はじめの一歩
今、日本で話題となっている『Freedom Fantasy Online』、通称FFO。世界初のVR型オンラインゲームであり、かなり自由度の高いゲームだ。
公式HPによると、舞台は剣と魔法のファンタジーな世界。そこでプレイヤー達はスキルを育ててもよし、オリジナルの武器を作ってもよし、イベントで魔物を倒してもよし。この世界で自分好みに暮らしていこう!と言う感じのゲーム。
そのゲームを何故私が説明しているかというと・・・
「零奈、FFOをやってくれ!」
兄…霧島 秀斗に頼まれたからだ。
兄さんは高校生にも関わらず重度のゲーマーで、このFFOのβ版もやっていた。
しかし、兄は学校では成績優秀で、無表情のクールイケメンと思われている。
実際にはただ学校に親しい人がいないただのボッチなのだが・・・
まぁそれは置いといて、私の名前は霧島 零奈。この兄を養っている状態の妹だ。
現在両親は海外出張中でいないので料理、洗濯、掃除など、家事全般を私がやっている。兄さんは成績優秀な癖にそういう事はやろうとしないからなぁ。
おっと、話が逸れちゃった。
話によると、β版をやっていた人には特典として結構色々貰え、その中にこのFFOをやるためのチョーカー型デバイスが2つ付いている。
そのデバイスを誰かに渡し、FFOをやってもらう・・・招待すると、双方に特典が付くらしい。
そして今日が正式サービス開始日。兄さんはいいスタートダッシュを切りたいそうで、その特典をゲットしたい、けど友達なんて一人もいない。そうだ、零奈にやってもらおう!という考えに至ったらしい。
「別にやってもいいよ?」
「いいの?!よっしゃ! 貰えるの結構良いアイテムなんだよな〜」
「それで、何かアドバイスとか無い?私殆どゲームした事無いんだけど」
「んー、強いて言うなら、チュートリアルを受けない方がいいぞ」
「・・・・・え?」
え、初心者がチュートリアルを受けない?なんなの?簡単に死んじゃうよ?
「チュートリアルを受けない方が、隠し要素とか気付きやすいんだよ。分かんない時はヘルプ見れば良いぞ」
「ふーん、まあ良いか。で、兄さん」
「なんだ?」
「もうサービス開始5分前だけど、いいの?」
「って、やば!早くしないと!はいこれデバイス、じゃあまたゲーム内でな!」
デバイスを押し付けて兄さんは自分の部屋にダッシュで向かった。
やる事は全て終わったし、私も始めますか!
自分の部屋に行き、デバイスを装着し、電源をつけた。
◆◇◆
気がつけば、私は真っ白な空間にいた。
《キャラクタークリエイトを始めます》
どこからか女性の声が聞こえる。
コイツ、直接脳内にッ・・・!
というギャグは置いといて、ここはキャラクリ用の空間か。
《まずは、貴方の名前はどうしますか?》
「レイでお願いします」
ただ零奈の奈を抜いただけの安直な名前だが、別にいいか。
《『レイ』でよろしいですか?》
「はい」
《かしこまりました。次に、種族を決めてください》
空中に文字が現れる。おお、なんか凄いな。
って、多すぎて読み切れない!
目がチカチカする中、ふと目に止まったのは、《ランダム》の文字。詳細は・・・
《ランダム》
ランダムで種族、容姿、ジョブ、スキル構成、初期出現地点が決まる。ランダムでしかなれないものもある。ただし一度決めたらやり直せない。
種族だけじゃなく容姿とジョブ、スキルや出現地点もランダムで決まっちゃうのか。
・・・まぁ別にいいかな。面白そうだし。
「ランダムでお願いします」
《『ランダム』でよろしいですか?一度決めたらやり直せません》
「はい」
《かしこまりました。これでキャラクタークリエイトを終わります。お疲れ様でした》
そして私の視界は真っ白になる。
よし、ゲームスタートだ!