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独身リーマン異世界へ!  作者: 黒斬行弘
第十章 バルサナ王国
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馬鹿なの?

 屋敷の案内をルーナさんにしてもらう事にした俺たちは、まずは俺たちのいる2階から案内してもらうことにした。俺たちの部屋の周辺は大部屋ゾーンになっているらしく、同じような部屋が続いている。


 しかし大部屋と言っても、高級ホテルのスイートルームのような物ではなく、ただ単に大勢の人が寝泊まりできるって意味での大部屋だ。たぶん、この屋敷に訪れた貴族たちに仕える執事やメイド達の部屋だったんじゃないかな。廊下なんかも俺が見ても安物なんだろうな~って感じの最低限の壁紙や絨毯で済まされてるし。


 そして肝心の部屋の中も、最低限の調度品で済まされている。お高そうな彫刻や絵画等は一切無し。必要最低限で済まされている。まあそれでも、俺たちが寝泊まりする分には十分すぎるんだけど。


 そして廊下を進んでいくと、少し高級感のある黒い絨毯が敷かれてあるゾーンへと俺たちは侵入した。


「ここは何というか、ちょっと今までの通路とは雰囲気が違いますね」


「ここは、ゲストの貴族に泊まってもらう部屋がある所だからねー」


 なるほど。だから俺みたいなど平民が入ると、なんか落ち着かない気分になるんだな。ほら、ちょっとお高いレストランに入った時に、場違い感を感じたりするだろ?そう言う事だ。


 そういえば昔、医者の息子の実家のトイレを使わせてもらったことがあったんだけど、トイレが広すぎて落ち着いて用を足せなかったことがあったな・・・。いや、それはどうでも良いんだが。


「うーん」


「どうしました?トイレですか?」


 俺はユリアーナがうーんとうなりだしたのでそう聞いてみた。


「うわ、シンちゃんサイテー」


「いや、なんかさっきから唸ってるから」


「だってここ、貴族達を宿泊させるゾーンなんだよね?」


「そう言ってましたね」


「それにしてはさあ・・・」


 そう言いながら、ユリアーナちょうど通りかかった部屋の前に立ち止まり、部屋の中を凝視した。


「なんですか?」


 それに倣って俺も部屋の中をじっと見てみる。見てみるけど、特に変わった事はない気がするんだが。


「あー気付いちゃったかー」


 俺とユリアーナが部屋の中を見て回っていると、ルーナさんがそう言ってきた。


「え?何がですか?」


 気付いたって、たぶんユリアーナがってことだよな。え?一体何なの?俺全然わかんないんだけど?


「まーねー。だって貴族部屋って割には・・・ねえ」


「え?何ですか?俺全然わかんないんだけど」


「シンちゃん、この部屋とロビーを比較して何か足りないと思わない?」


 へ?ロビーとこの部屋を比較?部屋とロビーをどう比較しろというんだ・・・。


「えっと、か、階段?」


「え?君、馬鹿なの?」


「シンちゃん馬鹿じゃないの?」


 ルーナとユリアーナ二人から、真顔で同時に突っ込まれた。


「いやいや、そもそも部屋とロビーを比較するってのがおかしいでしょ!」


 こっちは部屋であっちはロビーだぞ!何をどう比較せいっちゅーんじゃ!


「何ですの?騒がしいですわね」


 俺たちがギャーギャー言ってると、アリサが部屋の中へとやってきた。


「あら?この部屋殺風景ですわね」


 そして部屋を見るなりそんな事を言い出した。


「え?そうですか?」


 いや、ちゃんとベッドもあるし鏡も置いてるし、着替えるためのタンス?みたいなのもちゃんとあるぞ。俺は驚いてアリサに思わずそう言っていた。


「シン・コレナガ、ここは貴族用の部屋なんですのよ。あなたの質素過ぎる部屋とは違いますの」


「ちょっと!俺の部屋を見たこともないのに、そんなこと言うのやめてもらえませんかね!」


「違いますの?」


「・・・」


「ほら、やっぱりそうじゃありませんの」


 くそーぐうの音も出ない!


「まあ、シンちゃんにもわかるように言うとね、貴族用のゲストルームにしては「調度品が少なすぎる」のよ」


「・・・ああ!」


 なるほど。そういえば、貴族様の家には何度か足を運んだことがあるが、絵画だの花だの飾ってた気がする。それを念頭に置きながら部屋の中を見てみると・・・。


「確かに、余分な物が何も置いてないですね。必要最低限の物しか無いみたいだ」


「あなたの部屋みたいでしょ?」


「もうそれいいですから!」


 確かこの屋敷って、女王の祖父から受け継いだって言ってたから、今のような議会制になる前の物だよな。それにしては何にもなさすぎる。いやでも、ロビーはかなり豪華に色んな物が置かれていたぞ。どう言う事?


 そう思いながら、俺はルーナのほうを見た。


「えっとねー、運営資金が足りなくて売っちゃった」


「え?ホントに?」


「ホントに」


 まじかー、そこまでしてもこの屋敷を手放したく無かったのかー。いや、結構命がけで守ってたっぽいからそうだろうとは思ったけど、そっかあ・・・。うーん、そう考えると何とかしてやりたい気持ちにはなってしまうよな。


 そして俺達は3階へと案内された。ここは王族やそれに近い人たちが利用する部屋が多いらしく、案内された部屋は、それはそれは豪華な絵画やソファーにベッドが設置されていた。


「これは凄い・・・」


 思わず声に出ちゃったよ。ほかのメンバーも感嘆の声を上げていた。恐らくそういうものに一番慣れていると思われるアリサでさえ、


「これはなかなかですわね」


 等と言っていたから、実際かなりの物なんだろう。


「この部屋の物は売りに出さなかったんですね?」


「今の所はね」


 今の所って事は、資金状態によってはここも例外ではないって事だな。うわ、なんかもったいないな。本当にホテルとかにしたら良さそうな感じはするけど、改修費用が全く無いんだよねえ・・・。


 そしてそのまま1階へやってきた俺たちは、温泉へと案内された。部屋へはいるとかなり大きな浴場になっていて、温泉特有のにおいと煙がむわっと・・・全然しない・・・。あれ?


「あの・・・」


「何?」


「お湯が入ってないんですけど・・・」


 そう、俺たちが案内された大浴場にはお湯が入っていなかった。一応定期的に掃除はされているらしく、滑っとした感触などはなかったが。


「そりゃお湯なんてはってるわけないじゃん。3人しかいないんだよ?」


「えっと、お客さんが来たりは?」


「オルオルの現状知ってる?今や国民からの支持率ダダ下がりのお飾りの王女だよ?誰がそんな人の所に好き好んで来るのさー」


 うわールーナさんチョーひでー。しかしまあ、それが現実かあ。


「それじゃあ今は温泉は機能して無い感じですか?」


「ううん、私達3人が入るくらいの分はあるよー」


 どうも、この大きさの大浴場が幾つかあるらしい。そして王族用のファミリーサイズ温泉も複数あって、今はそっちだけを使用しているようだ。そう俺たちに説明しながら、ファミリーサイズの温泉、まあ家族風呂って感じなんだろう場所に案内してくれた。


「ひろっ!」


 どこがファミリーサイズだよ!って思わず突っ込みそうなくらい広かった。さすがに大浴場ほどではないが、俺が日本で住んでたアパートの部屋の2倍以上はあるだろ・・・。


 しかし、これを見たらますますもったいない気がしてきた。温泉を売りにホテル化すれば、陛下の財政黒字化にそれなりの貢献をしそうな気がするんだが。うーん、資金さえどうにかできればなあ・・・。


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