


「そうか。それなら降りてきてもらって、魔物が出る前に帰ろうか」

「あの、その事なんだけど……」

「どうした?」


 なんだ?

 残りたいのか?


「その熊は……?」


 あぁこいつか。


「こいつはヤマコスタル。中型の魔物で危険度は4だ」

「へえ。いや、そうじゃなくて! なんで一緒に居るんだよ!」

「こいつはこのスーの従魔だぜ? どうだ! 凄いだろ!」


 正しく、龍の威を借る小人。


「いや、凄いも何も……従魔がなにかよく分からないんだけど……?」


 ただし、理解されなかった模様。


 あれ?

 従魔、分からないのか?

 無知なのか?

 いやでも、スーは自分で調べてたし、やっぱちゃんと勉強してないと分からないもんなんだな。

 つまり無知なんだな。


 めんどいけど説明する、か?


「えーと、従魔ってのはな。人と魔物とが主従関を……ッ!!!」


 突然、妙な悪寒がした。なんだこの気配……

 僕だけじゃなく3人も気づいたらしく、同じく周囲を警戒している。


 なんだ?

 この感じ、あの時と似ている。

 【王種】のあの異様な気配。

 まさか……また金虎が!?


 死角をなくすように背中を合わせ、身構える。


 勝てる、なんてのは思わない。

 生存者を1人でも増やすために、どこから敵が現れてもいいようにするんだ。

 これも、ドロフィンさんから教えられていた。


 じっと、動かずにいること数分。

 ふと、気配が消え、空気が軽くなったのを感じた。

 まだ緊張は緩めない。


 そして、また数分が経過して、ようやく口を開く。


「一体、なんだったんだ……?」


 少年が聞いてくるが、僕もわからない。


 金虎と似た気配……

 本当になんだったんだろう。


「わからない。ともかく、これ以上何かが起きる前に帰ろう」

「あぁ」「了解」「は〜い」


 帰る時暇だったので、周りを警戒しつつ、お互い自己紹介をした。

 人族の子がえーっと、ブランドンで、蟲人の子がジョンだそうだ。

 二人とも早くポイントを稼ごうとして、危険度4の魔物を探しにここまで来たらしい。


 魔物の知識があやふやなのに何してんだ!

 口には出さないけどね。


 蟲人の子がいるから魔物はそこまで危険じゃないのかもしれない。

 けれど、山というものは恐ろしい。それは魔物なんか居なくてもだ。

 僕だってこのハーカバを全て知った気になることはまず無い。

 そりゃ、道順はある程度覚えている。でも、舐めてかかることなんて絶対にしない。間違いなく奇怪な出来事が起こるからだ。

 そう、あのエイディンのように。


 帰ったら村長達にたっぷり叱られてきな。


 ガサガサッ


 ん?

 あー、今度は正真正銘魔物だな。

 けど今はそんな気分じゃないや。

 二人に呆れてちょっとだるくなってくる。

 みんなでやっといて。


 草むらから魔物が姿を現す。

 現れたのは山羊の魔物。


 こ、こいつは……タフゴープナ!?


 危険度3の魔物で、ゴープナの上位個体。突進、後ろ蹴り、のしかかりを主な攻撃手段にしている。


 そして味も美味!!!

 おっしゃ狩ってやるぜ!

 なんでヤマコスタルのいる僕達に突っ込んできたかは知らんがな!


「あっ、逃げんな!」

「ちょっと〜! アレ〜ン!」


 方向転換して向こうに行きやがった。

 タフゴープナはゴープナの群れを統率する力を持っている。

 今はまだ一斉にゴープナの群れをやるのはきつい……肉の量は増えるけど。

 帰って大人達を呼んで来るにも時間かかるし、なにより今すぐ食いたい!


 逃げるタフゴープナを追いかける。


 ん? 止まっ……たぁぁぁ?!

 今度は逆に突っ込んできた!

 ちょ、やばい、勢いがつきすぎて止まれない!

 そのまま腹にタフゴープナの頭突きが……!

 反射的に目を瞑る。


 モフッ


「え? モフッ?」


 目を開けると、なんとヤマコスタル君がいるではないか!

 間に入って、突進を受け止めてくれたらしい。

 そして、そのまま熊パーンチ!

 タフゴープナは気絶した。


 恐ろしい……

 そうだよな、危険度4なんだもんな……

 でも、おかげでヤマコスタル君の名前、良いのが思いついたぞ!

 ちょうどスー達が追いついてきた。


「アレ〜ン。置いていかないでよ〜。アレンは山に慣れてるからよくても〜、僕達はだめなんだよー」

「あはは、ごめんよ。つい目先の美食にとらわれて!」

「はぁ〜?」

「そんなことよりも、スー!」

「そんなことって……で〜、なに〜?」


 いつも以上にスーの目線が痛い……

 いやほんとまじでごめんって……


「えっと、ヤマコスタル君の名前だが、いいのが思い浮かんだぞ!」

「え! ほんと〜!?」


 うんうん、いい食いつきだ。

 やっぱスーはこうじゃないと!

 こう目がキラキラと……


「それで!? どんなどんな!?」


 食いつき良すぎだな。

 まぁいっか。可愛いし。


「ふふふ、では教えてやろう! この子の名前は……」




「モフモフヒーローーーーDA!」

「ぉぉぉおおおおおおおおおお!」


 どうだスーよ。気に入っであろう?


「いや、ダサくね。てか、名前じゃなくね?」


 ドヤ顔してると横からヤジが入った。


 なんだと!?

 この名前が? ダサい……だと!?

 しかも、言うに事欠いて名前ですらない……だと?!

 ブランドン貴様、許さん。 成敗してくれるァァァァ!


「ほら、こいつも気に入ってなさそうだ」


 え?


 ヤマコスタル君はものすごーく嫌そうな顔をしていた。

 いや、ごめんって。

 だって本当にいい名前だと思って……ウッ、睨むなよ。


「じゃ〜、また考えないといけないのか〜」


 はっ! スーが悲しんでいる!

 こいつらァ!


「そんなこと言うんならお前達もなんか考えてくれよ」


 文句言うぐらいなら自分たちで考えてみろってんだ。


「え! なんで!」

「人に指摘するぐらいなら、出来るんだろ?」

「お前達って……え、まさかボクも!?」

「当然だ!」


 当然だな。


「いや、でも今さっき会ったばっかの、しかも熊に名前をつけろと言われてもなぁ」


 ごもっとも。

 でも、僕達も今日出会ったばっかなんだよな〜。

 殺されかけたけど☆

 そして殺しかけたけど☆☆


「んー。種族名がヤマコスタルだっけ? なら、やまちゃんでどうだ?」


 ブランドンが言う。


 やまちゃん?

 なんていい名前なんだ!

 っと危ない危ない……危うく洗脳されるとこだった。

 こいつ魔法を使えるのか?

 まさか魔法の達人なのか!?


「却下」


 スーが真顔(・・)で却下した。


 なんかスーが怖い……

 あのまま僕が「いいね!」とでも言ってたらと思うと……ああ恐ろしい。


「ちぇっ、自信あったんだけどな」


 ふっ、自信があったのか。

 あの程度でスーを満足させられると思うな!


「それなら『マスコル』というのは?ヤマコスタルからちょっともじってみたんだけど。古代語で『英雄』って意味」


 長いこと考えていたジョンが今度は発言する。


 マスコル……英雄……

 君は天才か!


「君は天才か!」


 無意識に声に出していた。

 いやぁ素晴らしい!

 決まった決まった。

 これで一件r……


「アレン〜?」


 ビクッ


 しまったァァ!

 スーはあまりしっくりこなかった感じ?

 やっべ。どうやって弁解しよう。


「凄いね! こんなの、絶対俺思い浮かばないよ!」


 ・・・

 あぁよかったぁ……

 本気で終わったかと思った。

 スーもOKなら、


「よし、じゃあ今日からお前はマスコルだ。よろしくな!」


 頭を撫でてやると、マスコルは鼻を鳴らして返事をしてくれた。

 可愛いやつめ。


「それにしても〜、よく古代語なんて知ってるね〜」


 確かに、僕も初めて聞いたな。

 今度調べてみるか。


「いや、知ってたのはさっきのだけだよ。小さい頃に母親に教えて貰ったんだ。マスコルと唱えれば、強くなれるって。そんときの僕は泣き虫だったからね。心配して教えてくれたんだと思う。でも、唱えたら本当に強くなれた気がしたよ。それで、今の僕がある」


 なんか重たいな。

 重たい中悪いけど、泣き虫ってのは蟲人と掛けてるのかな?

 笑ってあげた方がいいのかな。


「そんな母親も今では鬼のように怒鳴りつけてくる。はぁ、昔に戻りたい」


 どこも重たくなかった。

 感動系のやつだと思ってたのに!

 詐欺師め!


「そっか〜、良い名前をありがとう!」


 とか思ってたらスーが感謝してた。


 やっぱスーは素直でいい子だ。

 今の話にも特に首を突っ込まずに回避した。

 いや、突っ込んでやる方が優しさだったか?


 あ、やべ。

 早く帰ろうとしてたんだ。


「みんな、いつの間にかだいぶ時間が経ってる。 急いで帰るぞ!」

「いや、ほとんどお前の……」

「Shut Up!!」

「まじかよ……」


 その後、全速力で村に戻った。

 勿論、荷物はマスコルが。


 その時にマスコルが、だるって顔してたのは笑った。

 あんな顔もするんだね。

 まさかこれで1話を使うとは…(; ・`д・´)

 恐るべし!一人称!

 恐るべし!危険度4!

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