死の顔
掲載日:2018/09/21
『死の顔』
死は
ぼんやりとした顔で
座っている
耳はない
目はあるが
重いまぶたで
ふたがれているか
黒々と開いて
何も映していない
ありふれた街角に
雑踏に
あるいは
空気の中にいて
始終会っているのに
それと気づかず
いよいよとなって
立ち上がり
ああ そこにいたのかと思う
そのときにはもう
十分見知っている気がして
軽い会釈などして
ひとつため息をつき
その途端
何もかも忘れて
死の後を追う
死はすっかりわかっていて
振り返ることもなく
器用にまわりをよけながら
更に向こうへと
私たちをひいて行く




