表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
太陽の申し子〜竜に選ばれた少年の旅物語〜  作者: 日孁
第1章~純白の支配者~
31/86

24,最後の修行

2018の終わりですね。

来年もまたよろしくお願いします。

「ついに、か」

「……そうじゃのぅ」


 今、僕とアンナは対峙している。

 村長と長老と。


「さぁ、最後の修行だ。思いっきりかかってこい!」


 そう、これが最後。

 村長が僕に、長老がアンナに行っていた修行の数々の終わり。

 今回の模擬戦で、一体どれだけのことが身についたかを確かめるという。


「いくぞアンナ!」

「ええ!」


 アンナが無詠唱で水魔法を発動する。

 水の刃が2人に向かう。


「ふん」


 それを長老が杖を無造作に振って打ち消し、そのまま土の塊をこちらへと放つ。


「は!」


 今度は水の壁でアンナが防ぐ。


「アレン、よそ見してていいのか?」

「おわっと!」


 ゴンッ


 村長がわざわざ忠告してくれなきゃ気づかなかった。

 咄嗟でぎこちないけど、まぁ防げたからよしとしよう。

 さて、この構えからどう立て直すか。


「轟雷一閃!」

「ちょっ……!?」


 考えている間にも村長が攻めてきた。

 凄まじいスピードで刃が迫る。


 ドゴーン


「……っぶね。アンナ、さんきゅな」

「はいはい。気をつけてよね」


 アンナが防壁(バリア)を貼ってくれたおかげで助かった。

 じゃあ次はこっちからいくか。


「……流星剣!」

「護之型」


 おう、しっかりと受け止められました。

 まぁな、同じ流派……というか村長直伝の技なんだからそりゃな。

 だけど……


「五月雨斬り!」

「おっ!?」


 こっちにはドロフィンさんから教えて貰った技もあるんだ。

 これを利用しない手はない。


「ほれ」

「え?」


 地面が泥になった!?

 やばい! 抜け出せない!


「アンナ!」

「分かってるわよ!」


 アンナが魔法を構築する。


「まだまだ構築速度が遅いな。させんよ」


 が、途中で長老が術式に介入し、魔法を霧散させる。


「……流石ね爺さん」

「師匠と呼べと言っとろうに……」


 むむむ、抜け出せないの嫌だな。

 底なし沼じゃないだけまぁいいか。

 待て、この状態で土を固められたらどうなるんだ……?

 怖いな。

 さて、どうしようか。


「みっともないなアレン」

「じゃあ出るの手伝ってくれよ」

「おいおい、これは試験だぞ? そんなもん一人で何とかしな」

「って言われても……」

「本番、もしこの状況になったら敵は助けてくれるのか? 練習だからってあんまり甘えるな」

「ぐぅ……」


 分かってるけど、てか本番だったら古代語含め魔法使うし……!

 まず村長達みたいな人そうそういないだろ!


「こんのぉぉお!」


 岸の方へゆっくーり進んでいく。

 一歩一歩しっかりと。


「そんなゆっくりと…隙を見せてていいのか?」

「へ? おわっ…!」


 村長が躊躇いもなく斬りかかってきた。

 こっちは泥で動きが鈍ってるってのに!

 ほんとに容赦ないな。


「さぁはやく抜け出せ」

「言われなくても頑張ってるだろ!」


 泥で体が上手く動かない僕に、村長の容赦のない攻撃が絶え間なく続く。

 そのせいで抜け出そうにも抜け出せない。


「あー! もう邪魔!」


 でももう少しで、、、


「……ふん!」

「あ」


 ん? なにアンナ「あ」って?

 それで長老はなにをし……

 ん? なんか地面が固まっ……!?


「おい! これは卑怯だって!」

「何を言うか。勝負は勝ってなんぼじゃよ。……いいかアレンにアンナ、どんな姑息な手を使ってもいい。自分の良心がなんてのは二の次じゃ。余裕が無いのにそんなことをするのはただの阿呆じゃからな。まずは勝つこと、自分たちの命を大事にするんじゃよ? アレンは死なぬが……羨ましい」


 いい事言ってくれてるんだろうけどなー。

 まぁそうだよな。

 自分が死んだんじゃ意味無いもんな。

 ……どんな姑息な手を使ってもいい、か。


 ニヤリ


「そういうことか長老」

「どうしたのアレン?」


 つまり、今も同じだよな?

 えと、まずはここから出るか。

 風属性でいいよな?


強風動(エアドライブ)!」

「ぬわっ!」


 空気の圧縮、放出を行うことにより、少しの間だけ浮かぶことが出来る。

 まぁルビアスの魔力だと長時間浮遊できるけどね。

 ん? 古代語を使えって?

 アンナさんがいるんですよ?

 使えないって。


「おい、魔法は禁止だっただろ!」

「いやいやー、村長分かってないなー。長老が今言ったじゃんかー、姑息な手を使ってもいいって」


 これが姑息な手というかはともかく。


「はぁ……まぁよい。きなさい」

「仕方ねーな……」


 渋々だけど承諾してくれた。

 自分で言ったことだしね!

 ダメとは言わせない!

 しかし、魔法を使えるとなると一気に変わるぞ?

 まぁいっかー。


攻撃力付加(エンチャント・パワー)速度付加エンチャント・スピード。」


 とりあえず補助魔法をつけてと。

 補助魔法は身体強化のものと似て非なるもの、単純な筋力アップとは別で、スピードが上がるのはまぁなんだろ。

 重力が軽くなるみたいな?

 追い風が来るみたいな?

 そんな感じでスピードが上がるやつ。

 アンナは多分使えないんじゃないかな?

 自分一人で戦うことがほとんどだったろうし、補助なんて覚える暇あったら他の極限魔法とかの研究をやってる気がする。

 ……扱えないと思うけどね!


「ふむ、攻撃力付加(エンチャント・パワー)速度付加エンチャント・スピード。」


 あ、そっか村長は使えるのか。


攻撃力超強化(マイトエンハンス)防御力超強化(プロテクトエンハンス)速度超強化(アヴォイドエンハンス)


 あれれー?

 おかしいなー??

 なんか多いなー???


「とりあえずこんなもんで良かろう」

「よし、来いアレン!」


 来い!じゃない!

 あーあー、せっかくの有利が一瞬で……

 長老の構築速すぎるしさー。

 あんなの防げないです。

 ……しゃーない、僕も後であれ覚えよ。


猛吹雪(ブリザード)!」

「それ、魔法反射(リフレクト)


 しまった!

 カウンター狙われてたか…!


「はっ!」

「むっ!?」


 ドンッ


 気がこっちに向いている隙をつき、アンナが水弾(アクアショット)を長老の横腹に当てたことで僕の魔法を打ち消しただけで魔法反射(リフレクト)は消滅した。


「どうよ!」

「甘い。お返しじゃよ」

「はい?」


 だがなんと長老は無傷!

 そのままお返しの水球(アクアボ〜ル)

 アンナ吹き飛ばされる〜!

 ……っと、危ない。

 まだ途中だったな。

 それで村長は、と。

 いない……いや、後ろだ!


 振り返ると案の定、村長が剣を振り抜いているところだった。


 この場合は、突きかな?


「流突!」

「反撃之型」


 あー、この構えはカウンターだー。

 選択ミスった……

 そうじゃん!

 前も村長に教えて貰ったじゃん!

 騙された!

 いや、まだ間に合う!


「……朧・波」

「!!!」


 ……ふぅ。

 なんとか躱せた。

 でも次は、そうはいかないかもな。

それでは、良いお年をー

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ