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独身リーマン異世界へ!  作者: 黒斬行弘
第八章 森と砂漠の国「フォレスタ」
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偵察!カンパーナストア2

 スーパーストア「カンパーナ」を偵察する事に決まった俺達は、早速ストアに出かけることになった。

 当初はアスタリータ一家も一緒に行くと言っていたのだが、完全に顔が割れている人間と行くと偵察がやりにくいので丁重にお断りした。

 だってねえ、色々じっくり見て回りたいのに、ライバル店舗の人と一緒に回ってたら自由に動けないじゃん。

 まあ、カンパーナはライバルとさえ思ってない可能性大だけどねー。


「うわー、近くに来ると、ホントおっきいお店なのがわかるねー」


 ユリアーナは偵察だってのに、なんかわくわくしてないか?

 とか言いながら、そういう俺もちょっと個人的にわくわくしてるんだけどw

 だって、こういう大きい店くるとテンション上がっちゃうじゃん。


 そういや昔から、ビッ〇カメラとかヨド〇シとか行くとわくわくしてたなあ。

 あれに近いもんがあるかも。


 マジックプレートのおかげで夜でもライトの魔法で明るく照らされた入り口をくぐって、俺達は店内に入っていった。


「いらっしゃいませー」


 俺達が店内に入ると、近くに居た店員が挨拶をしてきた。

 正面入り口には、何段も重ねた木箱の上から清潔感のある布を被せた「目玉商品」を設置している売り場が展開されていた。

 四角い売り場になっていて、正面左側にキャベツが展開されている。


「うわー、やっぱりあのキャベツ高かったんだよ。だってここ50フォルンだよ」


「そうですね。だからでしょうか、今は品切れ中みたいです」


 価格は50フォルン。アスタリータ商店が85フォルンだったので、あのおばさんが言ってた半額は言いすぎだが、それでもかなり安い。

 しかし安すぎて売り切れてしまったのか、品切れ状態となっていた。


「ねえ、これだけ安いって事は、もしかして品物が悪かったりして・・・」


「いやあ、売り切れてる所を見ると、そんな事も無いんじゃないですか?」


 普通、安かろう悪かろうじゃ売れないと思うんだよね。

 まあここは異世界なんで、そうじゃないかもしれんけど。


「よしっ!私、店員さんに在庫が無いか聞いてくる!」


 そう言うが早いか、ユリアーナは近くに居た店員さんの所へ走っていった。


「それにしても、これだけお店が広いと、スタッフの方々も大変でしょうね」


 店内をずっと見ていたエレオノーレさんが話しかけてきた。


「そうですね。それなりの人数を掛けないと、何も出来ないかもしれませんね」


 その証拠に、さっきの店員さんも一生懸命品出し、つまり商品の補充を行っていた。


「おーい!在庫あるってー!」


 しばらくすると、ユリアーナが走りながら戻ってきた。

 その後ろからスタッフの人も一緒にきている。


「も、申し訳ありませんお客様。ただいま品物をお持ちしますので、少々お待ちいただけますでしょうか?」


「あ、はい。あの、そんな急がなくても大丈夫なんで・・・」


 俺がそういうと、もう一度申し訳ありませんと頭を下げてから、ダッシュで倉庫らしき方向へと走っていった。

 あー、かわいそうな事しちゃったかも・・・。


 それにしても、在庫あったのか・・・。

 しかもあの慌てようだと、今の今まで品切れに気付いてなかった可能性もあるよね。目玉商品なのに・・・。


 俺は店員を待っている間、もう一度店内を見渡してみた。


 綺麗に並べられた装飾された木箱のディスプレイ。

 広い店内に並ぶ、これまた大きな商品棚。

 一生懸命働いている店舗スタッフ達。


 うーん。


 今日、現時点だけの状況を見ただけでは断言出来ないんだけど、もしかしたら、結構問題を抱えている店なんじゃねーの?

 もし俺の予想通りだったら、アスタリータ商店にも希望の芽はあると思う。

 それを調べるためにも、あと1週間はカンパーナの偵察を続けてみたいな。


「お待たせいたしました!」


 俺がそんな事を考えていると、さっきの店員がキャベツを大量に運んできた。

 やっぱり在庫はあったみたいだ。

 俺達にキャベツを渡すと、残りのキャベツを売り場に並べ始める。

 渡されたキャベツは、割ときれいなキャベツだったよ。


 その日は、ユリアーナのおやつとキャベツを購入してからアスタリータ商店への帰路へ着いた。



「どうでした!?」


 アスタリータ商店に戻ると、ロザリア父が大興奮で出迎えてくれた。


「い、いや、確かに偵察には行ってきましたが、今日明日でどうにかなるようなもんではありませんよ」


「そ、そうですか・・・」


 あからさまにがっかりするロザリア父。

 まあ気持ちはわかるけどね。

 でも、過剰な期待をされても困るので、一応やんわりと、すぐには結果は出ない事を伝えることにした。


「ウルバノさん、お気持ちはよーくわかります。しかし、販売のプロである皆さんが色々やった上でどうにもならない現状なんです。こういった店での販売経験が無い私ですから、正直言うと、まだちょっとお時間を頂きたいです」


 本当は、もしかしたら意外と上手くいくんじゃないか?とか思ってはいるんだが、これで失敗したりしたら目も当てられないしね。


「お父さん、コレナガさん達には私達のお手伝いをして頂いてるんですよ。本当ならお父さんや私達が解決しなきゃいけない問題なのに」


 俺がロザリア父に話し終えると、母、ソニアさんがロザリア父をたしなめていた。


「あ、あーそうだな、悪いコレナガさん!どうも俺は店の事となると見境がなくなっちまう。失礼を許してくれ」


「いえいえ、こちらこそ至らない点が多々あると思いますが、どうぞよろしくお願いします。一緒に協力して、お店を盛り上げていきましょう」


 ふー。とりあえずわかってはもらえたようだ。

 しかし、彼らにとってはそれだけ真剣な話だって事だ。改めて気を引き締めないとな。


 とりあえず、俺としては1週間ほど様子をみたいわけだが、アスタリータ商店の経済状態はそれを簡単に許してはくれないだろう。

 そこで俺は、カンパーナ商店から帰る道すがらずっと考えていたプランを、ここにいる全員に打ち明けてみた。


********************


 今日は全員が、それぞれ昨日俺が提案したプランに沿って行動する事になっている。


 まず、ユリアーナとロザリアの二人は、猪狩りに出かける。

 そして俺とエレオノーレさんは、冒険者ギルドで低レベルクエストを受注できるだけ受注する。

 そして俺は、クエストの合間にカンパーナストアに「朝」「昼」「夜」の時間帯に、それぞれ偵察に出かける。


 これらの行動には理由があった。


 ますイノシシ狩り。

 これはアスタリータ家の、現在の生活を支えている最重要ミッションだ。

 なので、魔法の得意なユリアーナとロザリアさんが組むことで、狩りの成功率をより高くする狙いがある。


 二人にはとりあえず、俺が3~4週間くらい時間が欲しいと要望を出しているので、この期間、俺達も含めて6人が生活できるくらいのイノシシを狩ってきてほしいと言ってある。


「なんで3~4週間なの?」


 当然の如くユリアーナが聞いてきたが、今度教えますと言って、さっさと狩りに行くよう急がせた。

 まだどうなるかが自分でもはっきりわからないんで、説明の仕様が無いんだよ。

 まあ、正式に計画が立てられたら皆には話そうと思う。

 

 そして俺達がギルドのクエストを受ける理由。

 これは、二人の狩りが失敗した時の保険だ。


 現在アスタリータ家は、経済的にかつかつの状態で生計を立てている。

 なのに俺達と言う余計な食い扶持(ぶち)が3人も増えたわけで、そんな中「あ、今日もごちになりまーす」等と、臆面もなく言えるほど図太い神経は持ち合わせていない。

 なので、狩りに失敗した日は、クエストで稼いだお金でアスタリータ商店で買い物をし、それを自分達の食事とするんだ。


 この案には、アスタリータ家総出で反対されたんだが、俺が何の憂いもなく仕事が出来るよう、この案だけは何卒採用してくださいとお願いし、しぶしぶ受け入れられた。


 朝昼晩と3回にわけてストアに行くのは、それぞれの時間帯で見えてくるものもあるかもと思っているからだ。


 あと、クエストの為に、俺とエレオノーレさんでパーティーを組んだのにはわけがある。

 エレオノーレさん、めちゃくちゃ有能な人物なんだが、実は冒険者レベルは1。

 と言うか、冒険者カードをこの人持ってなかった。

 元々リバーランド軍にいたそうで、モンスターとの戦闘、動物の捕獲、軍でのテーブルワークなど、一通りこなしてきたらしい。


 なので、ほぼパーフェクトになんでもできるのにレベルは「1」なエレオノーレさんと、ほぼパーフェクトに何も出来ないレベル「1」の俺が組めば、クエストをこなすだけでレベルも上がるし報酬も手に入って一石二鳥だね!


 そうやってユリアーナに言われた。

 なんだろう?心がもやっとするのだが。

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